ホーム Fuji JR東海、大雨に備えて新幹線運行準備 アナウンスは新システムを活用

JR東海、大雨に備えて新幹線運行準備 アナウンスは新システムを活用

8
0



読売新聞
JR品川駅では22日、1つのホームに2本の新幹線が停車できるよう、片方の列車がもう片方の列車より約50メートル手前で停止する訓練が行われた。

昨年の夏、大雨により東海道新幹線のダイヤが何度も乱れ、乗客が車内に取り残されるなど混乱が生じた。

JR東海は事故の反省から、大雨時の運行情報の発表方法を見直し、盛土など線路構造物の対策も講じている。大雨が予想される場合は利用者に最新の運行情報を確認するよう呼びかけている。

1つのプラットフォームに2つの列車

22日午前0時20分ごろ、JR品川駅24番線ホームで、東海道新幹線の最終列車が出発後、ゆっくりと停止した。同ホームの約50メートル先には、先に別の新幹線が進入していた。

この日は、長時間にわたる大雨で電車が運休している状況を想定した訓練が行われた。電車は品川駅手前で停止し、乗客を降車させるために駅構内へ移動。通常は1本しか止まらないホームに2本の電車を停め、出口の扉を開けるタイミングを確認した。

JR東海新幹線営業本部運輸営業部長の近藤正文さんは「改札口と電車のドアの位置がずれていても、降車口から乗客を降ろす手順など、訓練で学んだことをマニュアルや教育に生かしていきたい」と話した。

2023年6月、梅雨前線の影響による大雨で東海道新幹線が一時運休した。東京駅は足止めされた乗客でいっぱいになり、修学旅行中だった中学生数十人が体調不良を訴えた。

8月には台風接近に備えて計画運休した翌日、静岡県内の雨量計が基準値を超えたため、一部区間で運休となった。その後、新幹線の運休は東京―博多間にまで広がり、一部列車が駅間で長時間停車する事態となった。8月16、17日の2日間は東海道新幹線だけで200本以上が運休、400本以上が遅れ、約50万人に影響が出た。

時刻表アプリの改善


読売新聞
2023年8月17日、JR東京駅の案内板に新幹線の運休情報が掲示された。

JR東海が昨夏の経験から学んだ教訓の一つは、より迅速かつ正確な情報提供の必要性だ。

同社はこれまで、大雨などで遅延や運休の可能性がある場合には代替案を策定した上で乗客に通知していたが、運休などの可能性については、運行計画が決まる前の早い段階で告知するよう運用方法を変更。今年5月28日には、大雨雲の発生が懸念されると、速やかに遅延や運休の可能性を告知した。

同社は運休後も状況は変わらないものの、SNSなどで告知頻度を高めた。昨年末には新幹線時刻表アプリも刷新。これまでは主に新幹線の運行情報サイトを情報発信のメインツールとしていたが、新幹線時刻表アプリでは運行状況をリアルタイムで確認できるようになった。

18か所にセンサーを設置

同社はまた、鉄道の盛土を降雨から守る対策にも着手した。

JR東海によると、東海道新幹線の路線のうち盛土区間は44%。全国の新幹線の中で最も高い割合だ。盛土に雨水がしみ込むと土が緩み、崩落の危険性が高まる。レールがゆがみ、最悪の場合、列車が脱線する恐れがある。JR東海は盛土への雨水の浸入を防ぐため、盛土の表面をコンクリートで覆ったり、排水管を設置したりする対策を講じている。

同社は6月から、降雨時に土壌中の水分を常時観測し、その分布を詳しく把握する取り組みを始めた。静岡市など県内18カ所の堤防に、水分の分布を観測するセンサーを設置した。また、近隣2カ所では、地下水位の上昇を観測するため、地面に穴を掘った。約2年間の観測を経て結果をまとめる予定。各カ所の堤防の性能を評価した上で、工事や対策を進めていく。

JR東海の丹羽俊介社長は「大雨時に適した運行規定を整備し、安全性を高めていきたい」と語った。



もっとニュース

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください