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食品ロスと廃棄:廃棄食品を削減する取り組みを加速

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食料自給率が低い日本では、まだ食べられるのに捨てられる食品ロス(廃棄)の多さが大きな課題だ。経済的な損失も大きい。廃棄量を減らす取り組みをさらに加速させる必要がある。

22年度の国内の食品ロスは472万トンで、政府は00年度比で半減させる目標を8年前倒しで達成した。このうち236万トンは食品製造や外食などの事業者によるもので、残り236万トンは家庭などから出る食べ残しによるものだ。

近年、食品製造業界では、製造工程の見直しなどにより加工食品の賞味期限を延長する取り組みが拡大しており、製造から賞味期限までの期間の3分の1を経過した商品は小売店に納品できないという業界の慣行を改める動きも出ている。

これらの対策により、事業関連の食品ロスと廃棄が 57% も大幅に削減されました。

これは、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの企業が、消費者に早めに購入するよう促すため、販売期限が近い食品を棚の前に置くという、効果が実証されている慣行が広まっていることが一因かもしれない。

一方、新型コロナウイルスの感染拡大は収束し、訪日外国人客も急速に回復し、飲食店も混雑する中、再び食品ロスが増える懸念もある。メニューに小分けの料理を加えるなど、食べ残しを減らす工夫が望まれる。

賞味期限が近づいた商品を小売店で値引きしたり、規格外の野菜など売れない食材を学校給食に活用したりすることも大切です。

今後の課題は、わずか45%しか減少していない家庭関連の食品廃棄物をいかに削減するかということだ。

豆腐や納豆などの食料品を一度に買いすぎ、賞味期限内に食べきれず捨ててしまう消費者が少なくないという。また、作りすぎによる残り物の廃棄も目立つ。日頃の食材の作りすぎや買いすぎを控える意識が広まることが期待される。

当面の目標は達成されたものの、依然として食品ロスや廃棄は多く、経済損失は4兆円、1人当たり3万2千円を超えている。政府が先頭に立って真剣に取り組むことが不可欠だ。

メーカーなどによる食品寄付も定着させる必要がある。政府は、家庭で十分な食事がとれない子どもを支援する「子ども食堂」の運営者や食品事業者などが話し合う場を設けている。

2018年に約2,300軒だった子ども食堂は、2023年には9,000軒以上に増えた。しかし、欧米に比べると寄付される食品は少ない。

万が一、食中毒などが発生した場合の責任問題への懸念が強いためだ。事業者が安心して食品を寄付できる仕組みが早急に構築されることが望まれる。

(読売新聞2024年7月13日号より)



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