2024年7月13日 20:00(日本時間)
水産研究・教育機構は、シラスウナギを人工的に大量生産するプロジェクトにより、生産コストを1匹あたり1,800円まで削減できる可能性があると発表した。
同庁は4日、ニホンウナギの稚魚生産に向けた実証事業の結果を発表し、ウナギの実用化に弾みをつけた。同庁によると、新たな餌や水槽の開発などの試行によりコスト削減を実現したという。
コストは天然ウナギの取引価格の約3倍にとどまるが、委託した水産庁は「ニホンウナギの商品化への道が開けた」としている。
養殖に必要な稚魚は主に天然資源から採取されるが、その生態はよく分かっておらず、近年の国内稚魚の漁獲量は10トン前後で停滞している。
同庁の前身は2010年に人工的に採取した卵からウナギを育て、次の卵を産ませることに成功したが、卵からのシラスウナギの育成は長年難しいとされてきた。
発表によると、同庁は孵化後に健康なウナギを増やす技術を開発し、鶏卵を配合した新しい餌を与えることで成長を促すことに成功した。また、生産効率を高めるため大型水槽や自動給餌システムも開発した。
こうした取り組みの結果、シラスウナギ1匹あたりの生産コストは2016年度の4万円超から1821円に下がった。一方、天然のシラスウナギの取引価格は500~600円程度。水産庁は自治体や民間企業に量産技術を提供して生産規模を拡大し、最終的には1000円以下を目指している。