Asami
イスラム国がカリフ制を宣言してから10年、イスラム国は敗北したが、依然として致命的な勢力を維持している
AP
2024年6月29日 11時24分
バグダッド(AP通信)―過激派組織「イスラム国」がイラクとシリアの広い地域でカリフ制を宣言してから10年が経ち、過激派はもはや領土を支配しておらず、多くの著名な指導者を失い、世界のニュースの見出しからもほとんど姿を消している。
それでも同グループはメンバーの募集を続け、今年初めにイランとロシアで多数の死者を出した致命的な攻撃を含む、世界中での致命的な攻撃の責任を主張している。イラク政府が米軍撤退の可能性についてワシントンと交渉している最中、シリアとイラクの潜伏細胞は両国の政府軍と米国が支援するシリア戦闘員に対して依然として攻撃を行っている。
かつては世界中から何万人もの戦闘員や支持者をシリアやイラクに呼び寄せ、最盛期には英国の半分の面積を支配していたこのグループは、その残虐行為で悪名高かった。民間人の首をはね、短期間で捕虜にしたイラク兵1,700人を虐殺し、イラク最古の宗教的少数派であるヤジディ教徒の女性数千人を奴隷にし、強姦した。
「ダーイシュは依然として国際安全保障に対する脅威である」と、統合統合任務部隊「生来の決意作戦」の司令官である米陸軍のJB・ヴォーエル少将はAP通信に送ったコメントで述べた。ダーイシュはイスラム国グループのアラビア語の頭字語である。
「我々は、ISISの思想を共有するグループの残党と戦い、破壊するという熱意と決意を維持する」とヴォーウェル氏は述べた。
近年、同組織の支部はアフリカやアフガニスタンを中心に世界中で勢力を拡大しているが、その指導部はシリアにあるとみられている。2019年以降に殺害された同組織の指導者4人はいずれもシリアで追跡された。
2013年、アルカイダから分派したイラクのイスラム国グループのリーダーだったアブ・バクル・アル・バグダディは、アルカイダの国際ネットワークから距離を置き、当時ヌスラ戦線として知られていたシリアの支部と衝突した。同グループは自らをイラクとレバントのイスラム国と改名し、軍事作戦を開始してシリアとイラクの大半を制圧した。
2014年6月初旬、イラク軍が崩壊すると、このグループはイラク北部のイラク第2の都市モスルを占領した。同月後半、同グループはシリアとイラクの支配地域間の国境を開放した。
2014年6月29日、バグダディ容疑者は黒いローブ姿でモスルのヌーリ大モスクの説教壇に現れ、カリフ制を宣言し、世界中のイスラム教徒にカリフ制への忠誠を誓い、指導者としての自分に従うよう求めた。それ以来、同組織はイスラム国を名乗っている。
「アル=バグダディの説教は、アブ・ムサブ・アル=ザルカウィの過激思想の延長であり、世界中のISISメンバーを鼓舞し続けている」と、ニュー・ラインズ研究所の上級非常勤研究員で、ISISを打倒するための世界連合の元スポークスマンである元米陸軍将校マイルズ・B・カギンズ3世は語った。彼が言及しているのは、2006年に米国の攻撃で殺害されたイラクのアルカイダ指導者アブ・ムサブ・アル=ザルカウィである。
自称カリフ制国家から、このグループは世界中で致命的な攻撃を計画し、西側諸国のジャーナリストの斬首、戦闘機が撃墜された数日後に檻の中に閉じ込められたヨルダン人パイロットへの火あぶり、巨大な金属の檻に閉じ込めた敵対者をプールで溺死させるなど、残虐な殺人を実行した。
ISと戦うために、米国が主導する80か国以上の連合が結成され、10年経った今も、この同盟はシリアとイラクにある過激派の隠れ家に対する襲撃を続けている。
ISとの戦争は2019年3月、米国の支援を受けクルド人主導のシリア民主軍の戦闘員らが過激派が支配する最後のわずかな土地であったシリア東部の町バグズを占領したことで正式に終結した。
バグズ陥落前の2017年7月、イラク軍が北部の都市モスルを占領し、ISはイラクで敗北した。3カ月後、シリア民主軍が同組織の事実上の首都であったシリア北部の都市ラッカを占領し、ISは大きな打撃を受けた。
国連によれば、同組織はシリアとイラクに依然として5,000~7,000人の戦闘員を抱えているという。
それでも、少なくともイラクでは、政府と軍当局は、このグループは復活するには弱すぎると主張している。
