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築地場外市場、生き残り、繁栄 / プロであろうとなかろうと、通は東京の築地場外市場を愛する。有名な市場の跡地の隣のエリアは今も輝きを放っている

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読売新聞 2024年6月26日 1:00 JST 東京都心にある築地場外市場は、新鮮な魚介類から調理器具まで、あらゆるものを扱う約400の専門店が軒を連ねる賑わいの場です。築地本市場の移転やコロナ禍による営業制限で一時は苦境に立たされましたが、近隣の大規模再開発により再び賑わいを取り戻しています。その魅力に迫る連載第1回です。 築地場外市場の一角にある地上3階建ての商業施設「築地魚河岸」の1階には、魚介類や青果を扱う仲卸業者約60店が軒を連ねる。午前5時の開店と同時に、旧築地市場の機能を引き継いで移転した豊洲市場で競り落とされたばかりの食材に、全国から集まった飲食店関係者が目を通している。 「あと30分お待ちいただければ、豊洲から新鮮な商品をお届けします」 「今日のヒラメはすごく身が締まってるね。」 店員が手際よく魚を捌いたり、馴染みの客に魚を勧めたりする姿から、そんな言葉が聞こえてくる。 東京都新宿区神楽坂で日本料理店「あさ田」を経営する浅田孝明さんは、築地魚河岸の常連客だ。 「牡蠣が新鮮すぎてレモンを絞るのはもったいない」と、旬の食材をじっくりと観察しながら、その日のメニューにどう使うか考えていた浅田さん(50)に店員がそう言った。 浅田さんが築地に通い始めたのは、東京・青山の高級料理店で働いていた19歳ごろ。料理の技術は「盗むもの」と考えられていた時代で、先輩の料理人から何も教わらなかった。そこで浅田さんは、知り合いの築地仲卸業者に頼み込んで魚のさばき方を教わった。 彼は週に2回早朝に築地に通い、魚の鱗の取り方からおろし方まですべてを一から学んだ。 半年後、浅田さんはようやく店の先輩たちに認められ、食材の基本的な下ごしらえを担当するようになった。 それから30年が経ち、生鮮食品をネットで注文できる時代になったが、浅田さんは築地に通う習慣は変わっていない。 「食材から店主のこだわりが伝わるので、料理にも気持ちが込められています」と浅田さんは笑顔で話した。 パンデミックは変化をもたらす 築地場外市場は、1935年に東京中央区に開設された築地市場の外に位置している。築地市場では手に入らない商品を販売することで発展し、築地場外市場として知られるようになった。現在、場外市場には長さ400メートル、幅120メートルの敷地に400軒の飲食店、魚屋、乾物屋などが軒を連ねている。 2018年10月、築地市場が4キロ離れた東京都江東区の豊洲に移転した際、場外市場の老舗の多くはそのまま残った。築地魚河岸は、移転後も築地のにぎわいを維持しようと同月、中央区が建設したもの。築地場内仲卸業者などが、築地魚河岸に新店舗をオープンした。築地魚河岸の早朝は、飲食店などプロが優先。午前9時を過ぎると、一般客や観光客の来店が徐々に増える 比栄は1927年創業のマグロ専門仲卸。もともとは築地場内に店舗を構え、業者相手に商売していた。 比叡は築地市場の店舗を豊洲市場に移転したが、東京・銀座や新橋などの日本料理店の経営者らが豊洲は徒歩や自転車で行くには遠すぎると懸念し、築地魚河岸にも店舗を開いた。 比叡の楠本栄治社長(69)は、築地魚河岸で一般客の接客をするのは最初は大変戸惑ったと語った。 比叡の看板商品は、希少かつ高価な生マグロ。プロには保存方法を説明する必要はないが、一般のお客さんからは「冷凍しても大丈夫か」などと聞かれることもあるという。 楠本氏は、新鮮なマグロを冷凍すると品質が劣化することは明らかであるため、こうした質問に当惑することがよくあると語った。 しかし、築地魚河岸店の移転オープンから間もなく始まった新型コロナウイルスのパンデミックの間、彼を救ったのは一般の人々からの商売だった。感染拡大のリスクを減らすために営業を自粛せざるを得なくなった飲食店のバイヤーたちは、彼の店に来なくなった。その代わり、家にいる時間が増えて料理をするようになった地元の人々が比叡を訪れるようになったのだ。 こうしたタイプの顧客は、スーパーやデパートよりも比叡でより手頃な価格で高品質の食品が手に入ることに気づいたと楠本氏は言う。彼らの多くは、パンデミック後も比叡で買い物を続けている。 「経営者の厳しい目に耐えられる店は、一般の人にも愛される店だと実感した」と楠本さんは言う。 食品専門家 築地魚河岸3階のキッチンスタジオでは、築地場外市場の店主などが食材の特徴や調理のコツなどをレクチャーする各種セミナーを開催しています。 28日は、昆布の講座で、老舗昆布商店「吹田商店」の吹田勝好さん(59)が講演。昆布だしの作り方を実演し、利尻、羅臼、日高など5種類の昆布を使っただしを振る舞った。それぞれのだしがどんな料理に合うのかを解説した。 参加者は、昆布だしを使った味噌汁と、昆布だしを使わずに作った味噌汁も試食しました。参加者は、だしを使った味噌汁は、だしを使わない味噌汁に比べて味噌の量が半分しかないにもかかわらず、味が濃いことに驚きました。 味噌汁は体に良く、口当たりも悪くない出汁で作ると、味噌に含まれる塩分の摂取量を減らすことができるとの説明に、参加者は感心した様子でした。 「築地場外市場には、今でも熟練した目利きの人が大勢います」と吹田さんは語り、「特に、どんな食品を選べばいいのか分からない時に、ぜひ市場を訪れてほしいです」と付け加えた。 もっとニュース

