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元オリンピック柔道メダリストの泉がパリでエジプトチームを指導、将来のメダリスト育成を目指す

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読売新聞
左は泉宏選手が7月11日、神奈川県平塚市の東海大学でエジプトのチームメンバーと練習している様子。

日本で最近行われた柔道の練習で、泉宏さんはチームメンバーの一人に、柔道着の襟を掴みながら、まっすぐに目を見て指示を出していた。しかし、泉さんは英語で話し、知っている簡単なアラビア語も少し混ぜていた。

元日本代表のオリンピックメダリストである泉さんは、パリ五輪に柔道で2選手を擁するエジプト代表のコーチ。言葉や文化の違いを乗り越えながら、「五輪メダリストを輩出する」という明確な目標を掲げている。

2004年アテネ五輪90キロ級で銀メダルを獲得した42歳の泉選手は、新たなキャリアをスタートさせるため今年1月にエジプトに移住した。

パリ五輪まで2週間となった今、泉監督は2人のエジプト選手を日本に招き、神奈川県平塚市にある柔道の強豪校、東海大学でトレーニングさせた。「選手たちはさまざまなタイプの相手とスパーリングをし、実際の試合の場で練習する機会を得られます」と泉監督は7月11日に語った。「これがオリンピックに向けた最後の調整です」

青森県大間町出身の泉選手は、2008年の北京オリンピックで2回戦敗退し、2大会連続のメダル獲得を逃した後、引退した。翌年、総合格闘技の世界で短期間活躍し始めた。

総合格闘技界を離れてからは、柔道界を転々とし、企業チームの指導や日本各地でのクリニック開催など、柔道界の次世代育成に尽力してきた。

昨年10月、エジプト代表チームのコーチになるというオファーが来た。泉氏は当初、そのチャンスに飛びつかなかった。言葉の壁に加え、泉氏には1歳と5歳の幼い子供が二人いるからだ。

しかし、代表チームのコーチになることはずっと彼の夢だったため、妻の励ましもあり、エジプトへの移住を決意した。家族は日本に残った。

アフリカ選手権での努力が実を結ぶ

泉さんは、外国での指導が日本ほどスムーズに進まないことにすぐに気づいた。

エジプトは国民の9割がイスラム教徒で、ラマダン中は選手たちは日の出から日没まで食事を摂ることが禁じられている。そのため泉さんは選手たちに日没後に食事をするよう呼びかけ、夜間に練習を始めた。練習中はアラビア語の通訳がいないこともあり、伝えたいことが伝わらないことも多かった。

それでも泉さんは、「柔道は技術3割、精神と集中力7割」という信念のもと、辛抱強く指導に励んだ。

彼の努力の成果は4月のアフリカ選手権で実を結び、エジプトは個人種目で8個のメダルを獲得し、混合団体種目でも優勝し、団体総合優勝も果たした。

着実な進歩の源は見過ごされていない。パリで男子81キロ級に出場するアブデルラマン・アブデルガニー選手は、泉コーチが常にサポートしてくれていると語り、泉コーチを世界最高のコーチと称し、自分が見習いたい人物だと付け加えた。

泉選手の契約はロサンゼルス五輪が開催される2028年まで。自身も2度の五輪に出場しており、優勝することがいかに難しいかは十分承知している。しかし、五輪や世界選手権でエジプトのメダリストを輩出するという使命を諦めるつもりはない。

「私は [the Paris Olympics] 「目標としては、ロサンゼルス大会までにどれだけ強くなれるかが課題です。これはまだ始まりに過ぎません」と泉さんは語った。



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