ホーム Fuji 能登半島地震から半年 復興への道筋はまだ示されていない

能登半島地震から半年 復興への道筋はまだ示されていない

7
0


能登半島地震の発生から半年が経った。被災地では建物の解体が進んでいない。政府は再建の障害を一つずつ取り除き、復興を後押しすべきだ。

元旦の地震で大きな被害を受けた石川県能登半島最北部では、倒壊した家屋や建物がそのまま放置され、まるで半年間の時が止まったかのようだ。

長引いた断水はほぼ解消され、道路も復旧しつつあります。しかし、いまだに多くの人が避難所での生活を余儀なくされています。ホテルなどの二次避難所でも、多くの人が暮らしています。

避難による健康障害で亡くなった「災害関連死」は52人に上り、地震による直接死と合わせた犠牲者は281人となり、2016年の熊本地震の犠牲者を上回った。

暑さが増すにつれ、避難生活は厳しさを増すだろう。仮設住宅が完成する8月まで、自治体は被災者の健康状態に細心の注意を払うべきだ。

自治体が所有者に代わって建物を解体・撤去する公費負担の解体事業が進んでいないため、倒壊した建物が放置されている。これまでに所有者から2万件の申請があったが、解体されたのは900棟にとどまっている。

大きな障害となっているのは、取り壊し予定の住宅の現地調査や所有者への連絡を行う地方自治体職員の不足だ。住宅の所有者は取り壊し前に現場を訪問する必要があるが、多くの場合、所有者は被災地域から避難しており、訪問の手配が困難である。

半島最北部の奥能登地域は市街地から遠く、宿泊できる場所も少なく、多くの解体作業員を受け入れることも難しい。

熊本地震では半年間で4,000棟以上の建物が破壊されました。解体が進まなければ、地域の復興はできません。

政府は被災地に支援拠点を設けるとしている。自治体間の調整や職員の派遣など、国が主導して対策を進めるべきだ。

半島では、ここ半年で故郷を離れ、別の場所で生活を立て直す人が増えている。復興の遅れに不安を感じているからかもしれない。

被災者が希望を持って前に進むためには、地域の将来像を示すことが重要だ。漁業などの産業や、伝統工芸の輪島塗にどう新たな息吹を吹き込むのか。自治体は具体的な復興計画の策定を急ぐべきだ。

震災前から人口減少に悩まされていた同半島を、どう魅力ある地域にしていくか。人を呼び込むにはどうすればよいのか。復興の方向性をしっかり議論することが重要だ。

(読売新聞2024年7月1日号より)



もっとニュース

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください