日本の研究チームは、新型コロナウイルス感染症の治療に向け、ヒト由来の胚性幹細胞を使った免疫細胞を開発した。
京都大学や藤田保健衛生大学などの研究チームは7月下旬、化学療法で免疫力が低下し、新型コロナウイルス感染症の重篤な症状に苦しむ患者を対象に、3年後に臨床試験を行う予定だと発表した。
研究チームは、ウイルスに感染した細胞を攻撃する細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)を人工的に作り出した。患者による拒絶反応を減らすよう開発されたこの細胞には、新型コロナウイルス特有のたんぱく質を感知する「センサー」機能を持つ遺伝子が組み込まれている。
ファイル写真は、2021年8月に東京の順天堂大学病院で、COVID-19の重症患者を看護する看護師たちを示している。(共同)
大阪大学や国立成育医療研究センターなどの研究チームによると、開発した細胞を新型コロナウイルスに感染した細胞と一緒に培養したところ、12時間後には新型コロナウイルスに感染した細胞の約90%が死んだという。
チームは特許申請を提出したという。
研究チームによると、臨床試験の前にマウスを使った実験を行い、この治療法の安全性を確認する予定で、遺伝子改変により他のウイルス感染症にも利用できる可能性があるという。
研究チームの一員である京都大学の河本浩教授は、開発された細胞が感染細胞を直接攻撃するため、この新しい治療法は免疫力が低下した患者にも効果がある可能性が高いと述べた。
臨床試験では開発された細胞が静脈内に投与されると川本氏は述べ、免疫療法で見られるような重篤な副作用のリスクは低いと考えていると付け加えた。
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