博士号取得者:その才能を広く活用できる社会に

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社説 2024年6月25日 14時59分 博士号を有する者は、科学技術や産業の発展に不可欠な人材であり、その専門知識を活かす機会を広げていくことが重要である。 文部科学省は、産業競争力強化のため、博士号取得者を増やす活用計画をまとめた。2040年までに人口100万人当たりの博士号取得者数を現在の3倍の370人に増やすことを目標としている。 近年、人工知能や生命科学などの分野では技術の進歩が目覚ましく、高度な知識や技術を持つ博士号取得者の確保競争が世界的に激化しており、海外でも博士号取得者が増加しています。 しかし、日本ではその数は減少し続けており、博士課程に進学する学生数も2003年度のピーク時に比べて20%減少しています。 学生からは「博士課程に進学しても経済的に報われない」「博士号取得後の就職が不安」といった声も少なくないという。こうした不安を払拭しなければ、文科省が掲げる数値目標の達成は容易ではない。 文科省は1996年に、博士研究員(ポスドク)を1万人育成する計画も立ち上げた。しかし、この計画で輩出されたのは、高学歴にもかかわらず就職先がなく収入の少ない研究者ばかりだった。 日本では、「博士号を取得した人は学術研究に従事するもの」という固定観念が強すぎるのかもしれません。 新卒一括採用が一般的であるため、博士号取得者が専門職として特別扱いされないケースが多い。企業によっては「頭が固くて融通が利かない」と考えて、博士号取得者の採用に消極的になるところもある。 海外では、博士号取得者には大企業、官公庁、スタートアップ、国際機関、教職など多様なキャリアパスが開かれています。批判的思考力や分析力を備え、社会課題の解決に取り組める博士号取得者を適切に評価し、活用することが重要です。 有力大学の研究者らが中心となる団体は「専門的な技術教育を孤立的に行うのではなく、広い視野を持ち、チームリーダーとして活躍できる人材の育成が必要だ」と指摘する。 大学院も旧態依然とした教育から脱却し、社会のニーズに応えられる人材の育成に努める必要がある。女性の博士号取得者をいかに増やすかという課題もある。特に理系の分野では女性が少ない。対策が急務だ。 優秀な博士号取得者を適正に扱うよう社会の意識改革が重要だ。文科省も産業界との連携強化などに取り組むべきだ。 (読売新聞2024年6月25日号より) もっとニュース

公共料金補助金:突然の制度再開は説得力に欠ける

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社説 2024年6月25日 15:00(日本時間) 物価高対策としてまたもや唐突な措置となったが、効果を吟味しないまま次々に対策を打ち出しても国民の理解は得られない。 岸田文雄首相は、物価高騰への緊急対策として、電気・ガス料金の補助制度を8月から10月まで復活させると発表した。これには数千億円の国庫負担が必要になるとみられる。 制度を復活させる理由は、物価上昇に賃金上昇が追いつかず、地方経済や低所得者層が大きな打撃を受けており、即効性のある対策が必要だからだ。 公共料金補助制度はロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格高騰を受けて2023年1月に始まり、価格が安定したとして今年5月に終了した。 これまでに約4兆円の予算が計上されているが、脱炭素化につながる省エネのインセンティブを低下させ、市場をゆがめているとの指摘もある。 そして今、首相は突然、8月からの再開を表明した。問題の多い制度を再開するのであれば、その効果や弊害を徹底的に検証すべきだ。 現時点では国際エネルギー価格に大きな変動は見込まれておらず、補助金制度を所管する経済産業省や予算を担当する財務省と事前に調整した形跡もない。首相の方針転換には戸惑いの声が上がっているという。 政権支持率の回復と9月の自民党総裁選での再選を狙った人気取り策と見られても仕方がない。 首相は昨年10月、突然、定額減税も発表。今年6月から減税が始まったが、内閣支持率は低迷したままだ。減税効果が不透明で、将来世代の負担増につながるとの見方が広がっているためだろう。 首相は秋に策定する経済対策に年金生活者や低所得者層への新たな給付金を盛り込む考えを示している。安易な給付金政策は控えるべきだ。 岸田氏の政治手法には、政府や党とじっくり議論して国民の納得を得るプロセスが欠けている。首相の突発的な決断を指導力と受け止めていない有権者が多いのは明らかだ。首相はサプライズ政治から脱却しなければならない。 インフレの大きな要因は円安・ドル高による輸入価格の上昇だ。補助金や給付金といった対症療法的な対策を繰り返すだけでは根本的な解決にはならない。 円安是正に向けては、海外で稼いだ利益を国内に再投資するよう日本企業を促す措置や、日銀による今後の金融政策に関する情報発信の工夫など、より賢明な取り組みが必要だ。 (読売新聞2024年6月25日号より) もっとニュース

