ロシアの侵攻を逃れたウクライナ避難民が経営するレストランが日本各地に出現している。
戦争が始まってから2年半が経ち、安定した雇用と経済的自立を求める避難民たちは、受け入れ国での長期戦を覚悟しながら、特製の家庭料理を振る舞っている。
内戦が続く中、避難民となったウクライナ人たちは、新たに開いた飲食店を地元の「交流拠点」にしようと決意しているが、日本語の習得に苦労している。
オレフ・モクリツキー氏(右)は、2024年7月12日に名古屋市にウクライナ料理レストラン「ジト」を開店する準備をしている。(共同)
7月中旬、名古屋市内のウクライナ料理店の厨房では、母国から逃れてきたウクライナ人従業員4人がニンジンの皮をむいたり、タマネギを刻んだりしていた。時折、真剣な表情を緩め、母国語で話したりしていた。
5月にオープンした、英語で「ライ麦」を意味するレストラン「ジト」は、16人のウクライナ避難民を雇用している。「お客さんが私の料理に満足してくれているのは嬉しい」と、西部の都市リヴィウ出身の19歳のオレフ・モクリツキーさんは語った。
彼は他の仕事を探したが、言葉の壁のため諦めた。モクリツキーさんは今のところレストランで働くつもりだが、日本の料理学校で勉強するのが夢だ。
2024年6月、大分市で開かれたイベントでウクライナ料理を振る舞う人々。(共同)
日本政府によると、7月末現在、約2000人のウクライナ避難民が日本に居住している。政府は昨年、紛争地帯から逃れた人々の長期滞在を考慮し、永住権を付与する制度を導入した。
しかし、大手支援団体の生活費給付は来春以降に期限切れとなる見通しだ。
危機感が広がる中、名古屋市の非営利団体「日本ウクライナ文化協会」によると、日本語の習得が難しく、働きたくても働けない避難民も多いという。
2024年6月、大分市で開かれたイベントでウクライナ料理を振る舞う人々。(共同)
日本財団は3~4月、同財団の支援を受けている18歳以上のウクライナ避難民約1160人を対象にアンケートを実施。回答者の71%が「日本語が全く分からない」「簡単なフレーズしか分からない」と答えた。
こうした中、同協会はジト開設とウクライナ避難民の雇用確保に尽力してきた。同協会のリュドミラ・カワグチ理事長(44)は「(ジトで働く)避難民は家族。みんなが楽しく働ける場所にしたい」と話している。
同様に、東京や大阪などの都市でもウクライナ人避難者を雇用するレストランが急増しており、大分県別府市にも4月にオープンした店がある。6月中旬に同市で開催された社交行事では、参加者らがボルシチやピロシキなどのウクライナ料理を楽しんだ。
非営利団体「ビューティフルワールド」の小野弥奈さんが2024年6月に大分市で撮影された。(共同)
レストランを運営する別府市のNPO法人「ビューティフルワールド」の小野弥奈さん(42)は、避難者の大半が当面は別府市に滞在することを考えると、日本有数の温泉地である同市に「新たな観光スポット」の存在を作ることが重要だと語った。
小野さんは「食だけでなく、伝統工芸のワークショップなどウクライナ文化の発信を通じて、地域住民と観光客が交流できる場を作りたい」と力を込めた。
より広いスペースを見つけるために、彼らは新しい物件の確保に積極的に取り組んでいます。
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