ホーム Fuji 選挙の混乱:金儲けや宣伝活動を防ぐ対策を早急に策定

選挙の混乱:金儲けや宣伝活動を防ぐ対策を早急に策定

28
0


民主主義の基盤である選挙を金儲けや宣伝活動の手段として悪用することは許されない。

与野党は法改正の議論を始めており、自治体でも選挙の混乱を招く行為を禁止する条例を制定する動きが出ている。必要な対策の議論を急ぐ必要がある。

自民、公明両党の公職選挙法改正に向けた実務協議では、選挙ポスターや選挙ポスターボードの金銭目的利用の防止や選挙放送の公正性確保などが議論されている。

先の東京都知事選では、NHK党が選挙ポスター掲示権を金銭化。立候補していない人たちが権利を購入し、風俗店の広告や自分の子どもの写真などを載せたポスターを多くの掲示板に貼っていた。

ポスター掲示板は有権者が誰に投票するかを決めるために公費で設置されている。それを金儲けに使うなんてとんでもないことだ。

NHK党は東京都知事選に多数の候補者を立てた。1人の人を選ぶ選挙で、一つの政治団体が複数の候補者を立てたことも有権者を愚弄するものだ。

選挙活動の放送中に、候補者が突然服を脱いで露出したり、奇声を発したりするケースもあった。

衆議院議員の任期は来年10月末で終了し、年内にも衆議院選挙が実施される可能性がある。また、参議院選挙は来年7月に予定されている。

このまま放置すれば、各地で行われる地方選など他の選挙にも混乱が波及し、有権者の選挙離れが進めば政治への信頼が失われかねない。

自民・公明協議では、ポスターボードの営利目的の使用禁止や、候補者の名前や顔写真の掲載を義務付ける案も浮上したという。

また、知事選などの選挙で一つの政治団体が多数の候補者を立てることを防ぐため、立候補時の供託金の引き上げも検討されている。

立候補にあたり、数百人の署名を集めることを義務付ける案も出ている。これは、立候補にふさわしい候補者かどうかの審査をするためのもので、事実上の推薦制度ともいえる。

立憲民主党や維新の党も公職選挙法改正の検討を始めた。秋の臨時国会で法改正できるよう与野党が連携して取り組むべきだ。

鳥取県は選挙と関係のないポスター掲示を禁止する条例を制定する予定だ。各自治体は選挙の公正さを確保するため議論を深めるべきだ。

(読売新聞2024年7月22日号より)



もっとニュース

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください