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ジェネリック医薬品不足:少量多品種生産体制の見直し

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咳止め薬など、一般的に使用されているジェネリック医薬品は、常に品薄状態にあります。この状況は、ジェネリック医薬品メーカーの多くが、多種多様な医薬品を少量しか生産できない中小規模の企業であることに起因しています。

生産能力を高めるために業界を再編すべきではないでしょうか?

ジェネリック医薬品は、特許が切れた先発医薬品と同じ有効成分を使い、開発コストを低く抑えられるため、安価で入手できる。国が医療費抑制策として普及を推進した結果、現在では医薬品全体の8割を占める。

しかし、2020年に入ってからジェネリック医薬品メーカーによる品質管理不正が相次いで発覚。20社以上が業務停止などの行政処分を受け、供給に支障が出ている。新型コロナウイルスなどの感染症拡大による医薬品需要の高まりも影響し、急激な医薬品不足に陥っている。

厚生労働省は業界に対し増産を繰り返し要請している。

しかし、約190社のジェネリック医薬品メーカーの多くは、数十種類の医薬品を製造するのに数本の生産ラインしか持たず、急激な生産増加に対応できる能力がないため、現在、ジェネリック医薬品の30%が不足している。

多数のメーカーが少量ずつ類似の医薬品を生産している現状は、業界全体から見れば非効率と言わざるを得ません。品質管理体制も不十分になりがちです。

合理的な生産体制を構築するためには、企業の統合やグループ化を進めることが重要であり、政府は企業統合に対する税制優遇や設備投資に対する補助金などの支援策を講じるべきである。

ジェネリック医薬品は今や医療を支える重要な基盤であり、メーカーには重い社会的責任がある。医薬品供給の正常化は業界全体の使命であることを自覚すべきだ。

こうした積極的な取り組みは、不祥事で揺らいだ製薬各社への信頼回復にもつながるだろう。

制度的な要因も考慮する必要がある。ジェネリック医薬品は特許切れのオリジナル医薬品の約半額で販売されている。さらに、多くの企業が同じ成分の医薬品を製造しているため、価格競争が激化している。

毎年改定される薬価は市場実勢価格に合わせて引き下げられ、1錠10円を切る薬もある。また、医療費が膨らむ中、医療機関が受け取る支払いの財源を確保するため、薬価は引き下げられる傾向にある。

このような状況を放置すると、高品質なジェネリック医薬品の生産を継続することが困難となり、高品質な医薬品を安定的に供給するためには、ジェネリック医薬品の価格を適正な水準まで引き上げることを検討する必要がある。

(読売新聞2024年7月29日号より)



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