2024年5月29日 15時10分
神戸 — 神戸の高校生が提案した、竹チップで歩道を舗装するというアイデアは、放置された竹林の問題と熱波対策の有望な解決策であるようだ。
再開発が進む東京・中央区の磯上公園に、竹を細かく砕いた竹チップを敷き詰めた歩道が登場する。
神戸市東灘区の御影高校の生徒らは昨年、放置された竹林の問題を研究し、竹を有効活用するアイデアを提案した。その提案の一つが神戸市で実現した。竹チップはアスファルトに比べて路面温度を下げる効果があるため、竹林問題の解決だけでなく、猛暑の緩和にもつながると期待されている。
磯上公園の再整備は、市の三宮市街地再開発事業の一環で、2022年7月に新しい体育館が完成し、昨年9月から他のエリアの改修工事が始まっている。
公園内には遊び場やブランコなどの新しい設備も設けられた。池や植栽のある公園内のヒーリングガーデンでは、幅約1.2メートルの歩道に長さ約2センチの竹チップ約1トンが使用され、総面積は225平方メートルに及ぶ。
プロジェクトのきっかけは、御影高校の生徒の提案だった。同校は2023年度の1年生の授業で、土砂崩れの原因になるなど全国的に問題となっている放置竹林を取り上げていた。
学生たちは昨年10月、竹を遊具や化粧品に変えるアイデアを神戸市に提案した。竹チップを道路舗装材に使うのもその一つだ。
竹の活用に詳しい福岡大学工学部の佐藤健一教授によると、土や竹チップを敷いた路面は夏場、アスファルトに比べて路面温度が10度ほど低くなるという。
竹は土よりも保水力が高く、冷却用の水を長時間保つのに適している。また、耐久性も高いと佐藤氏は言う。
神戸市は、竹チップを歩道に使う提案が実現性が高く、猛暑対策を推進するという市の方針にも合致していたため、これを受け入れた。
市は、荒廃した竹林の解消に取り組む同市北区大胡地区の住民グループ「大胡竹プロジェクト」が生産した竹チップを購入。建設会社が土やセメントと混ぜて舗装材を作った。
佐藤教授は「耐久性向上の観点から竹チップを舗装材に使う例は他都市にあるが、暑さ対策に使うのは珍しい。神戸市の取り組みは、放置された竹林や猛暑に悩む自治体にとってモデルケースとなるだろう」と話す。
「自分のアイデアが実現してうれしい」と、このプロジェクトを提案した16歳の学生は語った。「この公園が、小さな子どもたちが遊べる場所、お年寄りが散歩できる場所、人々がくつろげる場所として利用されることを願っています。」