支持率低迷に自民党内で危機感高まる、岸田首相批判で党内分裂

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読売新聞 2024年6月25日 16:03 日本時間 与党自民党は党支持率の低迷や内閣支持率の低迷に危機感を強めている。 次期衆院選で政権交代が起きる可能性を懸念し、自民党総裁を兼務する岸田文雄首相への不満が高まる一方、自民党は「党内確執」が支持をさらに損ねるというジレンマにも直面している。 野党は攻勢に出るが、内閣支持率や政党支持率の低迷に苦しむ岸田氏を衆院選の対抗馬にしたいとの思惑もあり、立場は複雑だ。 閣僚経験のある自民党議員は月曜日、「内閣支持率の低迷に引きずられるように党の支持率も下がっている。これは非常に深刻な状況で、我々は異論を唱えることはできない」と語った。 このような状況での選挙です。」 読売新聞が金曜から日曜にかけて実施した全国世論調査によると、内閣支持率は23%となり、2012年に自民党が政権に復帰して以来最低となった。 同党の支持率も前月の27%から25%に低下したが、2012年以来の最低水準である23%を大きく上回った。 党内では、次期衆院選で議員が多数落選する可能性が現実味を帯びてきたとの懸念が中堅・若手議員を中心に広がっている。 高鳥修一元農林水産副大臣は日曜、記者団に対し、岸田氏の指導の下で自民党が総選挙に出れば「過半数を維持するのは非常に難しい」と率直に語った。 こうした中、首相への批判は勢いを増している。 茂木派の東邦善衆院議員は土曜日、「 再選について話すことを避ける レースに参加するのを控えなさい。」 菅義偉前首相は日曜のポッドキャスト番組で「首相は責任を取っていない」と厳しく批判した。 。」 一方、首相への過度な批判を批判する声もある。 自民党の田村憲久政調会長代行は日曜のフジテレビの番組で「党員同士が批判し合うのはよくない。批判するなら 、面と向かって言ったほうがいいでしょう。」 旧岸田派のベテラン議員は「責任を総裁に押し付け、党内が分裂するような政党は支持されない」と語る。 自民党の連立相手である公明党も自民党の姿勢を批判している。公明党の山口那津男代表は「十分な説明責任が果たされていない」と述べた。 しかし、別の党幹部は「党は 「党外から党内に波風を立てることはない」と述べ、首相批判から距離を置く意向を示した。 一方、野党は自民党への批判を強めている。 立憲民主党の泉健太代表は「新政権の準備を加速させたい」と意気込みを語った。 維新の党の藤田文武幹事長は「自民党の逃げ腰の姿勢を国民は許さない」と強調。国民民主党の玉木雄一郎代表も「自民党が自らの不正を正せないことに国民はうんざりしている」と断言した。 しかし、立憲民主党、維新の支持率もともに6%台で低迷している。衆院解散・総選挙が行われれば、新首相のもとで自民党が復活する可能性もある。 立憲民主党のベテラン議員は「岸田首相に留任してもらうのが一番だ」と語った。 もっとニュース

トヨタ自動車の豊田章男会長の役員報酬は2023年度に62%増の16億2200万円に

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読売新聞 2024年6月25日 16時07分 トヨタ自動車の有価証券報告書によると、同社の豊田章男会長の役員報酬は2023年度は前年度の9億9,900万円から62%増の16億2,200万円となった。 豊田氏はトヨタの最高報酬役員としての記録を更新した。佐藤浩二社長は6億2,300万円を受け取った。 もっとニュース