「(ISが)再びカリフ制を主張することは不可能だ。彼らにはそのための指揮統制能力がない」とイラク軍のターシーン・アル・カファジ少将はバグダッドの統合特殊作戦司令部でAP通信に語った。同司令部ではイラク軍将校と米国主導の連合軍関係者が過激派に対する作戦を監督している。
カリフ制が宣言されてから数週間後、このグループに対する作戦を指揮するために結成されたこの司令部は、現在も活動を続けている。
アル・カファジ氏は、イラク治安部隊がISの逃亡を阻止しているため、ISは現在、僻地の洞窟や砂漠に潜伏する組織で構成されていると述べた。同氏によると、今年最初の5か月間にイラク軍はISに対して35回の空爆を実施し、51人のISメンバーを殺害したという。
また、本部では、イラク対テロ部隊のサバハ・アル・ノマン氏が、過激派グループはイラクでの支配力を失ったため、主にアフリカ、特にサヘル地域に拠点を築こうとしていると語った。
「イラクの都市はおろか、村さえも制圧するのは不可能だ」と同氏は述べた。また、米軍主導の連合軍はイラク軍に情報を提供するため偵察・監視を継続しており、治安部隊は「この情報を直接処理している」と付け加えた。
ISはイラクでは制圧されているように見えるが、過去数カ月間にシリアで政府軍とSDFの戦闘員数十人を殺害した。
「ISのテロ組織はテロ活動を続けている」とSDFの報道官シアマンド・アリ氏は述べた。「彼らは地上に存在し、過去数年よりも高いレベルで活動している。」
シリア北東部では、SDFの戦闘員が捕らえられた約1万人のIS戦闘員を約24の収容施設で警備している。その中には母国が送還を拒否した2000人の外国人も含まれている。
SDFはまた、将来の過激派の育成拠点とみられる厳重な警備のアルホル難民キャンプで、IS戦闘員とみられる人々の家族約3万3000人を監視しており、その多くは女性と子どもである。
2022年1月、IS敗北以来最悪の攻撃が発生。過激派がシリア北東部のクルド人が運営するグウェイラン刑務所(アル・シナア)を攻撃した。この施設には数千人のIS戦闘員が収容されている。この攻撃によりSDF戦闘員とIS戦闘員の間で10日間の戦闘が起こり、双方で約500人が死亡したが、SDFが事態を鎮圧した。
キャギンズ氏は、イラク治安部隊、イラクのクルド人戦闘員、シリア民主軍(SDF)に対する米国主導の連合軍の「軍事的助言と支援」は「ISIS残党に対する優位性を維持し、シリアの仮設刑務所やキャンプにいる1万人以上のISIS被拘禁者を守るために不可欠だ」と述べた。
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兵庫県:シャチのショーが来場者を魅了、神戸に新水族館オープン
読売新聞
2024年6月29日 11:00(日本時間)
神戸 — 6月1日に神戸市須磨区にオープンした神戸須磨シーワールドで、シャチのパフォーマンスに来場者が歓喜の声をあげた。この水族館は西日本でシャチのショーを開催する唯一の場所である。
神戸市民に長く親しまれてきた市営水族館の跡地にオープンした民間の水族館。飼育していた生き物の約9割を引き継いだ。
新水族館は、シャチのショーが行われるオルカスタジアムなど3つの施設から構成され、約560種、約1万9000匹の生き物が展示されている。
この施設の目玉であるシャチのショーは大変人気があり、水族館のオープン当初からショーの観覧客が絶えない。
シャチが飛び上がってひれで水をはね飛ばすたびに、観衆からは歓声が上がった。
ダイナミックプライシングシステムでは、チケットの料金は大人2,900円から3,700円、中学生以下1,700円から1,800円、65歳以上2,300円から3,100円となっている。
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Five New Meet Records at Japanese Olympic Trials Day Two
Great conditions on the second day of Japan's National Track and Field Championships, U20 National Championships and Paris Olympics trials helped athletes set...
