ホーム Fuji 2050年の日本:ライフスタイルの変化 / 超高齢化社会の日本では、酵素阻害薬から生きがいまで、幅広いニーズがある

2050年の日本:ライフスタイルの変化 / 超高齢化社会の日本では、酵素阻害薬から生きがいまで、幅広いニーズがある

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ロイター/キム・キョンフン/ファイル写真
ワイド画像:2023年4月12日、東京で行われたSFL(サッカー・フォー・ライフ)80リーグ開幕戦で、86歳の横山隆夫(左から2番目)が82歳の石田幸三を相手にボールを追いかけている。

これは、2050 年の日本がどのような姿になっているか、国民としてどのように課題に立ち向かうか、そしてどのような社会を実現したいかを探るシリーズの第 3 回目であり、最終回です。

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日本は超高齢化社会であり、その事実は生物学研究から労働慣行、生活環境に至るまでさまざまな分野に影響を及ぼしています。

健康的な老化を促進する方法を研究している研究者の一人が、東京大学医科学研究所の中西誠教授だ。同教授は、2040年までに老化細胞を除去する技術の開発に取り組んでいる。

老化細胞は分裂を停止し、加齢に伴う疾患の一因と考えられており、近年、老化細胞は加齢とともに蓄積し、臓器や運動器系に悪影響を及ぼすことが明らかになっています。

中西氏は2021年、ある酵素が老化細胞を生かし続けることを発見した。酵素の働きを阻害する薬をマウスで実験したところ、筋力の回復や臓器機能の改善など若返り効果が見られた。

中西氏はこの薬の人間への応用を目指している。

中西氏は「2050年ごろには、人類は100歳まで働き、120歳まで余生を楽しむことが可能になるかもしれない」と語った。

天狼院書店の社長、三浦孝典さんは、120歳まで生きることを前提に人生設計をしているという。書店経営のかたわら、デザインや写真などを学んできた。将来は人工知能関連の新規事業に力を入れ、写真家としても活躍したいという。90歳ごろには作家になるつもりだという。


日本の100歳以上の高齢者の数は2050年までに47万人に達すると予想されており、2023年より5倍増加する。

「百歳は特別なことではない。健康維持と学びの両立に努め、長寿社会の一員であることを楽しんでいきたい」と三浦さんは語った。

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、日本の高齢化率(65歳以上の人口の割合)は2050年に37%になる。つまり、高齢者1人を支える現役世代(15~64歳)はわずか1.4人という「肩乗り社会」になるのだ。

野村総合研究所の武田加奈研究員は、生産年齢人口を15~69歳と定義し、現在の年齢の上限を5歳引き上げ、2050年の高齢者負担が2020年と同水準となる社会の実現を提言している。

武田氏は「健康な高齢者が社会で活躍し続けられる環境づくりが必要だ」と語った。

「高齢者は原石だ」と市川真次郎氏は熱く語った。

東京都 足立区の製造業、横引シャッターの社長、市川さん。職場には31人の従業員がおり、うち10人が65歳以上。同社には定年制度がほとんどなく、60歳を超えても昇給がある。横引シャッターでは70代の新入社員も珍しくない。最年長は81歳。5年前に入社し、現在は設計を担当している。「いくつになっても新しいことは楽しい」と笑顔で話した。

神奈川県藤沢市にある賃貸マンション「のびしろハウス亀井野」には現在、20代の大学生2人と70~80代の高齢者5人が一人暮らしで暮らしている。

アパートの住人は、老若男女を問わず、問題があればソーシャルメディアを通じて他の住人と話し合う。学生たちは年配の住人のために電球を交換したり雪かきをしたりし、そのお返しに年配の住人は若い隣人にお茶やお菓子を振る舞う。

2050年には1,084万人の高齢者が独り暮らしになると予測されています。

マンションを管理する不動産会社「のびしろ」の代表、鮎川沙代さん(41)は「世代を超えて家族のように支え合う住宅が求められている」と話す。

ニッセイ基礎研究所主任研究員の前田暢宏氏は、超高齢社会における新たな指標として「社会貢献力持続時間」という概念を提唱している。これは、社会と関わり、自分が役に立っていると感じられる役割を持つ時間を指す。

ボランティア活動、孫の世話、寄付、ただ誰かのために尽くすなど、社会に貢献する方法はさまざまです。

前田氏は「社会貢献できる期間を延ばすことは、一人ひとりの心身の健康や幸福感につながる。長生きを楽しめる社会は、暮らしやすく、子育てしやすい社会であるべきだ。人口減少社会の日本が目指すべき姿だ」と語った。



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