ホーム Fuji GPS信号の偽造に対抗する技術の研究開始。計画には無線周波数指紋データベースの開発も含まれる

GPS信号の偽造に対抗する技術の研究開始。計画には無線周波数指紋データベースの開発も含まれる

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ロイター/ダド・ルヴィック/イラスト
2022年9月25日に撮影されたこのイラストには、地図上に配置されたGPS(全地球測位システム)のロゴと衛星モデルが表示されています。

防衛装備庁と東京の新興企業が、全地球測位システム(GPS)などの位置情報が偽造されたことを検知できる新技術の研究を始めたことが読売新聞の取材で分かった。

この情報は、自動車のナビゲーションや本人確認システムなど多岐にわたっており、改ざんされると社会に多大な混乱をきたしかねない。また、ミサイル誘導など国家安全保障にも広く使われている。こうした情報の正確性を守るため、同庁とロケーションマインドは、新技術を商業・軍事の両面で活用することを目指している。

こうした新たな民生用技術を研究しているのは、東京大学の研究者らが設立した位置情報を解析する「ロケーションマインド」だ。防衛庁は、防衛技術への応用が期待される民生用技術の基礎研究を支援する安全保障技術研究推進制度の枠組みを通じて、2023年度から4年間で5億7600万円の資金援助を行う。

GPSなどの衛星測位システムは、地上の受信機に信号を送信し、信号の送信時間と受信時間の差に基づいて衛星と受信機間の距離を測定します。少なくとも4つの衛星から送信された信号を使用することで、地上の位置を高精度に計算できます。

しかし、攻撃者は地上から偽の信号を作成して送信し、攻撃対象にこの偽の信号を受信させることで、位置情報を操作することができます。場合によっては、攻撃者が自分の位置情報を偽造して、実際の位置を隠すこともあります。

ATLAとロケーションマインドは、新技術を用いてこの脅威に対抗する方法を研究する。同じ仕様で作られた衛星でも、作られた環境や時期によって電波の特性が微妙に異なる。この違いは人間の指紋のように識別できるため、「電波指紋」というデータベースを作成する。送信された信号とデータベースに記録された本物の信号を照合することで、偽の信号を認識し、正しい位置情報を表示する技術だ。

米研究機関によると、ウクライナで検出された偽のGPS信号はロシアが発信源だった疑いがあり、違法操業する中国漁船の位置情報も偽造された事例が確認されている。

日本は、こうした信号の改ざんに対抗するため、電子署名を活用する取り組みを進めているが、地上で受信した実際の位置情報の信号をコピーして別の地点から再送信し、受信者に偽の情報が伝わった場合、検知は難しい。

この手法はこれまであまり見られなかったが、将来的には一般的になる可能性がある。ロケーションマインドは、同社の新技術はこうした偽造信号を検出できるとしており、今年、同社は膨大な量の測位信号波形データを記録し、無線周波数フィンガープリンティングの本格的な研究を開始する予定だ。

ミサイルやドローンの誘導に使われる位置情報への干渉は、国家の安全保障に悪影響を及ぼす恐れがあるとの懸念もある。軍民両用技術の研究強化に意欲的なATLAは、今秋に新たな「ATLAイノベーション・テクノロジー研究所」を立ち上げる予定で、ロケーションマインドへの支援も継続する。

ロケーションマインド取締役の藤田智明氏は「国の防衛や社会インフラの長期的な強靭化に貢献できるよう、早急に対策を講じたい」と語った。



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