9月の混乱した自民党総裁選で麻生氏と菅氏が重要人物となると予想される
By Yuko Mukai
2024年6月29日 8:00 JST
自民党の「政治とカネ」問題が渦巻く中、6月23日に閉会した通常国会では政治改革が主要議題となった。内閣支持率の低下が続く岸田文雄首相は、他党の要求を多く受け入れながら政治資金規正法改正案を成立させ、国民の信頼回復を図った。だが、法案成立と引き換えに、岸田首相は何か大切なものを手放したのかもしれない。
岸田氏は、政権発足当初から首相を支え、事実上の親のような存在だった有力政治家、自民党副総裁の麻生太郎氏の支持を失ったようだ。麻生氏は岸田氏と常に同じ政治的見解を共有していたわけではない。例えば、麻生氏は自民党の派閥解体の決定に反対し、自身の派閥を維持した。それでも麻生氏は辛抱強く、できる限り岸田氏を支えようとした。
麻生氏は、2008年から2009年にかけて首相を務め、国民の強い反対に直面した経験から、その地位に留まることがいかに難しいかを知っている。同氏はかつて、首相にかかるプレッシャーを「どんよりとした黒い孤独」と表現した。しかし、麻生氏の忍耐は、同氏の反対を押し切って他党の要求を満たす法案を成立させた岸田氏に対して尽きたようだ。麻生氏は非常に不満を抱いているようで、6月初旬には岸田氏からの会食の誘いを断ったこともあった。
麻生氏が岸田氏と距離を置くようになると、自民党議員らは首相の辞任を公に求め始めている。麻生氏とともにこの動きに加わっているのが、もう一人の政治勢力、菅義偉前首相だ。6月23日、菅氏は岸田氏の後任として、9月に予定されている自民党総裁選で新総裁を選ぶべきだと公言した。麻生氏と異なり、菅氏は岸田氏が総裁に就任して以来、現政権と距離を置いている。菅氏は2020年から2021年の任期中も不人気首相で、2021年9月に総裁選に出馬しようとした際、岸田氏が対抗馬として出馬を表明。結果的に菅氏は再選の道を失い、断念せざるを得なかった。議院内閣制では、与党のリーダーが首相に選ばれるのが一般的だ。
3年後、岸田氏は菅氏と似た状況に陥っている。岸田氏が因果応報を信じているかどうかは分からないが、菅氏は現在、ポスト岸田候補たちとより積極的に接触している。
読売新聞など複数の調査によると、自民党の政治家で国民に最も人気の高いのは石破茂氏だ。政策通で防衛大臣や幹事長を務めた石破氏は、党外では人気があるが、同僚からは不人気だ。2012年9月の総裁選で、当時国民の間でも最も人気のあった石破氏を安倍晋三氏が破ったことからもわかるように、自民党には党首を選ぶ独自の論理がある。総裁選の投票者はもっぱら党員、主に国会議員で、友情、忠誠心、義理などを優先する。石破氏は、党が国民の厳しい批判にさらされた際に一度離党したが、後に復帰。麻生氏が首相だったころは、閣僚だったにもかかわらず、麻生氏の辞任を要求。安倍政権下では、野党に負けず劣らずメディアで首相を批判した。 こうした過去の行為が自民党議員らに完全に忘れ去られているとは考えにくい。
小泉進次郎氏は、小泉元首相を父に持ち、国民に2番目に人気の高い候補者だ。環境大臣を務めた経験はあるが、党の幹部職に就いたことはない。首相になるには経験不足が懸念される。河野太郎氏も有力候補だ。外務大臣や防衛大臣を務めた経歴があり、国際的にはよく知られている。しかし、国内では自民党議員としては珍しく、強力な政治改革論者として知られ、むしろ政界の異端児とみなされている。菅氏は、小泉氏や石破氏も含まれていた2021年総裁選で、岸田氏に対抗して河野氏を支持した。河野氏は現在閣僚で、麻生派に所属している。報道によると、菅氏は、河野氏が麻生派を離脱せず、過去の総裁選で麻生氏の支持を得られなかったことに不満を抱いているという。
経済安全保障担当大臣の高市早苗氏も野心的だ。彼女は2021年の総裁選に安倍首相の支援を受けて出馬したが、安倍首相抜きでどれほどの支援が得られるかは不明だ。岸田派に属していた外務大臣の上川陽子氏も有力候補として噂されているが、岸田氏が再選を目指す限り、彼女はあまりに従順すぎるため出馬しないだろう。