中国の月探査機が世界初の月の裏側からのサンプルを持ち地球に帰還

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AP 2024年6月25日 16時41分 北京(AP通信) — 中国の月探査機「嫦娥6号」は火曜日、世界で初めて、これまでほとんど探査されていなかった月の裏側から採取した岩石と土壌のサンプルを持ち帰り、地球に帰還した。 探査機は火曜日の午後、中国北部の内モンゴル地方に着陸した。 「嫦娥6号の月探査ミッションは完全な成功を収めたと宣言します」と中国国家宇宙局の張克建局長は着陸直後のテレビ記者会見で述べた。 中国の科学者たちは、返送されるサンプルには250万年前の火山岩やその他の物質が含まれると予想しており、科学者たちはそれが月の両面の地理的な違いについての疑問に答えてくれることを期待している。 地球から見えるのが表側で、宇宙に面しているのは裏側です。表側に見える比較的平坦な広がりとは対照的に、裏側には山や衝突クレーターがあることも知られています。 これまでの米国とソ連のミッションでは月の表側からサンプルを採取してきたが、裏側からサンプルを採取したのは中国のミッションが初めてだ。 月計画は、宇宙探査で依然としてリーダーである米国や、日本、インドなど他の国々との競争が激化する中、その一環だ。中国は独自の宇宙ステーションを軌道上に打ち上げ、定期的に宇宙飛行士を送り込んでいる。 中国の習近平国家主席は嫦娥チームに祝意のメッセージを送った。「宇宙と技術の強国を目指す我が国の努力における画期的な成果だ」と述べた。 探査機は5月3日に地球を出発し、53日間の旅を続けた。探査機は核を掘削し、表面から岩石をすくい取った。 中国科学院の地質学者ゾンユ・ユエ氏は、中国科学院と共同で発行されている雑誌「イノベーション・マンデー」で発表した声明で、このサンプルは「月科学研究における最も基本的な科学的疑問の一つである『月と太陽の表裏の違いの原因はどのような地質活動なのか』に答えるものとなることが期待されている」と述べた。 中国は近年、月へのミッションを複数回成功させており、これまでにも嫦娥5号探査機で月の表側からサンプルを採取している。 彼らはまた、探査機が過去に月面に衝突した隕石の痕跡を持つ物質を持ち帰ることを期待している。探査機の再突入が成功すれば、科学者たちはサンプルの調査を開始する予定だ。 もっとニュース

