読売新聞
2024年7月9日 14時22分(日本時間)
法務省は、ウクライナの要請に応じ、欧州諸国の司法制度の整備や裁判官など司法関係者の教育支援に乗り出すことが読売新聞の取材で分かった。
ロシアの侵略をかわし続けているウクライナの復興・再建を支援し、戦争終結後に日本企業がウクライナに進出しやすい法的環境を整えるのが狙いだ。
関係者によると、同省は来春までに支援を開始する準備を進めている。
同省は、ウクライナの裁判官や検察官など司法関係者を日本に招き、教育を通じて人材育成を図ることも検討しており、ウクライナ情勢を見極めながら支援を拡充する。
計画では、戦争終了後に企業がウクライナ市場に参入したり投資したりするための法的枠組みの構築について助言を行うことが想定されており、詳細はウクライナ側との協議で決定される。
同省はこれまでもこうした事業で経験があり、ベトナムの民法の起草や刑法の改正を支援したほか、インドネシアの仲裁制度の強化にも協力した。
ウクライナはこうした成果に感銘を受け、今年1月、裁判所など司法部門の強化や民法・刑法の改正に取り組んでいるとして日本に支援を要請したとされる。
一方、同省は太平洋島嶼国の法制度整備支援も検討している。中国が同地域で影響力拡大を図る中、日本政府は島嶼国との関係強化に力を入れており、同省の取り組みもその一環だ。
名が挙がったのはフィジーとサモアの2カ国。「日本の法制度を押し付けるのではなく、現地の実情に合った支援を行い、『法の支配』の推進につなげていきたい」と外務省幹部は語り、これまでも国内法の制定・改正や司法関係者の教育など途上国への支援を実施してきた。法制度が未整備な国では外国企業が参入や投資に慎重になることも多く、その点でも外務省の支援は経済発展の促進につながる。
同省は1994年にベトナムを最初の支援対象国として以降、インドネシア、カンボジア、ウズベキスタンなど東南アジアや中央アジアの開発途上国を中心に、6月時点で計15カ国を支援してきた。
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