自民党幹事長の茂木敏充氏は首相就任を公言している。麻生氏や菅氏とも定期的に会っており、岸田氏に解散を迫られた派閥の元代表でもある。菅内閣で官房長官を務めた加藤勝信氏も有力候補だ。しかし、茂木氏と加藤氏に共通する最大の弱点は国民の支持率が極めて低いことだ。次期総裁の重要な課題は、首相として衆院解散を行い、その後の総選挙で勝利して自民党政権を維持することであり、茂木氏と加藤氏の支持率の低さは大きな障害となる。党の刷新をアピールするため、総裁選でニューフェイスを投入する動きもある。
候補者名簿を見ると、国民や党員が一致して「ポスト岸田候補」と認める人物はいないようだ。麻生氏や菅氏が誰を支援するつもりなのかも不明だ。
もちろん、岸田氏が奇跡的に支持を集めて再選される可能性がないわけではない。同首相は逆境に強いことで知られている。人気タレントを閣僚に起用する内閣改造は、政権が支持回復を図るためによく使われる手法だ。しかし、読売新聞の最新世論調査で支持率が過去最低の23%に落ち込んだ岸田氏に内閣改造を行う力はなさそうだ。
総裁選で支持回復に失敗すれば、野党への政権交代が現実味を帯びてくる。しかし、自民党はかつて社会党出身者を首相に据えた強硬派。再び野党になることは避ける構えだ。
2009年に自民党が政権を失ったときに首相を務めた麻生氏と、党の選挙対策本部幹部として彼を支えてきた菅氏は、特にその点では覚悟が固いだろう。菅氏は最近、「野党に政権を渡すことは絶対に許されない」と発言している。自民党の未来の鍵を握るこの2人が、9月の総裁選で誰を選ぶのか、注目が集まる。国会は閉会中だが、自民党内では忙しく、政治的に白熱した夏が待っている。
Political Pulse は毎週土曜日に掲載されます。
Yuko Mukai
向井裕子は読売新聞ワシントン特派員。
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数十年後、日本の松本サリン事件の犠牲者は記憶に残る。オウム真理教による最初の大量殺人から30年が経過した。
鈴木直人/読売新聞記者
2024年6月29日 6:00 JST
長野県松本市 — 長野県松本市でオウム真理教が実行した致命的なサリン神経ガス攻撃から30年が経過した。
オウム真理教による最初の無差別大量殺人事件では、1994年6月27日深夜、オウム信者が住宅街で猛毒のサリンガスを撒き散らし、8人を殺害した。その後、同教団は1995年に東京地下鉄で起きたサリンガス攻撃(14人が死亡、6,000人以上が負傷)など、一連の犯罪を起こした。
伊藤智美さんは松本事件で殺害されたとき26歳だった。事件の影響がほとんどの人々の記憶から薄れつつあるにもかかわらず、彼の母親の悲しみは今も強く残っている。
智美さんは、太平洋を見下ろす千葉県南房総市の丘の上の墓に眠っている。
最近の訪問で、84歳の母親、伊藤洋子さんは、息子と同じ身長1.78メートルの墓石を愛情深く撫でた。
「私はまだ息子の夢を見ます。夢の中では、彼はいつも子供のように見えます…」とヨーコさんは言う。
智美さんは和田町(現南房総市)に生まれ、両親が共働きだったため祖母に育てられた。道内の高校に進学後、北海道の大学で薬学を学び、卒業後は製薬会社に就職した。
入社後すぐに受けた薬剤師試験に合格した智美さん。当時、社内研修に参加していた陽子さんが智美さんに代わって保健所へ免許証を受け取りに行った。
「息子の努力の証なので本当に嬉しかった」と洋子さんは言う。その時は、自分が作った免許証のコピーが息子の思い出の品になるとは思ってもいなかった。
友美さんは松本市内の職場に配属された。94年6月28日朝、陽子さんは勤務先の役場で、息子の名前がテレビで報道されたと聞き、夫の輝雄さんとともに松本へ向かった。
大学病院で夫と会った時の友美さんの表情は穏やかだったと彼女は言う。「毒ガスで亡くなったと聞きましたが、よく分かりませんでした」。あまりの緊張のせいか、彼女は涙を流さなかった。