大統領選討論会で各陣営が何を得たいのか

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ワシントンポスト / マイケル・シェラー、マリアンヌ・レヴァイン 2024年6月25日 16時48分 ドナルド・トランプ陣営は、ジョー・バイデンは弱々しく無能な人物であり、側近たちが彼を世界中を飛び回っているため現実から切り離されている、とトランプ顧問の一人の言葉を借りれば、1989年のコメディ映画「ウィークエンド・アット・バーニーズ」に出てくる死体のようだと主張している。 バイデン陣営は、トランプ氏を独裁的な計画を持つ「狂った」過激派と表現し、2020年の選挙で敗北した際に「キレて」、自身の権力拡大に集中する以外の何ものもできなくなったとしている。 選択的な編集に基づいて作られ、資金力のある選挙機関によって爆発的に拡散され、ソーシャルメディア上の支持者によって増幅されたこの2つの風刺画は、総選挙の最初の数ヶ月を特徴づけるものとなり、両陣営の有権者に不満のサンドバッグを与えている。 しかし、選挙の行方を決める可能性のある有権者層、つまり今回の選択を嫌い、どちらの人物にも再選してほしくない層にとっては、非難の喧騒は選択を明確にするのにほとんど役立っていない。 木曜日にアトランタで行われる大統領候補者討論会では、両候補が編集なしでステージに一緒に立ち、全国の膨大な数の聴衆の前でリアルタイムで相手の誤りを証明できる貴重な機会が提供される。投票ブースで最終決定を下す有権者は、主要政党の選択について何が真実で何が宣伝なのかを知る機会を90分間与えられる。 両候補のアドバイザーは、利害関係を認識し、対立候補が仕掛けた罠を避けるよう上司に指導している。バイデン氏の側近は、問題を掌握し、トランプ氏と直接対決し、大統領在任中の自身の功績を国民に説明できる、活力のある大統領を描きたいと望んでいる。トランプ氏のアドバイザーは、世論調査での問題上の優位性に焦点を当てるよう候補者を指導し、2016年の当選につながった、ワシントンを混乱させる覚悟のあるタフなビジネスマンというイメージを再確認させている。 「もし前大統領が、移民、犯罪、多額の家計問題、インフレといった、米国民が関心を持つ問題に焦点を絞れば、彼は勝利するだろう」と、トランプ陣営の元顧問で共和党の戦略家でもあるデビッド・アーバン氏は語った。「もし彼が過去の選挙や個人的な不満に焦点を当てるなら、おそらくそうしたことは彼にとってあまり役に立たないだろう」 他の人々は、このイベントにおけるトランプ氏の目標が、バイデン氏が描写する短気で激怒するリーダーを軽視することであると、さらに明確に定義している。 「ドナルド・トランプ氏がやりたいのは、この問題を、なぜ自分がジョー・バイデン氏よりも優れた大統領だったのか、そしてまた優れた大統領になるのか、という問題にすることだと思う」とトランプ氏の長年の世論調査員ジム・マクラフリン氏は語った。「これはビジョンの問題だ。彼は中東に平和をもたらし、インフレを抑え、国境を守り、人々の安全を保ったという実例や実話を数多く語ることができる」 バイデン氏の元広報顧問ケイト・ベディングフィールド氏も、トランプ氏の最も明白な道は、2020年の選挙運動で初めて会った後にトランプ氏に汚名を着せた激しい暴言を避けることだと同意した。バイデン氏の活動は変化に備えており、バイデン氏が攻撃的であるように見せることで変化を克服できると彼女は語った。 「バイデン氏にとっての目標は攻勢に出てトランプ氏を最大の弱点に追い込むことだ」と彼女は語った。「規律あるトランプ氏が現れることは大いに期待されているが、たとえそうなったとしてもバイデン氏にとってのチャンスは大きい」 こうした状況から、両陣営は、候補者が型破りな行動を取ることを期待して、異例の措置を講じている。バイデン氏の顧問団は、キャンプ・デービッドで、大統領が今年の一般教書演説で見せたように期待を上回るパフォーマンスを見せ、問題に対する自身の理解力と職務遂行能力を示すよう、慎重かつ広範囲にわたる準備を進めてきた。討論会の準備にあまり関心のない候補者に直面したトランプ氏の顧問団は、インフレや移民問題などについてバイデン氏との違いを強調することが前大統領の最優先事項であると繰り返し強調しようとしてきた。 対決の構造も、その結末を左右する可能性がある。トランプ氏とCNNの司会者はともに、対決に関するバイデン氏の条件を受け入れた。スタジオには観客を入れず、コマーシャルを2回入れ、候補者が発言していないときはマイクをすぐに切るというものだ。 問題となっているのは、ニューヨークでトランプ氏が重罪で有罪判決を受けて以来、バイデン氏の支持率が若干上昇していることを示す世論調査の動向だけではない。