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最高裁、寄付勧誘の判断条件を定める。統一教会が一線を越えたかどうか下級裁判所が判断へ

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読売新聞ファイル写真
東京・渋谷にある世界平和統一家庭連合日本本部

宗教団体の寄付金勧誘行為が違法かどうかを判断するための条件が、木曜日に初めて最高裁判所によって提示され、第一小法廷は、現在は亡くなっている統一教会の信者が多額の寄付金の返還を求めて訴訟を起こさないと約束した文書を無効とした。

最高裁第一小法廷は判決で、寄付金返還を求めて裁判所に訴えないことを約束する文書は「公序良俗に反し、無効」だと述べた。また、訴訟を起こさないという合意は憲法で保障された「裁判所を利用する権利」を制約するものであるため、文書の有効性は「慎重に判断する必要がある」と指摘した。

最高裁は、元信者の娘が控訴した事件について判決を下した。娘は、統一教会(正式名称は世界平和統一家庭連合)が母親に違法な寄付を強制したと主張していた。娘は宗教団体に損害賠償を求めている。

判決は、酒井徹裁判長をはじめとする5人の裁判官全員一致の意見で言い渡された。同裁判所は、訴訟権の放棄を有効として原告の請求を棄却した東京地裁と東京高裁の判決を破棄し、寄付金勧誘行為の違法性や宗教団体の責任の有無を検討するため、事件を高裁に差し戻した。

同裁判所は、寄付勧誘行為が社会通念にそぐわない場合、寄付勧誘行為が違法とみなされる可能性があると指摘。勧誘行為の行為内容や行為者の属性や家庭環境、寄付額、寄付者や配偶者など家族の資産や生活状況など、さまざまな要素を考慮した上で判断するとした。

この事件では、元信者が財産を売却してまで寄付し、寄付額が日常生活に影響していたと裁判所は指摘。判決によると、21年に91歳で亡くなった元信者は、夫名義の金融資産を処分したり、財産を売却したりするなどして、05~10年に1億円以上を統一教会に寄付した。寄付勧誘行為の違法性については高裁で再審理すべきだとした。

信者は86歳だった2015年11月、公証人役場で「損害賠償や寄付金返還を求める訴訟は起こさない」とする文書に署名・捺印した。信者は約7カ月後に認知症と診断された。

判決は信者の年齢や団体との関係性などを踏まえ、合意に至る経緯や当事者の不利益の程度を総合的に考慮し、「公序良俗に反する」場合は無効とする枠組みを初めて示した。

元信者は長年、教団の心理的影響を受けていた。文書に署名したのは高齢で認知症と診断されたことや、信者の指示によるものだったことなどから、最高裁は「教団は元信者が合理的な判断ができない状況を利用し、一方的に多大な不利益を与えた」と認定し、文書を無効とすべきだと判断した。

これは、統一教会への寄付金をめぐる訴訟で最高裁が下した初の判決だ。統一教会は判決を「残念な結果」と述べ、下級審で自らの主張の正当性を改めて主張すると述べた。



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