ヨーコさんによると、トモミさんは家族を大切にしていた。初めての給料の一部を祖母に渡し、母の日にヨーコさんにハンカチを贈った。
ヨーコさんが悲しみを忘れることができたのは、町役場で地元の歴史を編纂する仕事に没頭していたときだけだった。
オウム真理教が犯罪を犯していたことが発覚した後も、教祖の松本智津夫(別名麻原彰晃)は犯行について一度も謝罪せず、洋子さんはそのことに対して恨みと虚しさを抱き続けている。
ほぼ毎日、松本さんの写真をみては、松本さんと立場が入れ替わればよかったのにと口にしていた朋美さんの祖母は、2001年に94歳で亡くなった。松本さんの死刑執行を早く望んで朋美さんに伝えたかったテルオさんは、酒を大量に飲むようになり、頻繁に病気になり、2007年に72歳で亡くなった。
松本氏は2018年7月に63歳で死刑執行された。
ヨーコさんは今も定期的に息子の墓参りに通っている。「決着をつけたいと思っても、終わりがありません。息子の同級生を見ると、もし生きていたならどんな人生を送っているのだろうと考えてしまいます」とヨーコさんは言う。
13人が処刑された
松本事件では、当初、当局に事件を通報した河野義之氏が誤って容疑者とされた。彼の妻、河野澄子さんは2008年8月にサリンの後遺症で亡くなり、命を奪われた8人のうちの1人となった。
この襲撃は、教団の道場建設をめぐる民事訴訟でオウム真理教に不利な判決を下す前に、長野地方裁判所松本支部の判事官邸を狙ったものと断定された。
教団創設者のほか、オウム真理教の元幹部12人が2018年7月に処刑された。
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日本、臓器提供拒否防止に向け一歩を踏み出す。収益性の低さが病院が手術を行わない要因に
By Naoko Kagemoto and Tomoko Kito / Yomiuri Shimbun Staff Writers
2024年6月29日 1:00 JST
3つの大学病院が心臓移植手術を準備する計画は、大きな負担がかかっている医療移植制度の緩和に向けた重要な一歩となる。
医療移植はこれまで利益率の低い分野であり、移植手術を始めようとする病院はほとんどなかったため、今回の展開は移植を待つ患者にとって朗報である。
東京医科歯科大学は来年度にも心臓移植センターとしての登録を申請する予定だ。
「東京大学は関東地方の移植医療の重い負担を担っている」と同大学の心臓血管外科の専門家である藤田智之教授は言う。
同大は今年、ドイツや移植実績が豊富な国立循環器病研究センターに心臓外科医や循環器内科医を派遣し、経験を積んだ。また、学内のタスクフォースでマニュアルの作成や定期的な研修会も進めており、2025年4月には移植医療部門を新設する予定だ。
日本心臓移植学会の最近の調査によると、東京大学医学部附属病院は2023年に脳死患者からの心臓提供を15件断った。今月行われた別の調査では、病院が臓器提供を断ったために手術を受ける機会を失った患者5人が、いまだに移植を受けていないことが明らかになった。
「東京医科歯科大学が移植手術の実施を認可され、実際に手術が行われれば、東京大学の負担は軽減される」と心臓外科の専門家である東京大学の小野実教授は言う。「人事交流や教育など、できる限りの協力をしていきたい」
厚生労働省は18日、移植を待つ患者が複数の医療機関で手術を受けるための登録ができる制度を創設する方針を発表した。例えば、東大での移植が困難になった場合、東大病院と連携している東京医科歯科大学で手術を受ける選択肢が患者に与えられる。
地域格差を埋める
中国・四国地方には心臓移植センターがなく、これらの地域に住む患者が移植を希望する場合は、大阪大学や九州大学などの病院に登録する必要があった。
岡山大学には肺、肝臓、腎臓の移植ができる施設がある。2013年に大学病院で心臓移植が1件行われたが、施設運営の要件変更に伴い登録対象から外れた。
岡山大学心臓血管外科の笠原真吾教授は「大阪大学や国立循環器病研究センターと緊密に連携し、まずは年間5件程度の移植を目指したい」と語った。