両陣営は、このイベントを有権者と直接交流する機会として利用し、選挙資金の獲得と、バイデン陣営の場合はボランティア活動の活性化を期待している。 この討論会は主要な放送局やケーブルテレビで放映され、CBS、ABC、NBC、FOX、PBS、ユニビジョンの各チャンネルやその他のケーブルニュースネットワークは東部時間午後9時に生中継する予定。司会はCNNのアンカー、ジェイク・タッパーとダナ・バッシュ。 共和党全国委員会のマイケル・ワットリー委員長と共同委員長のララ・トランプ氏は討論会の夜に視聴パーティーと資金集めのパーティーを主催し、副大統領候補の候補者数名も参加する予定だ。ワシントン・ポストが入手した招待状によると、トランプ氏は討論会後にコメントを述べる可能性がある。 バイデン陣営は日曜、対象州で今週、討論会視聴パーティー300回とイベント1600件以上を計画していると発表した。イベントの一部は、最高裁が憲法上の中絶の権利を覆す決定を下してから2年目の月曜にちなんで企画される。この動きは、トランプ氏が最高裁に3人を任命したことで可能になった。 アドインパクトによると、バイデン陣営は討論会に向けてテレビやデジタル広告への支出も増やしており、6月中旬には5月中旬の2倍以上を費やしている。アドインパクトによると、先週の総支出は約920万ドルで、トランプ陣営の支出はほとんどなかった。 バイデン氏は木曜日から、ほぼすべての上級スタッフとともにキャンプデービッドにある大統領別荘にこもり、準備に努めている。参加者の中には、2020年の討論会準備セッションでトランプ氏を演じた元ホワイトハウス法律顧問のボブ・バウアー氏や、数十年にわたって民主党候補者討論会準備セッションを主導してきた元首席補佐官のロン・クレイン氏もいる。 バイデン氏の顧問らによると、木曜日の討論会に向けて出発する前に、現首席補佐官のジェフ・ジエンツ氏、メッセージと世論調査の第一人者であるマイク・ドニロン氏、国家安全保障問題担当大統領補佐官のジェイク・サリバン氏、選挙運動委員長のジェン・オマリー・ディロン氏など、ホワイトハウスと選挙運動の幹部計16人がバイデン氏に合流する予定だという。 トランプ大統領は、土曜日のフィラデルフィアアリーナでの集会とワシントンでの会議でのキリスト教保守派の集まりで演説するなど、公の場での準備を進めている。 トランプ氏は、バイデン氏が準備に時間をかけたことや、彼が対峙する司会者たちをあざ笑った。「彼らは彼をしっかりさせたいので、彼は今眠っている」とトランプ氏はフィラデルフィアで語った。「考えてみてください。観客がいないのです。まるで死んだようなものです」 トランプ氏は集会の支持者らに、バイデン氏をどう扱うべきかも尋ね、選挙陣営のアドバイスをあまり受け入れていない可能性を示唆した。「厳しく意地悪な態度で『あなたは史上最悪の大統領だ』と言うべきか、それとも優しく冷静に彼に話させるべきか」とトランプ氏は問いかけた。聴衆の一人が「50/50」のアプローチを提案するとトランプ氏は笑い、その後自らの問いにこう答えた。「厳しくあれ。厳しくあれ。」 計画に詳しい人々によると、トランプ陣営はここ数週間、さまざまな外部支持者とより非公式な政策会議を行うことを選んだ。トランプ氏の準備を手伝ったのは、J・D・バンス上院議員(オハイオ州共和党)、マルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州共和党)、ビル・ハガティ上院議員(テネシー州共和党)ら。会議に詳しい人物によると、バンス上院議員は経済に関する会議に参加した。この人物は他の人たちと同様、公の場で話す権限がないため匿名を条件に話した。 このアプローチは、過去の選挙でトランプ氏を従来の討論会の準備に出席させようとしたトランプ顧問たちの苦労を反映している。2020年の最初の討論会前のセッションに関わった人々は、実際にはほとんどリハーサルが行われず、混乱した環境だったと述べている。選挙陣営は今年、従来の準備は必要ないという立場をとっている。 「トランプ大統領は毎週、数多くの厳しいインタビューに応じ、立ったまま長時間の集会演説を行い、エリート並みのスタミナを発揮している」とトランプ上級顧問のジェイソン・ミラー氏は声明で述べた。「彼にはスタッフによるプログラムが必要ない」 しかし、トランプ氏が長い間、対立候補について描こうとしてきた老けた風刺画から離れつつある兆候がある。「オールイン」ポッドキャストでの最近のインタビューで、前大統領は違った口調で語った。 「彼は討論者として価値のある人物になるだろうと思う」とトランプ氏はポッドキャストで語った。「彼を過小評価したくない」 もっとニュース

