2024年5月31日 17時51分
ハロウィーンや年末年始の期間、渋谷駅周辺の路上や公園などでの夜間飲酒を禁止する条例が通年施行され、さらに広い範囲に拡大される可能性がある。
渋谷区は、来街者や観光客のマナー悪化を受け、禁止対象を拡大することを検討している。
条例改正案は6月に区議会に提出され、区は10月1日の施行を望んでいる。市内の一地区が特定の施行期間を超えて路上飲酒を規制するのは異例だ。
区によると、現在は10月下旬から正月前後としている禁止期間を通年に変更する。違反者への罰則は設けない。
施行エリアは、繁華街のある渋谷センター街を含む渋谷駅北側から、区役所や宮下公園周辺、円山町のクラブ街まで拡大される。禁止時間は午後6時から午前5時までとされる見通しだ。
問題は2018年にハロウィーンの夜に飲酒に関連した事件が相次いだことを受けて、区は昨年6月、路上飲酒を禁止する時間帯や場所を定めた条例を制定。警備会社と契約し、警備員を派遣して巡回させていた。
しかし、コロナ禍で飲食店が閉鎖・規制されたことで、路上飲酒が定着し、その傾向は続いた。最近では若者だけでなく、SNSに影響された外国人観光客も流行に乗り、通行の妨げやゴミのポイ捨て、騒音などの苦情が相次いでいる。
区は昨年9月から警備員による毎晩9時間の巡回を始めたが、それでも区の調査ではセンター街で金曜、土曜、祝前日に飲酒を理由に警告を受けた人数は3月の平均107・5人から4月には158・4人に増加した。
外国人が全体の7割以上を占めるため、区は英語やスペイン語が話せる外国人警備員を雇用し、10月から夜間の巡回を11時間に拡大する予定だ。
区の担当者は「条例改正は、ごみのポイ捨てや騒音などの問題に一定の効果をもたらすはずだ。周知が進み、路上飲酒の抑制につながることを期待している」と話した。
路上飲酒を通年禁止している例は沖縄県北谷町や長野県白馬村などにあるが、都市部でこうした措置を取るのは渋谷が初めてとみられる。
奈良女子大名誉教授の清水伸二氏は「ルールを逸脱した路上飲酒が渋谷で騒動を引き起こしていることを考えると、改正は避けられない」と指摘。
「マナーを欠いた行為の代償として、本来楽しいはずのお祭りなどの公共の場での過ごし方が制限されることになるというメッセージとして受け止めなければならない」