今月下旬に予定されている与党自民党総裁選挙で、日本の新首相にも就任する勝者は、国内の政治的制約により、10月に開催されるASEAN関連首脳会議に出席できない可能性がある。
政府関係者は、新指導者が大規模な国際協議に参加しない場合、中国が発展途上国でさらに影響力を拡大し、日本の新興国外交に打撃を与える可能性があると懸念している。
地域の安全保障上の脅威に対処するため、ASEAN加盟国など「グローバル・サウス」の新興・発展途上国との関係強化を目指す一方で、日本はこれらの国々と二国間首脳会談を開催する貴重な機会を逃す可能性があると両氏は付け加えた。
自民党の総裁選は9月27日に予定されている。岸田文雄首相は8月、昨年末に発覚した裏金スキャンダルで動揺している与党の総裁としての再選を目指さないと表明した。
岸田文雄首相(左から5番目)が、2023年9月にジャカルタで開催されるASEAN+3首脳会議で他の首脳らと記念撮影する。(共同)
岸田氏の後任は10月1日の臨時国会で任命され、早ければ10月中旬にも衆議院を解散して総選挙を実施するとみられる。一部の議員によると、衆議院選挙は10月27日に実施される可能性があるという。
10カ国からなる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の年次総会が10月8日から4日間、ラオスのビエンチャンで開催される予定であるにもかかわらず、国内のこうした政治的スケジュールにより、新首相は日本に留まる可能性が高い。
会合には、ASEAN諸国、日本、中国、韓国が参加するものと、米国、ロシア、インド、オーストラリア、ニュージーランドを加えた拡大会合が含まれる。
日本の次期首相がASEAN首脳会議に参加する可能性について、外務省の東南アジア担当官は「政治的な判断になるので、現時点では何も言えない」と述べた。
ジョー・バイデン米大統領のラオス訪問も不透明だ。バイデン氏は11月5日の大統領選での再選を断念し、民主党候補としてカマラ・ハリス副大統領が指名される見通しとなったため、レームダック(権力の衰退期)に入っているからだ。
バイデン氏は昨年ジャカルタで行われたASEAN会議を欠席し、ハリス氏が代わりに出席したが、当時ワシントンは、南シナ海と民主的な台湾周辺での中国の軍事的強硬姿勢の高まりをめぐり、共産主義主導の北京と対立していた。
東洋大学の薬師寺克行教授(外交学)は、日本と米国の首脳が出席しなければ、中国は今後開催されるASEAN首脳会議で地域の相手国に自国の主張を訴える上で「何でもできる」ことになるだろうと述べた。
東京と北京が南半球での影響力をめぐって争い続ける中、日本の新指導者が自らこの地域に強いコミットメントを示さない限り、ASEAN諸国は「ますます中国に傾く可能性がある」と薬師寺氏は述べた。
中国は開発援助やインフラ投資を通じて南半球での影響力を拡大している。こうした国々の中には、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカを中核メンバーとするBRICSや上海協力機構など、北京主導のプラットフォームに加盟している国もある。
二国間関係では、東京と北京は、機能不全に陥った福島第一原子力発電所から排出された放射能汚染処理水の海洋放出と、それに伴う中国による日本産海産物の輸入禁止をめぐって意見が分かれている。中国の軍事活動も懸念事項となっている。
外交専門家らは、日本はASEAN首脳会議を南半球諸国との関係改善だけでなく中国との関係改善にも活用すべきだと指摘する。2023年の会合の合間に、岸田外相は中国の李強首相と短い会談を行った。
「ASEAN首脳会議は、日本にとって毎年中国などとの対話の機会を与えてくれる重要なイベントであり、これを活用すべきだ」と日本政府関係者は述べた。
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