テネシー州の性転換ケア禁止法が最高裁で再検討へ

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ワシントンポスト / アン・E・マリモウ、ケイシー・パークス 2024年6月25日 17時05分 最高裁は月曜日、18歳未満の人に対する性転換ケアを禁止するテネシー州法の見直しに同意した。この訴訟は、2021年以降20州以上で可決されたこうした制限の合憲性を最高裁が検討する初の機会となる。 バイデン政権は、主要な医師会がトランスジェンダーの人々のうつ病や自殺率を低下させると述べている思春期抑制剤などの治療を求めるトランスジェンダーの子供たちを、両親や医師と相談の上、州が阻止できるかどうか裁判所に判断するよう求めた。 性別適合医療を禁止している約24の州のうちの1つには、10万人を超えるトランスジェンダーの若者が暮らしている。この問題は近年、国の文化的、政治的分裂の最前線に浮上している。 最高裁判所は2020年にレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの労働者に対する雇用保護を拡大したが、トランスジェンダーの未成年者、トイレの利用、アスリートに関する下級裁判所の判決の合憲性についてはまだ判断を下していない。 バイデン政権を代表するエリザベス・B・プレロガー司法長官は、性別適合医療に関する下級裁判所の相反する判決による不確実性は「自分の州や近隣の州での禁止令が維持されるか、差し止められるかわからないまま、子供たちに必要な医療へのアクセスを維持することを期待して、家、仕事、学校、コミュニティを放棄するかどうかという重大な決断を迫られている全国の家族に重大な影響を及ぼしている」と裁判官らに語った。 テネシー州の禁止令を擁護する弁護士らは、米国憲法は親に「州が証明されておらず、過度に危険であると判断した子供への医療介入」を要求する権利を与えていないと裁判所に述べた。 「テネシー州は、他の多くの州と同様、未成年者がこれらの治療を受けられないよう、生涯にわたる影響について十分に理解するまで、あるいは科学が進歩してテネシー州がその有効性について異なる見解を持つようになるまで、措置を講じた」と、テネシー州司法長官ジョナサン・スクルメッティ(共和党)の事務所は裁判所への提出書類で述べた。 アメリカの主要医療機関は、性別適合ケアは安全かつ効果的であり、医学的に必要である可能性があることに同意している。 最高裁判所がこの問題に踏み込む決断を下したのは、全国の共和党州議会議員らが、トランスジェンダーの人々が使用できるトイレを規制したり、公共の建物にプライドフラッグを掲げることができるかどうかを規制する法案など、同性愛者やトランスジェンダーのアメリカ人を標的とした記録的な数の法案を提出した直後のことだ。 トランスジェンダーの若者、その家族、医療関係者らは昨年秋、テネシー州法の施行を認めた第6巡回区連邦控訴裁判所の判決を覆すよう裁判所に求めた。同法は同州内のトランスジェンダーの未成年者が思春期抑制剤やホルモン剤を入手することを禁じている。 公民権擁護団体は、これは憲法上の平等保護の権利を侵害するものであり、最高裁にこれを覆すよう求めている。「トランスジェンダーの若者とその家族にとって、これは政治の問題ではなく、生命を救う重要な医療を受ける基本的な自由の問題であることを認識することが極めて重要です」とテネシー州アメリカ自由人権協会の専属弁護士、ルーカス・キャメロン・ボーン氏は声明で述べた。 スクルメッティ氏は、この法律は「取り返しのつかない性別による扱いから子供たちを守る」ことを目的としているとし、今後もこの法律を擁護すると誓った。 「この訴訟は、憲法に性自認に対する特別な保護が含まれているかどうかについて、待望の明確化をもたらすだろう」とスクルメッティ氏はXに関する声明で述べた。 最高裁は、10月に始まる次の会期中にこの事件の口頭弁論を行う予定だ。判事らは今会期の仕事を終わらせようと急いでおり、今週か来週には注目度の高い判決が10件も下される予定だ。これらの裁判は、1月6日の米国議会議事堂襲撃事件、緊急中絶ケアへのアクセス、ソーシャルメディアプラットフォームにおける言論の自由の将来などに関するドナルド・トランプ氏の行動について、いつ起訴されるかを決定することになるだろう。 法律の専門家は長い間、性別適合ケアを州が禁止することが憲法に違反するかどうかについて、最終的には最高裁が判断を下さなければならないと考えてきたが、最高裁はいつ、どのように訴訟を起こすかを決定する上で大きな柔軟性を持っている。 テネシー州の訴訟は、ケンタッキー州の別の訴訟とともに、月曜日の発表の数ヶ月前から最高裁の非公開会議で審議される訴訟のリストに載ったり外れたりしていた。この遅れは、最高裁がこの件をどう扱うべきかについて判事が非公開で議論していることを示唆している。 4月の別の訴訟では、最高裁は、第9巡回区控訴裁判所での訴訟が続く間、アイダホ州が未成年者への性別適合医療の禁止を広く施行することを認めた。最高裁の簡潔な命令では、アイダホ州の禁止は州を訴えた2人のトランスジェンダーの10代の若者には直ちに適用できないと述べられており、医療を禁止することの全体的な合憲性については触れられていない。最高裁のリベラル派判事3人は、最高裁の介入のタイミングに異議を唱えた。第9巡回区控訴裁判所は8月にこの訴訟を審理する予定である。 歴史的に、最高裁判所は、問題が非常に重要である場合に訴訟を扱い、下級裁判所は矛盾した判決を下してきました。 昨年6月、連邦地方裁判所は、法律が施行されてからわずか数か月後に、テネシー州とケンタッキー州の両方で禁止令を差し止めた。第6巡回区控訴裁判所は、州の禁止令が憲法修正第14条の平等保護条項または適正手続き条項に違反していないと判断し、これらの差し止め命令を覆した。 ジェフリー・S・サットン判事は意見が分かれた判決で、今回の件で裁判所は州議会議員の判断を疑うべきではないと述べた。 「これは比較的新しい診断であり、過去10~20年で治療へのアプローチは絶えず変化している。このような状況下では、これらの治療に対する何らかの年齢制限を撤廃した場合の長期的な結果を予測することは誰にも難しい」とサットン氏は記し、アムル・タパール判事も賛同した。 「まさにこのような状況こそ、改正が難しい憲法を解釈する終身判事が、責任ある選出公務員がこれらの医療、社会、政策上の課題を解決することを制限する新たな実質的な適正手続きや平等保護の権利を発表することについて謙虚かつ慎重になるべきだ」 また昨年、アトランタの第11巡回区連邦控訴裁判所は、アラバマ州の禁止令が発効する可能性があるとの判決を下した。2月にはイリノイ州の第7巡回区連邦控訴裁判所が、訴訟が続く間はインディアナ州の禁止令の発効を暫定的に認めた。 バイデン政権は、最高裁にこの問題を取り上げるよう促す中で、テネシー州法はトランスジェンダーの立場に基づいて差別しており、性別違和に苦しむトランスジェンダーの人に対する治療のみを禁止し、他の目的で処方された場合には全く同じ治療を許可していると述べた。 プレロガー氏は裁判所への提出書類の中で、「医学的コンセンサスと一致し、影響を受けた若者、その両親、医師が適切かつ健康に不可欠であると結論付けた」治療の禁止を州は正当化できないと述べた。 最高裁は近年、トランスジェンダーの権利活動家らにいくつかの勝利を与えてきた。2020年、ボストック対クレイトン郡の訴訟で、最高裁は6対3で連邦雇用法の保護が数百万人のレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの労働者に適用されるとの判決を下した。最高裁はまた、下級裁判所が学校、刑務所、障害者保護におけるトランスジェンダーの権利を支持する判決を下したいくつかの訴訟の再審理を拒否した。 昨年、同州は、トランスジェンダーの少女が公立学校の女子スポーツチームでプレーすることを禁じる同州の法律を、法的な異議申し立てが続く間は施行するよう求めるウェストバージニア州の要請も却下した。 もっとニュース

国際裁判所、ウクライナの民間人標的への攻撃をめぐりロシアのショイグ元国防相の逮捕を求める

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AP 2024年6月25日 20:15 日本時間 国際刑事裁判所は火曜日、ウクライナの民間人を攻撃したとしてロシアの元国防大臣と軍参謀総長に対して逮捕状を発行した。 裁判所は、セルゲイ・ショイグ元国防相とヴァレリー・ゲラシモフ参謀総長を戦争犯罪と非人道的行為による人道に対する罪で告発している。 裁判所は声明で、令状が発行されたのは、2022年10月10日から少なくとも2023年3月9日までの「ロシア軍によるウクライナの電力インフラに対するミサイル攻撃」にこれらの男たちが関与していると信じるに足る十分な根拠があると裁判官が考えたためだと述べた。 この期間中、ロシア軍はウクライナの複数の場所で多数の発電所や変電所に対して大規模な攻撃を行ったと裁判所は付け加えた。 どちらの容疑者もすぐに拘留される可能性はない。ロシアは国際刑事裁判所の加盟国ではなく、その管轄権を認めておらず、容疑者の引き渡しを拒否している。 昨年、同裁判所はロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対しても逮捕状を発行し、ウクライナからの児童誘拐の個人的な責任を訴えた。 プーチン大統領は大統領としての5期目を開始した5月の内閣改造でショイグ氏を国防相から外した。クレムリンによると、大統領はショイグ氏をロシア安全保障会議の書記に任命した。 もっとニュース

