日本の研究グループによる最近の調査で、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの間、日本で終末期ケアの利用と在宅での看取りが著しく増加したことがわかった。
同団体によると、政府が新型コロナウイルスの緊急事態宣言を初めて発令した2020年4月から増加が始まったのは、感染を避けるため外来患者の通院が減ったほか、入院患者数や病院の面会制限も減ったことが影響していると考えられる。
メンバーには、東京慈恵会医科大学の青木卓也准教授や、福岡県飯塚市の飯塚病院の柴田正志医師らが含まれていた。
研究グループは、厚労省のレセプト情報やメタボリックシンドローム特定健診情報などのデータベース「NDB」を使い、2019年4月~22年3月の在宅医療サービスの利用状況を分析し、定時訪問診療や往診、ターミナルケア、在宅死の対応に変化があったかを調べた。
その結果、終末期医療の利用や看取り死亡者数は2020年4月に急増した後も増加傾向にあることがわかった。定時訪問診療の利用に大きな変化はなかったが、往診は増加傾向にある。
医療機関別にみると、24時間体制で医師が往診するなど在宅医療支援基準を満たした認定を受けた診療所や病院で在宅終末期医療の実施件数が増加した。
青木氏は「外来や入院の病院医療に比べ、訪問診療は地域格差が大きい。地域ごとに訪問診療認定医院や病院を整備すれば医療資源の充実につながる」と話す。