2023年6月に札幌で開催される屋外サウナイベント「サウナシティ札幌」で男女がサウナを楽しむ。
2024年5月28日 6:00 JST
札幌市 — サウナを自然の中で楽しめるオープンスペースとして楽しんでもらおうと、全国の自治体が男女を分ける柵を設置するなど屋外サウナに関する規制を緩和している。
中央政府も、屋外サウナが新たな観光資源の一つとなることを期待し、地方自治体に柔軟な要件を採用するよう奨励している。
自然との一体感
39歳の会社員は北海道釧路市の森の中でキーロサウナを楽しんだ。
「気持ちよく汗をかいたあとは、自然を感じながら開放感に浸れます」と意気込みを語った。
サウナの多くは屋内にあり、自治体はこれまでも公衆浴場と同様に柵を設けたり男女別の施設を設けたりするよう指導してきた。だが、屋外サウナの最大の魅力である自然との一体感が失われるとの声が上がっていた。
北海道は昨年秋、サウナに関する規制を大幅に緩和し、柵や仕切りの設置義務を撤廃した。北海道はサウナ事業者に排水設備の設置を義務付けているが、「テントサウナ」などのイベントでは仮設の設備の設置を認めている。
十勝サウナ協会会長の後藤洋介さんは「これらの対策がサウナ運営のハードルを下げる一助になれば」と話した。
「聖域」
「サウナの聖地」を自称する山梨県は、水着着用で男女一緒にサウナに入ることができるよう、2022年に条例を改正した。
県は全国的な規制緩和を目指し、1月に厚生労働省に公衆浴場の衛生管理ガイドラインの見直しを要請した。
「個人や企業がサウナ事業に参入しやすくなれば、屋外サウナの存在をもっと多くの人に知ってもらえるようになる」と県の担当者は語る。「サウナを山梨県の新たな観光資源にしたい」
柔軟な対策
全国公衆浴場業労働組合連合会が保健所を管轄する157市町村に調査したところ、1月末時点で24・8%にあたる39市町村がサウナの設置規制を緩和していた。厚労省は調査結果や緩和の事例を都道府県などに伝え、柔軟な対応を求めた。
消防庁はストーブなど熱源と周囲の壁との距離を定めた基準を見直す方針。現行の基準は屋内設置を想定しており、適切な距離を測る実験を今年度中に行う。
全国でサウナをプロデュースする松尾大さんは、規制緩和の動きを歓迎した。
「サウナ発祥の地フィンランドのように、自然とともにサウナを楽しみたいという需要が高まっている」と話す。