国内で暴走運転による死傷事件が相次ぐ中、政府はいわゆる危険運転事件に対する刑事罰の明確化を進めている。
法改正を求める背景には、危険運転致死傷罪を処罰する現行法での高速・酒気帯び運転犯罪の処罰の明確化を求める遺族らの切迫感がある。
法務省の有識者会議は11月13日、刑罰要件の方向性を示す報告書案を示した。近年、法律の適用性がよく見ても曖昧な事件がいくつかある。
捜査当局は改正を歓迎しているが、法律専門家らは、危険運転事件における「適切な数値基準」を決めるのが難しいため、法律の明確化は困難になる可能性があるとみている。
東日本の群馬県の市で飲酒したトラック運転手が車に衝突する事故で近親者3人を失った女性は、今月初めのインタビューで現行の法制度に遺憾の意を表明した。
2024年11月8日、群馬県伊勢崎市で起きた飲酒運転死亡事故で起訴された飲酒運転トラック運転手の厳罰を求める署名を提出するため、遺族らが前橋地検に提出した。 (共同)
2日午後の事故で息子、孫、曾孫を亡くした女性は「被害者の気持ちを考慮していたら、今のような制度は設けられなかったと思う」と語った。 5月6日。
トラックの運転手は法定速度を超えて時速90キロまで加速し、中央分離帯を越えて対向車線に突っ込み、車に衝突した。同じく突っ込まれた別の車に乗っていた女性も軽傷を負った。
トラック運転手の鈴木五郎被告の勤務先によると、その後、車内から焼酎の空き瓶数本が見つかったが、前橋地検は当初、業務上過失致死容疑で起訴した。
起訴内容に納得しない死亡者の遺族らは要求を続け、地検はその後の追加捜査でアルコールが原因であると判明し、10月に鈴木被告の起訴内容を危険運転致死傷に変更した。
捜査関係者によると、事故で重傷を負った鈴木容疑者は、事故当日、出勤してから運転を開始するまでの約40分間に酒を飲んだ疑いがあるという。
家族3人を亡くした女性は「『危険運転はここから』と明記した、よりシンプルな法律にしてほしい」と語り、「国民にとってわかりやすい法律を」と求めている。 」
今月初め、死亡した3人の遺族は、鈴木氏(70)への厳罰を求める支持的な市民からの8万3000筆の署名を地方検察庁に提出した。
被害者の一人の妻はインタビューで、「署名運動を通じて、多くの人が家族を支援するために怒りを表していると感じた」と語った。
前橋市内とオンラインで行われた署名活動で、前橋地裁は違反行為の法定刑を重くする変更を認めた。
今月初めに会合した専門家委員会は、危険運転事例を定義する際にアルコール摂取量の数値基準を設定したドイツの事例に焦点を当てた。
酒気帯びで安全運転ができなくなった者に対する刑法上の罰則については、ドイツでは血中アルコール濃度として血液1ミリリットル当たりアルコール1・1ミリグラムという基準が適用されている。
血中アルコール濃度の影響はすべての人に影響を及ぼすとの意見が出されたことを受け、日本政府の専門家会議は「ドイツの事例は参考に値する」と判断した。彼らはまた、法律を執行するための速度に関する数値基準を設定することも主張した。
2021年に当時19歳だった男性が時速194キロで交差点を右折していた車に突っ込んだ死亡事故のように、「過失」で起訴されたドライバーが後に危険運転に切り替えられるケースは数多くある。時速60キロの制限速度のある道路で。
現在、日本の南西部の大分地方裁判所で公判中であり、今月下旬に量刑が言い渡される予定であるが、23歳の被告は50歳の男性を死亡させた危険運転の罪で懲役12年の判決を受けている。男性の弁護人は公判で過失を主張した。
有識者会議の委員の大半は「異常と考えられる」状況を表す数値で数値基準を設定できるとの意見だった。
しかし、彼らは、速度基準を超えた違反者は自動的に違反となる一方、速度基準を下回っている可能性のあるドライバーは個別に判断され、釈放されないようにする「緊急時対応計画」を構想している。
現在の危険運転に関する規定では、捜査を担当する検察当局はその適用性について確信を持っていない。
法務省幹部は「客観的な基準を設けることで現場の職員も理解しやすい」と改正を歓迎する。 「世論の感覚に近づければ、さらに良い」。
報告書案をもとに法改正の議論が進むとみられるが、先行きを懸念する声もある。
首都大学東京の星秀一郎教授(交通違反刑法)は、飲酒の場合、許容範囲は人によって異なるため、客観的な数値基準を定めるのは難しいと指摘する。
同氏はまた、速度は道路状況や運転能力などの個人的な要因に大きく影響されると主張する。
アルコールや速度の測定が法廷で争われるケースも一定数あり、「基準を超えているかどうかを証明する確実な技術」があるのか疑問が生じている。
専門家会議は慎重な立場ではあるが、中間刑法、いわば危険運転と過失の中間の法律を創設する必要があるとの立場をとっている。
委員会のメンバーは「遺族は『過失』という言葉に非常に不快感を抱いている」と述べた。
同委員は「過失とは言えない処罰の種類についてさらに検討すべきだ」と国民との継続的な議論を求めた。
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