2024年6月18日 13時20分
東京西部の国立市で完成間近だったマンションを取り壊すという開発業者の決定は、地元住民からさまざまな反応を引き起こしている。
地元住民の中には、マンションが富士山の眺望を遮るのではないかと懸念する人もいた。しかし、プロジェクトの終盤でマンションを解体するという決定に驚いた人もいた。
国立市の永見一夫市長は先週の市議会で、開発業者の積水ハウスに地元住民への説明を求めたと述べた。
マンションは地上10階建て、戸数18戸で、JR国立駅から徒歩約10分。7月に完成し、鍵の引き渡しが行われる予定だったが、積水ハウスは6月4日、市に建設中止を通知した。
市によると、開発業者は21年にマンションを建設する計画を発表。発表後、地元からは富士見通りから見える富士山の景観を遮るのではないかとの懸念の声が上がった。
これに対し、開発業者は市議会で景観を保護すると説明した。市はその後、景観に配慮するよう同社に求める指針を2度発行した。
しかし、工事が進むにつれて、富士山の眺望が部分的に遮られることが明らかになった。
同社は、建物の取り壊し決定後の6月11日に公表した文書で「これまで2度にわたり設計変更を行ってきたが、マンションの完成が近づくにつれ、建物が富士山の眺望に影響を及ぼすことが認識されるようになった」とし、「残念ながら現状の建物では眺望に大きく影響するため、眺望を優先する判断に至った」としている。
同社は、このプロジェクトは法律に違反していないが、プロジェクト開始前に建物が富士山の景観に与える影響についての評価が不十分だったと付け加えた。
地元住民の中には解体を歓迎する者もいたが、マンション完成間近にそのような決定が下されたことに驚きを表明する者も多かった。
「富士山は地元の人にとっては馴染み深い風景です。マンションのせいで富士山がはっきり見えにくくなって残念です」と国立市在住で、長年この国の最高峰の眺めを楽しんできた中村耕一さん(70歳)は語った。
しかし、近くに住む73歳の男性は「建物のせいで富士山が見えにくくなるとは思わなかった。解体はやりすぎだと思う」と語った。