ホーム Fuji 能登地方の学校が宿題に「ハグ」を課す。地震のトラウマに今も苦しむ子どもたち

能登地方の学校が宿題に「ハグ」を課す。地震のトラウマに今も苦しむ子どもたち

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読売新聞
6月、石川県七尾市で、子どもの宿題の一環として親子が抱き合う。

能登半島地震から半年以上が経過したが、いまだにストレスによる心身の不調を訴える子どもたちがいる。そのため、被災地の小学校では、子どもたちの精神衛生のために家族を抱きしめるという特別な宿題を子どもたちに課している。

「震災後、娘は音に敏感になり、小さな揺れにも怯えるようになりました」と、石川県輪島市の40代女性は小学6年生の娘の様子を語った。自宅は地震で全壊し、窓を割って脱出した。震災の記憶が残っているのか、娘は今でも暗い場所が怖く、夜一人でトイレにも行けないという。

石川県教委は地震発生直後の1月中旬から、子どもたちの心のケアを目的とした電話相談窓口を開設。3月末までに109件の相談が寄せられた。現在は半島北部の小中学校を中心に相談員を配置し、6月末までに計907件の子どもたちの相談に応じた。

石川県七尾市の市立山王小学校では、2月から宿題として、家族とのスキンシップを奨励している。学校は生徒に、親と話し合い、ハグする、親の膝の上に座る、1分以上手を握る、握手するの4つのスキンシップの中から選ぶよう求めている。

この課題を思いついたのは、同小学校の養護教諭、小浦公子さん。1月末に学校が再開した直後に実施した調査で、多くの子どもたちがトラウマを経験していることが判明した。症状には、親のそばを離れられない、倒壊した家を見ると吐くなどがある。調査結果を踏まえ、小浦さんは、身体的な接触が子どもたちの安心感につながるのではないかと考えた。

復興が進まない中、心身の不調を訴える子どもたちも多い中、100人以上の子どもたちや保護者からは「ハグしてもらって気持ちが楽になった」「娘は恥ずかしそうだったけど、私はとてもうれしかった」などの感想が寄せられた。

この取り組みは他の被災地からも関心を集め、同県珠洲市の小学校も追随した。

「宿題が子どもたちに慰めを与え、前進するために必要なエネルギーを充電する時間を与えてくれることを願っています」とコウラさんは語った。

地震による精神的トラウマは長期にわたって子どもたちに影響を及ぼします。

岩手県教委が東日本大震災以降、毎年行っている調査によると、ストレスなどで支援が必要な児童生徒の割合は、被災の大きい沿岸部では2011年度は15・8%で、内陸部の14・3%を上回った。その後も沿岸部の方が高い水準で推移している。

「子どもは自分の気持ちを言葉で表現するのが難しいため、頭痛や不眠に悩まされ、震災から半年ほど経ってから症状を訴える子どもが多い」と、震災後に宮城県などで子どもたちのケアに当たった精神科医の桑山紀彦さんは言う。「不安を感じ始めたら、身体的な接触をするのが子どもにとっていいことだ。子どもが嫌がるかもしれないが、親は子どもを抱きしめて、味方だと伝えてほしい」



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