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自衛隊創設70周年 幅広い任務で信頼を深める

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安全保障環境は著しく悪化しており、自衛隊の役割は増大しています。自衛隊には、今後も厳しい訓練を継続し、日本の平和を守り、国際社会の安定に貢献することが期待されます。

自衛隊は明日、創設70周年を迎える。1946年に憲法が制定された際、当時の吉田茂内閣は再軍備を否定した。しかし、1950年に朝鮮戦争が勃発すると、米国の要請もあり、日本は警察予備隊を発足。その後、1952年に保安隊が発足し、1954年に自衛隊が設立された。

自衛隊は創設以来、憲法第9条第2項が保持を禁じる「戦力」との関係が問われ、その存在自体が憲法違反だとの批判にさらされ続けてきた。

湾岸戦争が転機となり、日本は戦後、1991年に海上自衛隊の掃海部隊をペルシャ湾に派遣した。自衛隊にとって初の本格的な海外任務だった。

自衛隊はその後もカンボジアや南スーダンなどの国連平和維持活動やイラク復興支援などに参加してきた。

自衛隊は派遣先の多くで規律正しい活動が高く評価されており、現地のニーズに応える献身的な活動は国際社会における日本の存在感を大きく高めたと言えるだろう。

自衛隊は阪神大震災や東日本大震災などの災害においても、被災者の救命・救助活動に従事してきました。

こうした長年の実績により、自衛隊への信頼は着実に高まっている。政府の世論調査によると、自衛隊に良い印象を持つ人は1969年には69%だったが、2022年には91%にまで上昇している。

自衛隊は今や国家の安全と社会の安定に欠かせない存在として広く認知されているといえる。

しかし、自衛隊は今後、より幅広い任務を遂行する必要がある。

自衛隊は憲法で認められている敵基地攻撃能力を政策的に長年保有していなかったが、岸田文雄内閣が自衛隊に長距離ミサイルの配備を認める方針を決定し、自衛隊がこうした能力を発揮することが可能となった。

脅威はもはや従来の陸、海、空という領域に限定されず、サイバー空間や宇宙空間にまで及んでいます。

政府は23年度からの5年間の防衛費総額をこれまでの5年間の1・6倍に増やすことを決めた。財源をどう確保するかは重要な課題だ。サイバー防衛体制を強化するため、通信の秘密に関する憲法解釈の整理も必要だ。

一方、近年はヘリコプターの墜落事故や自衛隊員による機密漏洩、セクハラ問題など、自衛隊内の緩みも目立つようになってきた。

自衛隊は、油断すれば、築き上げた信頼を一瞬にして失うことを肝に銘じなければならない。

(読売新聞2024年6月30日号より)



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