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次期首相選びの競争で日本の財政健全性は後回しに

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先進国の中で最悪の日本の財政状況は、次期首相の下で改善される可能性は低く、今週行われた与党自民党の新総裁選でもこの問題に関する議論が著しく欠落している。

政府は2025年度に基礎的財政収支(税収から支出を差し引き、債務返済費用を除く)の黒字化を達成するという目標を掲げている。しかし、迅速な行動を取らなければ達成は困難だろうとアナリストらは警告し、日本銀行が今年17年ぶりとなる2度の利上げを実施したことで利払い費が増加し、政府支出削減と債務削減の課題はより切迫したものになっていると指摘している。

日本の未払いの政府債務は、現在では経済規模の2倍を超えており、急速に高齢化が進む中で社会保障費が膨らんでいることが主な影響で、着実に増加している。

2023年7月3日に撮影された東京の日本銀行本店の写真。(共同通信)==共同通信

岸田文雄首相の3年間の任期中に、新型コロナウイルス感染症対策やロシアのウクライナ戦争に伴う生活費危機、歴史的な円安などにより歳出を増やさざるを得なかったこともあり、財政規模は100兆円以上増加して1,105兆円(7.6兆ドル)となった。

関東学院大学の島沢学教授(財政学)は、円安により日本企業の海外収益が膨らんだため、近年日本の税収が増加していると指摘した。

「しかし、岸田政権下では、税収の増加分が公共料金補助金などの有権者に喜ばれる政策に消えてしまったため、財政状況は改善していない」と、経済財政政策を担当する内閣府の元官僚である島沢氏は述べた。

島沢氏は、日銀が金融正常化を進めることを目指している中、国債利回りの上昇が利払い費や債務償還費の増加につながっていることを踏まえ、政府は債務削減に努めるべきだと述べた。

島沢氏は「増税で基礎的財政収支の黒字化は可能だが、現役世代の負担が増える」と述べ、歳出削減による財政健全化を目指す方が望ましいとの考えを示した。

アナリストらは、政府が次期首相の下で経済対策を実施するため年内に編成すると予想される2024年度補正予算の規模を注視している。

総選挙は2025年10月までに実施する必要があるが、新首相は就任直後に比較的高い支持率を得ることが多いことから、早ければ来月にも衆議院を解散して総選挙を実施する可能性が高いと政治評論家らは指摘する。

選挙の可能性を見越して、自民党総裁選の候補者の多くは、政府の支出と債務の増加につながる可能性のある有権者の経済的負担を軽減することを目指した公約を概説している。

メディアの世論調査で国民に人気のある候補者の中で、小泉進次郎氏は現金給付を通じて低所得世帯や年金受給者への支援を拡大することを約束し、一方、岸田内閣の現経済安全保障担当大臣である高市早苗氏は政府支出による経済成長を主張している。

一方、河野太郎デジタル大臣は財政健全化の必要性を強調しているが、世論調査では支持を集めるのに苦戦している。

野村総合研究所エグゼクティブエコノミストの木内登英氏は「今回の大統領選で財政健全化が主要議題になっていないのは問題だ」と指摘した。

元日銀審議委員の木内氏は、政府債務が膨れ上がり、将来の世代に返済の負担を負わせることで、今後の経済成長への期待が損なわれると述べた。

木内氏は、候補者は短期的な選挙公約に重点を置くのではなく、中長期的に政府の財政健全化に取り組む必要があると述べた。

「彼らの話し合いから判断すると、状況が好転する可能性は低い」と彼は語った。


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