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ECB利下げ:物価上昇の再燃を防ぐ政策を策定

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欧州経済の安定が損なわれれば、世界政治や経済にも大きな影響を及ぼす。インフレの再燃を防ぎ、着実な経済回復を図る政策の舵取りが重要だ。

欧州中央銀行(ECB)は主要政策金利を0.25パーセントポイント引き下げることを決定した。これは4年9か月ぶりの利下げとなる。主要金利は4.5%から4.25%に引き下げられた。

新型コロナウイルス感染拡大による物流の停滞やロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰で、主要先進国は物価高騰の影響を受けており、中央銀行は急速な利上げで対応している。

今年に入り、スイスやスウェーデンが利下げを実施し、カナダも今月、4年3カ月ぶりに利下げに踏み切った。ECBの利下げは、インフレとの戦いが転換点を迎えたことを示しているといえよう。

ドイツやフランスなどユーロ圏の消費者物価指数上昇率は2022年10月に前年比10%超のピークを迎えた。ECBは2%のインフレ目標達成に向け、2022年7月以降10回連続で利上げを実施し、昨年10月から高水準を維持している。

こうした取り組みが功を奏し、物価上昇率は2%台を堅調に維持しています。

一方、金利引き上げは景気を冷やす効果もある。ユーロ圏経済は停滞し、昨年後半にはマイナス成長に陥った。今年は改善の兆しはあるものの力強さに欠ける。今回の利下げは適切だ。

しかし、最終段階ではインフレを抑制することは難しいと言われています。

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は記者会見で「インフレ圧力は依然として強い」と述べた。労働市場は逼迫しており、賃金と連動するサービス価格の上昇に警戒を続ける必要がある。

物価高の長期化が低所得者層の生活を直撃し、国民の不満は高まっている。欧米諸国のウクライナ支援疲れも指摘されているが、経済低迷も背景にある。

欧州では、企業が資源価格の高騰に乗じてコスト増以上に価格を引き上げ、物価上昇に拍車をかけました。これは「グリードフレーション」と呼ばれました。

物価高の再燃も予想され、追加利下げの時期などECBは慎重に判断する必要がある。

一方、今週は日銀が当面の金融政策を決定する。欧州とは対照的に、金利上昇の道筋や国債買い入れ政策の修正が焦点となる。

米国経済は引き続き好調で、連邦準備制度理事会(FRB)も今月は利下げしないとみられるため、円安・ドル高の傾向は変わらないとみられる。

日銀は複雑化する海外情勢を精査し、政策調整に生かしていくことが期待される。

(読売新聞2024年6月13日号より)



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