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障害者グループホーム:福祉を軽視する不正は許されない

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障害者支援制度を悪用し、利益を得る行為は断じて許されない。障害者が安心して暮らせる環境を守らなければならない。

障害者グループホームを運営する「めぐみ」が入居者に食費を不当に請求していたことがわかった。請求総額は3億円に上ると報じられている。

愛知県と名古屋市は障害者総合支援法に基づき、県内のめぐみ施設5カ所の指定を取り消す方針を固めた。厚生労働省も不正が組織的だったとして連座制を適用し、全国のめぐみ施設約100カ所の運営停止処分も検討する方針だ。

グループホームは知的障害や精神障害のある人が少人数で生活し、職員から食事や入浴の介助を受ける施設。めぐみさんは入居者から実際の食費の3倍を徴収し、会社の利益に流用していた。

これは、ホーム運営者が入居者から食費の実費のみを徴収できるとする厚労省の規定に違反する行為だ。入居者に十分な食事を提供せず、障害者の人権を無視した悪質極まりない行為だ。

障害者にとって、施設での扱いに不満を表明することは難しい。入所者の中には、十分な食事を与えられず体重が減った人もいるという。

運営できなくなるめぐみ施設入所者は全国で1800人いる。国や自治体は、入所者が住む場所を失わないよう、新たな住居の確保など対策に全力を尽くすべきだ。

めぐみ氏はまた、従業員の勤務記録を偽造し、実際には行われていない業務に対して公費による報酬を請求するという不正行為を行っていた。刑事告訴も検討されるべきである。

これまで障害者は、長期間、管理下にある大規模な施設に入所することが多かった。こうした状況を変えるため、厚労省は障害者が少人数で自立した生活を送ることができるグループホーム制度を導入した。

この制度は、法人がグループホームの運営に参加できる制度で、現在、全国で1万3000施設に17万人以上が暮らしている。

課題は施設の質の確保だ。めぐみ以外にも、入所者への虐待や報酬の不正請求は後を絶たない。障害者の命を大切にするはずの施設が、入所者の人間としての尊厳を否定するような扱いをしていることは深刻な事態だ。

国や自治体は、全国の施設を定期的に点検する仕組みを作る必要がある。第三者によるチェック機能を導入するなど、施設の隠蔽を防ぐことが重要だ。障害者が地域の一員として、社会に開かれた施設で暮らせる環境を確保する必要がある。

(読売新聞2024年7月22日号より)



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