愛媛大学病院は今春、心臓移植実施施設として登録され、移植に必要な体制を整えるなど準備を進めている。
ハードル
心臓、肺、肝臓の移植手術のほとんどは国公立の医療機関で行われており、移植センターとなる準備を進めている3大学も国立大学だ。
病院が臓器移植を行わない理由の一つは、収益性の低さだ。休日や夜間も含めて常に十分なスタッフを揃え、手術室を稼働させておくには費用がかかる。長期入院患者を抱えると病院が負債を抱える可能性もある。
「心臓移植を行うことは私たちの夢であり、社会貢献の一環です」と東京医科歯科大学病院の藤井康久院長は語った。
もう一つの理由は、移植チームを組む際に、さまざまな専門性を持った人材を育成するのに時間がかかることです。安全な移植には、外科医だけでなく、麻酔科医、内科医、看護師、臨床工学技士などが必要です。
2023年の脳死臓器提供は過去最多の132件、心臓移植は115件。厚生労働省の研究チームは、国内で同年に脳死の可能性がある患者が少なくとも1万人いると推計しており、努力すれば提供者が大幅に増える可能性もある。
5月時点で、日本では心臓病患者842人を含む1万6000人以上が移植を待っている。
臓器提供拡大に取り組んできた労働者健康安全機構顧問の有賀徹氏は「移植施設が増えても、社会貢献という使命を病院側の良心に頼る現状では、いずれ医療現場は疲弊してしまう。国が財政支援など強力なバックアップをすべきだ」と指摘する。
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日本オリンピック選考会2日目プレビュー
日本のオリンピック選考会、 全国選手権と全国U20選手権は、金曜日に新潟のデンカビッグスワンスタジアムで続きます。 ライブ結果はここで発表されますメニューの内容:決勝戦女子円盤投げ決勝 - 14:002023年全国チャンピオン Maki Saito パリランキングでは45位で、3月の58.47の自己ベストで優勝してもトップ40には入らない。NR保持者 美しいコーリー 今シーズンは調子が良い時よりも悪い時の方が多く、57メートル以上投げたのは3回だけ。勝敗はほぼこの2人次第だろう。斎藤麻希(東海大学) - 58.47 m SB / PB郡菜々花 (新潟アルビレックスRC) - SB 57.85m / PB 59.03m辻川みのり(内田洋行AC)...
日本初の女性検事総長に宇根本氏が任命
東京、6月28日(時事通信) — 日本政府は金曜日、東京高等検察庁の畝本尚美検事長を検事総長に任命することを決定した。同氏は日本の検察のトップに立つ初の女性となる。
畝本氏(61歳)は7月9日付で就任し、退任する甲斐幸男現検事総長の後任となる。
1988年に検事となった畝本氏は最高検察庁に勤務し、広島高検の検事長を経て、2023年1月に東京地検の検事長に就任した。
東京検察庁のトップには斎藤隆博次長(61)が就任する。
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官民投資ファンド:巨額損失を踏まえ戦略を見直す
社説
2024年6月28日 15時18分
たとえ官民投資ファンドが政府の政策として意義を持つとしても、それは財政赤字の膨張が容認されることを意味するものではない。
政府は官民ファンドが巨額の損失を出した原因を検証し、投資手法を見直す必要がある。
海外のインフラ事業への企業投資を支援する国土交通省所管の官民ファンド「海外交通・都市開発事業支援機構」(JOIN)は、2023年度に799億円の損失を出した。
累積赤字は1000億円近くに膨らむ見通しで、投融資総額約2500億円のうち約4割の回収は困難となる。
官民連携の投資ファンドは、政府の成長戦略の一環として2013年以降に数多く設立され、主要なものは10以上ある。
クールジャパン機構は累積赤字が398億円に達し、以前から問題視されてきたが、JOINの赤字はクールジャパン機構の1年間の赤字をはるかに上回っており、はるかに深刻な問題である。