記録によると、法執行機関は何千人ものアメリカ人の郵便物をスパイしている

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ワシントンポスト / ドリュー・ハーウェル 2024年6月25日 17時12分 米国郵政公社は過去10年間、毎年何千通もの米国人の手紙や小包の情報を法執行機関と共有しており、裁判所の命令を必要とせずに箱や封筒の外側から氏名、住所、その他の詳細を伝えている。 郵政監察官は、郵便物の監視が逃亡犯の捜索や犯罪捜査に役立つ場合にのみ、こうした要請に応じると述べている。しかし、議会の調査に応じてワシントン・ポスト紙に独占提供された10年分の記録によると、郵政公社の職員は2015年以降、連邦捜査官や警察官から6万件以上の要請を受けており、拒否することはほとんどないことが示されている。 データによると、各リクエストは、個人または住所との間で数日または数週間にわたって送受信される郵便物を対象としており、リクエストの97%が承認された。記録によると、郵便検査官は2015年から2023年の間に31万2000通以上の手紙と小包を記録した。 メールカバープログラムとして知られるこの監視技術は、容疑者や証拠を追跡するために郵便検査官が長年使用してきた。この行為は合法であり、検査官は郵便物の外側に見えるものだけを公開していると述べた。合衆国憲法修正第4条により、中身を覗くには令状を取得する必要がある。 しかし、郵政公社の法執行機関である米国郵政監察局は、これまではこうした要請をどのくらいの頻度で受け入れているかを明かすことを拒否しており、2015年の監査では、こうした詳細を明かすことで、この手法の仕組みを「犯罪者に警告」し、プログラムの有効性が低下すると述べている。 同局は、この監査のために過去4年間に郵便検査官や法執行官からの15万8000件以上の要請を承認したと述べた。要請の上位にはIRS、FBI、国土安全保障省などがある。 2023年5月の書簡で、ロン・ワイデン上院議員(オレゴン州民主党)、ランド・ポール上院議員(ケンタッキー州共和党)、エリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州民主党)を含む8人の上院議員グループは、郵便局に対し、連邦判事に要請を承認させ、プログラムの詳細を共有するよう要請し、当局は「この監視サービスを提供し、郵便利用者に監視対象となっている事実を知らせないこと」を選択したと述べた。 今月初めの回答で、郵便局主任検査官のゲイリー・バークスデール氏は、方針の変更は拒否したが、郵便局検査官、連邦政府機関、州および地方警察が年間平均約6,700件の要請を行い、検査官がさらに年間約35,000通の郵便物からデータを記録していることを示す10年近く分のデータを提出した。 バークスデール氏は2023年6月の上院議員宛ての書簡で、このプログラムは「大規模な監視装置」ではなく、警察や国家安全保障機関が「任務を遂行し、アメリカ国民を守る」のに役立つ郵便物のみに焦点を当てていると述べた。 同氏はさらに、この慣行は、政府職員が封印された手紙を開封する前に令状が必要だという最高裁判所の判決の翌年である1879年以来、法的に認められていると述べた。 「郵便物の外側に記載されている情報については、プライバシーが合理的に期待できるものではない」とバークスデール氏は書いている。 ワイデン氏は声明で「この新たな統計は、毎年何千人ものアメリカ人が令状なしの監視の対象になっており、郵政検査局が事実上、受け取った要請の全てを承認していることを示している」と述べた。また、同局が「基準を引き上げることを拒否し、アメリカ人の郵便物の外側を監視する法執行機関に、電子メールやテキストの監視にすでに義務付けられている裁判所命令を要求することを拒否している」と批判した。 郵便監視に対する不安は、典型的なアメリカのものだ。1798年、トーマス・ジェファーソン副大統領は手紙の中で、「郵便局の不正行為」によって私的な通信が暴露されるのではないかという恐怖から、「十分に自由に文章を書く」ことができなかったと書いている。 上院議員らは昨年の書簡で、多くの米国人にとって、郵便物の外観でさえ、彼らが話をする相手、支払う請求書、通う教会、彼らが支持する政治的見解、彼らが支持する社会運動についての手がかりを与え、深い意味を明らかにする可能性があると述べた。 1978年、巡回裁判所の判事は、郵便カバーは「行動を監視しても入手できない方法で」個人の私生活を暴露し、「対象者の人生を公開する」可能性があると述べた。 もっとニュース