5月16日、中国遼寧省丹東から北朝鮮に向けていわゆる「中朝友誼橋」を渡るトラック。
2024年6月14日 17時43分
中国・瀋陽 — 中国と北朝鮮の貿易は回復傾向にあり、これは中国が国連制裁対象となっている隣国を支援することで目指しているものと思われる。
今年は両国間の外交関係樹立75周年に当たるため、両国の経済活動はさらに活発化する可能性がある。
5月中旬のある日、15台以上の大型トラックやトレーラーが、中国遼寧省丹東と北朝鮮の新義州を結ぶ鉄橋、いわゆる「中朝友誼橋」をゆっくりと渡った。
老朽化した橋は、車が通るたびにきしむ。税関を通過するためにドライバーが長くなる列に並んで待つ間、交通渋滞が生じた。これは昨年の 10 月には想像もできなかった光景だ。地元の人々によると、50 台以上のトラックが橋を渡る日もあるという。
丹東市の衣料品・家庭用品店の駐車場で、中国人作業員がトラックの荷台にできるだけ多くの荷物を詰め込もうとしていた。中身について尋ねられると、男性は北朝鮮へ輸送中であることを認めたが、中身を説明せずにすぐに立ち去った。
中国と北朝鮮の貿易総額は、新型コロナウイルスの影響で国境が閉鎖された2020年から減少し始めたが、現在は鉄道やトラックによる陸路貿易が再開され、回復に向かっている。
中国税関当局によると、2023年の中国と北朝鮮の貿易総額は23億ドル(約3583億円)に上り、パンデミック直前の2019年と比べて80%に上った。
主な貿易品はかつらだ。中国は北朝鮮に人毛を輸出し、そこでかつらに加工されて中国に輸出される。4月の北朝鮮の対中輸出の半分以上をかつらが占めた。
「かつらは外貨を稼ぐ貴重な手段であり、経済制裁の対象ではない」と外交筋は、国連安全保障理事会が北朝鮮に課している経済制裁に言及して語った。
両国は外交関係樹立75周年に当たる今年を「友好の年」と位置づけ、高官同士の訪問も行われている。
4月、中国共産党の序列3位である全国人民代表大会常務委員会の趙楽際委員長は平壌で北朝鮮の金正恩委員長と会談し、中朝協力関係をさらに発展させる方針で合意した。
今後の焦点は、2010年に丹東で建設が始まった全長約3キロのもう一つの橋「鴨緑江大橋」がいつ開通するかだ。
北朝鮮側の通関施設の工事が遅れているとの指摘もあるが、75周年の10月に橋が開通するとの見方もある。
しかし、中朝貿易関係者は「北朝鮮は橋の開通でどれだけの利益が得られるかを見極めている」と語り、北朝鮮が貿易赤字がさらに悪化すると判断すれば、橋はすぐには開通しないだろうと示唆した。