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美術品の贋作師ヴォルフガング・ベルトラッキは、自分の作品の多くが日本にあると考えている

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約120人の著名な画家によるものと偽って約300点の絵画を制作したドイツの贋作美術品製作者ヴォルフガング・ベルトラッキ氏は、今年初めに県立美術館で物議を醸した2点を含む自身の作品の多くが日本にあると考えていると語った。

ベルトラッキさん(73)は共同通信に対し、徳島県と高知県の美術館が所蔵する作品のほか、国内に個人所蔵されている自身が描いた肖像画があると語り、「日本にはもっとあるはずだ」と付け加えた。

ベルトラッキ氏は、2011年にこの計画をめぐってドイツで投獄されるまで、約40年間にわたり国際的な美術専門家を出し抜いたが、絵画は「素晴らしい」ものであり「これらの画家たちの傑作」と考えられているため、制作を後悔していないと述べた。しかし、自分が作品の作者であることを明かさずに画家の技法を利用したことについては申し訳なく思っていると述べた。

徳島県立近代美術館は7月12日、フランス人画家ジャン・メッツィンジェの作品とされる「自転車に乗る人」を、ベルトラッキの作品ではないかとの疑いから展示しないことを決めたと発表した。同美術館は1999年にこの作品を6720万円で購入した。

ドイツの美術品贋作師ヴォルフガング・ベルトラッキ氏が2024年8月、スイスのルツェルンで共同通信の取材に応じる。(共同)

高知県立美術館は翌日、ドイツの画家ハインリヒ・カンペンドンクのオリジナル作品として1996年に1800万円で購入した「少女と白鳥」と題する油絵も贋作者の作品である可能性があると発表した。

この作品は個人所有で、フランス人画家マリー・ローランサンの作品とされる肖像画である。ベルトラッキ氏によると、この3点は1990年頃に制作したという。

「私の絵画は、私が偽造した芸術家の傑作となった」とベルトラッキ氏は語った。「人々がそれがベルトラッキの作品だと気づけば、絵画の価値は一気に高まる」

「日本人は1980年代から90年代にかけて、ヨーロッパで彼の贋作を含む多くの美術品を購入していた」と彼は語った。

ベルトラッキ氏は、ピカソの作品を初めて模写したのは12歳の時だったと語る。17歳で学校を退学になった後、ヨーロッパや北アフリカを旅して、古い絵画を買い集め、修復して再販した。

彼は1970年代初頭から絵画の贋作を始め、1992年から2010年まで妻のエレーヌ・ベルトラッキもその事業に携わっていた。合計約120人の芸術家の中から、カンペンドンク、フェルナン・レジェ、マックス・エルンストといったお気に入りの画家の贋作を制作した。

ベルトラッキは、コレクターや美術館が所蔵する作品を模倣するのではなく、失われた絵画(かつて存在していたことは知られているが画像が入手できないもの)を自分なりに再現し、それをオリジナルとして売り出した。模倣した人々の考え方、習慣、物の見方を取り入れることで、「芸術家自身の線を見て再現することができた」とベルトラッキは語った。

2006年にカンペンドンクの作品として280万ユーロの値が付けられたベルトラッキの「馬のいる赤い絵」は、2年後に贋作であることが明らかになった。2011年に贋作14点をめぐる裁判で、ベルトラッキとその妻はそれぞれ懲役6年と4年、共犯者は懲役5年の判決を受けた。

刑期を終えたベルトラッキは現在スイスに住み、自身の名で画家として活動している。


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