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G7サミット: 首脳らがウクライナ支援の決意示す

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ロシアのウクライナに対する侵略は長期化しており、ウクライナへの支援は結局一時的な取り組みであってはならない。

先進7カ国(G7)が持続的な支援の枠組みを構築したことは大変意義深い。

イタリアでG7サミットが開催された。ウクライナ支援策が最重要議題として議論されたのは当然だ。

G7首脳はウクライナを支援するための新たな基金を設立することで合意した。

協定では、まず日本、米国、英国、カナダが基金に融資を行い、その資金はウクライナの復興と軍備増強に使われる。ウクライナには融資の返済義務はなく、欧州連合諸国が管理するロシア中央銀行の凍結資産の投資収益が融資の返済に充てられる。

ウクライナに対する「支援疲れ」やインフレなどで西側諸国の政権は厳しい批判にさらされている。基金の設立は、今後、一部国の国内事情で支援が遅れる事態を避ける狙いがある。

ドイツ、フランス、イタリアは当面、基金に直接関与しないが、EUを通じて資金援助を行う予定。日本の融資は軍事目的に使用されないよう、基金内の別口座に保管される。

ロシアはG7の最新の決定に反発し、報復措置を取る意向を示唆した。

しかし、ウクライナの国土を破壊し、多くの命を奪ったロシアが、損害と苦痛に対する賠償責任を負うのは当然だ。法の支配の重要性を訴えてきたG7は、一致団結してウクライナを支援し、ロシアの侵略をいかなる犠牲を払ってでも失敗に終わらせなければならない。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領も首脳会談に出席した。

岸田文雄首相はゼレンスキー大統領との会談で、非殺傷性兵器の提供や地雷除去などでの協力を規定した二国間文書に署名した。ゼレンスキー大統領は、日本の支援がウクライナの平和への前進に大きく貢献したと感謝の意を表した。

日本は直接的な軍事支援には限界があるが、一方で多くの災害を経験し、復旧・復興の知見を蓄積しており、こうした独自の強みを生かした支援を今後も継続していくべきである。

G7は、イスラエル軍とイスラム主義組織ハマスとの戦闘に関して米国が提示した停戦提案を全面的に支持することにも合意した。

同団体は、多くの避難民が逃れているパレスチナ自治区ガザの最南端ラファでの軍事作戦を控えるようイスラエルに求めた。

ガザ住民の命を奪うことも辞さないイスラエルの姿勢は看過できない。日本もイスラエルにそうしないよう働きかける努力を強めるべきである。

(読売新聞2024年6月16日号より)



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