同省は、業務改善策を議論する有識者会議を設置する予定で、投資戦略の問題点などを精査することが期待される。
中国が一帯一路構想で途上国のインフラ整備を推進し、巨大経済圏を創出する中、JOINを通じて日本企業の海外展開を支援するという日本政府の狙いは、それ自体理解できる。
JOINの巨額損失の大きな原因の一つは、米テキサス州での新幹線建設事業だ。JOINは米企業に出資したが、現地の事情などから鉄道事業の先行きは不透明で、417億円の損失を計上せざるを得なかった。
また、ミャンマーでは軍事クーデターの影響で都市開発事業が中断し、179億円の損失が発生した。
官民ファンドは、民間では難しいリスクを政府が引き受け、民間事業を補完する形で資金を運用する仕組みで、大きな利益を上げることよりも、大きな損失を回避することを運用原則としています。
JOINの現状の問題は、1件当たりの投資額が多すぎることが大きい。また、地政学的リスクが過小評価されている面もある。国民の負担を最小限にとどめる方策を講じる必要がある。
テキサス州の計画は今年4月の日米首脳会談で引き続き推進することを確認した。日本の新幹線技術を世界に示すモデル事業にもなる狙いがあるが、投資を回収できる可能性があるのか精査する必要がある。
同省はJOINの巨額損失についてホームページで情報を掲載したが、記者会見などは行っておらず、責任追及もされていない。
国の財政を管轄する財務省はJOINへの監視を強化し、国土交通省にJOINの問題に対処するよう強く求めるべきだ。
(読売新聞2024年6月28日号より)
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日本の3大学が心臓移植手術開始へ準備、医療移植システムの負担軽減目指す
読売新聞
2024年6月28日 15時51分
読売新聞の取材によると、日本の3つの大学病院が心臓移植手術を開始する計画で、医療移植制度の負担軽減につながると期待されている。
この動きは、脳死ドナーからの臓器提供が増加していることを受けてのものだ。また、最近の調査では、医療機関が人手不足や病床不足を理由に、2023年に脳死ドナーからの心臓提供を16件断ったことがわかった。
東京医科歯科大、岡山大、愛媛大の国立3大学の病院で心臓移植手術が認可され、心臓移植が可能な医療機関は全国で14施設に増える。
東京医科歯科大学は、移植を待つ患者が多い東京大学から約1キロの距離にある。日本心臓移植学会が今月発表した調査では、東京大学は16件の心臓移植のうち15件を断った。東京医科歯科大学は移植チームを急速に育成しており、移植問題で東京大学と緊密に連携していく方針だ。
東京理科大学は10月に東京工業大学と合併し、東京理科大学となる。大学は心臓移植の実施によって、新研究所の能力と才能を披露したいと考えている。
岡山大学病院は肺、肝臓、腎臓の移植を行っており、脳死臓器移植では国内最多の実績がある。承認されれば、同大学は中国地方で初めて心臓移植を行うことになる。愛媛大学病院は四国初の心臓移植センターとなる。
心臓移植の認定には、日本循環器学会などで構成される協議会の認定を受け、日本医学会の委員会で選定される必要がある。その後、臓器提供の仲介役を務める日本臓器移植ネットワーク(JOT)に移植施設として登録し、実施できる。国立成育医療研究センターは2020年、国内11番目の心臓移植登録施設となった。
東京医科歯科大学と岡山大学は来年度にも協議会に申請する予定。JOTによると、愛媛大学はすでに登録手続きを終え、心臓移植に必要なシステムを導入するなどの準備を進めているという。
心臓移植の専門家である千里金蘭大学の福島宣秀学長は、3大学の動きを歓迎した。
「移植施設を増やし、移植を待つ患者の偏在を緩和することが、医療機関の臓器不足問題の解決につながる」と福島氏は言う。「それと合わせて、各医療機関は移植用臓器の受け入れ態勢を万全に整える必要がある」
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