By Tatsuya Imaoka / Yomiuri Shimbun Staff Writer
2024年5月26日 14:00(日本時間)
京都 — 村上隆の軽やかで色彩豊かな作品は、日本の近世絵画と現代を結びつけ、圧倒的な熱意をもって鑑賞者の前に飛び込んでくるようだ。
京都市京セラ美術館で個展「村上隆 もののけ京都」が開催されている。海外での活躍が目覚ましい現代美術作家だが、国内では約8年ぶりの大規模な展覧会となる。
「本当に目の肥えた美術鑑賞家、コレクター、制作のプロは世界に50人くらいいると思う。彼らに圧倒的な速球を投げられるように、できる限り最高の作品を作ろうとしている」と村上氏は展覧会開幕前の記者会見で自信を見せた。
展示会場入口には、岩佐又兵衛筆の国宝「洛中洛外図(舟木本)」を題材にした村上氏の大型絵画が展示されている。
村上春樹の「洛中洛外図屛風 岩佐又兵衛死す」は高さ2.3メートル、幅13メートルの大きさで、壮麗な髑髏が描かれた金色の雲に囲まれ、洛中の人々らが歌い踊るお祭りの雰囲気など、洛中市を鳥瞰した図柄が描かれている。
村上氏は、日本の伝統的な絵画や漫画、アニメに見られる平面的な表現を自身の作品に取り入れ、「スーパーフラット」と呼んでおり、西洋のアート界に挑戦してきた。
一枚の絵の中に、すべてをフラットに表現する自由さと楽しさと、常に生と死の狭間に立たされてきた街の脆さが共存している。
洛中洛外図屛風を過ぎると、暗い部屋が見えてきます。
そこには、青龍、白虎、朱雀、黒亀の4つの像を描いた高さと幅がそれぞれ5メートルある4つの絵画が本当に目立っています。これら4つのシンボル、つまり四神神話の動物は、親しみやすいキャラクターとして描かれています。
日本の古代の都である平安京は、この4つのシンボルを国土の守護神として築き上げられたと言われています。
「風神雷神ワンダーランド」の部屋で来場者を迎える「風神」と「雷神」の一対の絵画は、村上作品の本質を物語っています。
村上は俵屋宗達などの巨匠の足跡をたどりながら、漫画のようなゆるさで風神雷神を描いています。
村上氏は自身の作品の目標を「表現の意識から抜け出し、無の境地に入ること」と語っており、今回の作品は「誇りに思える作品であり、成果だ」と語る。
村上の「風神」や「雷神」の絵は、激動の時代に描かれた宗達の絵に見られる精悍な様子とは対照的に、のびのびとした無邪気さに満ちている。
村上さんは2011年の東日本大震災を機に京都に移住。2015~16年に東京で開催した前回の個展を日本での最後の個展にしようと考えていたが、京都に創作活動の拠点を置き、新たなインスピレーションを得たという。
気乗りしない村上さんに展覧会開催を勧めたのは、同美術館の館長で旧知の高橋伸也さんだった。
土佐派、狩野派、琳派など豊かな絵画表現様式が栄えた古都では、華やかな文化と戦乱や疫病の過去が重なり合っていました。
高橋氏は村上氏に「死者で覆われ、観光名所となっている古代都市を発掘する」ような作品を制作するよう指示したという。
「私は自分の作品が世界を変えることができると信じて作品を制作しています。絵画を見るという行為は、他の何物にも代えがたい文化的な体験です」と村上氏は語った。
京都は神聖なものと俗なもの、この世とあの世が混ざり合った場所です。
今では外国人観光客で賑わう古都・京都は、現代アートの精神的な中心地として世界に新たな名声を博しています。
芸術を支援する
「村上隆 もののけ京都展」は6つのセクションから構成されており、約180点の作品の大半は日本初公開となる新作です。
新作の一つ「雲龍図 赤変」は江戸時代の画家、曽我蕭白の作品をモチーフにした作品で、国内初公開。作家の思想を象徴するキャラクター「DOB」や、以前の作品をアレンジした新作は、作家の今を物語っている。
京都市と協力してふるさと納税制度を利用して展覧会を開催するという彼の取り組みは、芸術分野への支援がほとんどなかった日本の文化当局の間で波紋を呼んだ。
村上さんは寄付金へのお礼として、自身がデザインした特製トレーディングカードなどを他の品物とともにプレゼントすることにした。
この寄付により、美術館は京都在住または在学の高校生、大学生、専門学校の生徒に入場料を無料にすることができるようになった。展覧会は9月1日まで開催される。
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