2024年7月15日 16時54分(日本時間)
パリ五輪に向け、女子選手の盗撮を防ぐ目的で新開発の素材を使ったユニフォームが日本で作られた。
この新しいユニフォームは、7月26日に開幕するパリ大会でバレーボール、卓球、ホッケーの日本選手らが使用する予定だ。
近年、女性アスリートを性的目的で秘密裏に撮影することが深刻な問題となっている。
開発に携わった国内大手スポーツ用品メーカー「ミズノ」の田島一也氏によると、約5年前から研究を始めたという。
ミズノは数十の試作品を作り、赤外線を吸収できる特殊な糸を開発した。
赤外線カメラで人物を撮影すると、下着が透けて見えるが、新糸を使った制服なら透けて見えることはほとんどないと田島氏は言う。
ミズノは新素材の開発過程で、アスリートらの意見を集めた。
「盗撮された経験のある選手もおり、こうした対策のおかげで安心してプレーできて嬉しいとの声も聞かれた」と田島さんは言う。
しかし彼は、「アスリートの隠し撮りの問題はまだあまり知られていない」と述べ、「人々がこの問題にもっと注意を払えば、警戒も強まるだろう。人々の考え方を変えることは非常に重要だ」と付け加えた。
ミズノは、この新開発素材をスポーツウエアやインナーウエアにも活用していく予定だ。
バレーボール選手の親戚によると、観客席からは無数のシャッター音がよく聞こえるという。
しかし、その親族は「観客の中には、サーブやタイムアウトの時だけ写真を撮り、試合が始まったら寝ている人もいる。事前に申し込んだ人だけがカメラを持ち込める制度にしてほしい」と憤る。
日本バレーボール協会によると、福岡県で開催されたネーションズリーグのバレーボールの試合では、フラッシュや他の観客の邪魔になる大型機材を使用しない限り、観客は写真撮影が許可された。
別のバレーボールイベントでは、協会は来場者に対し、会場内での盗撮を報告するために専用のクイックレスポンス(QR)コードを使用するよう呼びかけた。
スポーツとジェンダー問題の専門家である城西大学の山口理恵子教授は、ミズノによる新しいユニフォーム素材の開発を「歓迎すべき進展」と称賛した。
ただ、望遠レンズ付きカメラを使った盗撮事件もあると指摘し、「根本的な問題はまだ解決されていない」と述べた。
「スポーツを観る人たちに道徳心を持ってもらい、選手をアスリートとして見てほしい」