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H3ロケット:連続成功で国際競争力を強化

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日本の新型大型ロケット「H3」3号機の打ち上げは成功しました。今後もロケットの打ち上げを成功させ、世界の衛星打ち上げ市場で競争力を高めていくことが期待されます。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が共同開発したH3ロケットは、退役間近のH2Aの後継機として主力ロケットとなる。昨年3月の1号機打ち上げは失敗に終わったが、2月の2号機打ち上げは成功した。

今回で2号機連続の打ち上げ成功となった。出遅れを取り戻し、海外勢に対抗するには、今年度中に打ち上げ予定のH3ロケット4号機、5号機の成功が不可欠だ。

陸域観測衛星「だいち3号」は1回目の打ち上げ失敗で失われ、2回目のH3では大型衛星を搭載しなかったが、今回の打ち上げでは「だいち4号」が軌道に投入された。地震や豪雨など災害の被害をより広範囲に観測できるようになったことは意義深い。

政府はH3ロケットで防衛通信用衛星や日本版GPSとも呼ばれる準天頂衛星システム「みちびき」用の衛星を打ち上げる計画だ。月や火星の衛星に探査機を送るミッションもある。

これらの重要な国家プロジェクトを計画通りに遂行するためには、信頼性の高いH3ロケットの打ち上げを確立する必要があります。

各国で衛星の利用が拡大する一方、ロシアのウクライナ侵攻でロシアへの打ち上げ受注が難しくなり、日米欧の受注競争が激化している。

現在、トップの座にあるのは米国のスペースX社だ。同社は年間数十機のロケットを打ち上げており、打ち上げ後も無傷で地上に帰還する再使用型ロケットなど先進技術を誇っている。

H3は打ち上げコストをH2Aの半分程度の50億円に抑える。価格競争力を強化し、正確な打ち上げで信頼性を高め、スペースXに次ぐ世界第2位の座を獲得したい。

大型衛星に加え、通信や観測などのために軌道上に多数打ち上げる小型衛星の需要が高まっている。政府が開発を主導したH3だけでなく、より小型のロケットも組み合わせ、多様な商業衛星の打ち上げに対応できる体制が不可欠だ。

しかし、日本の民間宇宙開発は、3月に日本の宇宙ベンチャー企業スペースワンが小型ロケットの初打ち上げに失敗するなど、好調とは言えない。

政府は宇宙航空研究開発機構(JAXA)と1兆円規模の宇宙戦略基金を創設した。この基金などを活用し、ベンチャー企業の育成や官民一体となった技術開発の枠組みを構築する必要がある。

(読売新聞2024年7月8日号より)



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