社説
2024年7月24日 15時47分(日本時間)
世界中で紛争が続く中、パリ五輪が開幕する。各国の選手たちの活躍を観て、平和の祭典の意味を改めて考えてほしい。
開会式は7月26日に行われる。競技は7月24日に始まり、8月11日まで続く予定。200を超える国と地域から約1万人の選手が参加する予定だ。
ロシアの侵略に苦しむウクライナからは、約140人の選手が参加する。ガザ地区ではイスラエルとイスラム主義組織ハマスとの戦闘が続く中、パレスチナの選手も出場する。これらの選手は、戦争の惨禍に苦しむ人々に希望をもたらすだろう。
ウクライナ出身の女子レスラーは、自国の国旗を高く掲げ、国民が幸せを感じる瞬間をもたらしたいと語った。
母国ではスポーツ施設が次々と破壊されている。C:Users870031work.html
C:Users870031AppDataRoamingCodeUsersnippetshtml.jsonウクライナのレスリングと新体操のチームは戦争を逃れ、トレーニングのために日本に来ました。選手たちは、耐えてきた困難にもかかわらず、トレーニングを続けており、称賛に値します。
オリンピック憲章は、オリンピックの基本原則として「スポーツを人類の調和のとれた発展に役立て、平和な社会の促進を図る」ことを目標と定めています。今こそ、この原則を体現すべき時です。
戦争を積極的に支持しないなど一定の条件を満たしたロシアとその同盟国ベラルーシから中立の立場の選手約30人が個人の資格で大会に出場する。
国際オリンピック委員会は国籍による差別は行わないとの立場を取っているが、ウクライナ選手の心情を考えると、この対応は疑問だと言わざるを得ない。
新型コロナウイルスの影響で無観客で行われた東京オリンピックとは対照的に、パリオリンピックは観客が多い。開会式では選手団がパリ中心部のセーヌ川沿いを船でパレードする。観光地で競技を行い、選手と観客が交流する魅力的な企画だ。
ただ、競技はスポーツ施設以外の広場などで行われることもあり、テロや犯罪をいかに防ぐかが課題となる。当局には厳重な警備が期待される。
日本からは400名を超える選手が参加し、金メダル20個獲得を目指します。これまでの努力の成果を存分に発揮してくれることを期待します。
心配な展開もある。陸上競技の世界統括団体である世界陸連は、パリ大会から陸上競技の金メダリストに5万ドルの賞金を授与すると発表した。
IOCは賞金制度に否定的で「国際スポーツ団体は賞金をスポーツ全体の普及・振興に使うべきだ」としている。スポーツ団体の活動のあり方について徹底した議論が必要だ。
(読売新聞2024年7月24日号より)
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