ホーム Fuji H3ロケットの打ち上げ成功は日本の評判を高める。世界の衛星市場で競争するにはコスト削減が不可欠

H3ロケットの打ち上げ成功は日本の評判を高める。世界の衛星市場で競争するにはコスト削減が不可欠

6
0



読売新聞
3号機のH3ロケットは月曜日の午後、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられる。

日本が世界の衛星打ち上げ市場で存在感を高めるためには、さらなるコスト削減と信頼性の確保が不可欠です。

月曜日、政府の地球観測衛星「だいち4号」を軌道に乗せた3号機のH3ロケットは、これで2回連続の打ち上げ成功となった。しかし、本当のテストはまだこれからだ。

H3はもはやテスト車両ではない

1号機と2号機のH3ロケットは試験用ロケットとみなされていたが、3号機は本格的な運用のために打ち上げられた最初のロケットであった。

宇宙航空研究開発機構の有田誠プロジェクトマネージャーは、鹿児島県の種子島宇宙センターでの記者会見で「これは将来の連続的な成功への第一歩だ」と語った。

3回のうち2回失敗していれば、海外での日本のイメージが損なわれていただろう。山川宏理事長は「国内外で安心して見守ってもらえたと思う」と安堵の表情を浮かべた。

H3ロケットは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が2014年に開発を始めた。現在の主力ロケット「H2A」以来、約20年ぶりの国内新型大型ロケットで、総開発費は2393億円に上る。

しかし、新開発の1段エンジン「LE9」の実用化にはハードルが多々あった。2020年度に予定されていたH3ロケットの初打ち上げは23年3月に延期され、2段エンジンが不調で失敗に終わった。

約6か月にわたる原因調査を経て、JAXAは今年2月にH3ロケット2号機の打ち上げに成功した。

今回の打ち上げにより、H3ロケットが初めて大型衛星を宇宙に送る能力を実証した。これにより、今年度中に退役予定の現行H2Aロケットに代わるH3ロケットへの道が開かれた。

再利用可能なロケット

しかし、日本にとって本当の試練はまだこれからだ。政府はH3を使って防衛通信衛星と「日本版GPS」とも呼ばれる準天頂衛星システム「みちびき」を軌道に乗せる計画だ。

H3は25年度以降、日本とインドの共同ミッションで月極域の水資源を探査するローバーを搭載するほか、火星衛星への探査ミッションにも投入され、探査機を運ぶなど、重要な国際科学ミッションへの活用が見込まれている。

打ち上げ成功率が約98%のH2Aと同等の信頼性を確保することは、H3が世界の衛星打ち上げ市場で競争するためのもう一つの最低条件だ。

現在、市場は打ち上げ後に地球に帰還する再使用型ロケットを開発する米宇宙企業スペースXが独占している。同社に対抗すべく、今後は世界各地で新たな大型ロケットの打ち上げが相次いでいる。

ロッキード・マーティンとボーイングの合弁企業である米国のユナイテッド・ローンチ・アライアンスは、1月にバルカンロケットの初打ち上げに成功した。

欧州宇宙機関は7月にアリアン6号ロケットの打ち上げを計画している。欧州では価格競争力の高い再使用型ロケットの開発に動きが出ている。

内閣府によると、22年に打ち上げられた衛星などの数は2368基で、10年前の約11倍に上る。ロシアはウクライナ侵攻でロケットの発射場が使えなくなり、衛星を打ち上げることもできなくなっており、海外の政府や企業が商機を狙っている。

H3が競争に勝つためには、ロケット打ち上げコストを削減できるよう打ち上げ回数を​​増やす必要がある。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、H2Aロケットの年3回の打ち上げを6回に増やす計画だ。H3はH2Aの半額の50億円で販売することを目指している。そうすることで、H3の競争力を高める狙いだ。

2つの主な柱

政府はH3など大型の液体燃料ロケットに加え、小型の固体燃料ロケット「イプシロン」も日本の主力ロケットと位置づけている。現在、JAXAは打ち上げ能力を高めた「イプシロンS」ロケットの開発を進めており、今年度後半の打ち上げを目指している。

政府は、大型・小型衛星を運ぶことができるH3と、主に小型衛星を運ぶイプシロンSという2つの主力ロケットで市場を獲得する戦略だ。

しかし、将来的には再使用型ロケットが世界市場を独占する可能性がある。「スペースX以外の海外企業が再使用型ロケットを開発すれば、日本のロケットは競争できなくなる」と東京理科大学元航空宇宙工学教授の米本浩一氏は言う。

政府は1兆円規模の宇宙戦略基金を使い、民間企業によるロケット開発を支援する方針だ。基金などを活用し、再使用型ロケットなど官民一体の開発体制を強化する必要がある。



もっとニュース

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください