沖縄県国頭村の道路で見かけたヤンバルクイナ
2024年6月17日 19:00(日本時間)
研究者グループによると、絶滅危惧種の沖縄の鳥がカエルや他の生物の死骸を拾っている際に車にひかれて死亡している可能性が高いという。
ヤンバルクイナは沖縄県本島北部のヤンバル地方に生息する鳥で、琉球大学の研究チームが行った実験では、繁殖期の5月から7月にかけて道路に侵入することが多いことがわかった。
環境省によると、昨年から調査が始まった1995年までの間に、ヤンバルクイナ517羽が交通事故で死んだことがわかった。同省は運転手への注意喚起を強化しており、当局は柵の設置など鳥を保護する対策を講じているが、それでも毎年20~30羽ほどが死んでいる。
やんばる地域は世界自然遺産に登録され、固有種を含む貴重な両生類や爬虫類が多く生息している。交通事故で死んだ生き物はカラスなどに食べられてしまうとみられていたが、原因は謎に包まれていた。
同大の辻一樹教授らは、国交省の許可を得て、在来種のリュウキュウハナガエルとほぼ同じ大きさのニワトリの羽を使い、やんばる地域を通る県道沿いの9カ所に一晩置いた。
翌朝までに、54本の手羽先はすべて消えていた。自動カメラは回収される手羽先15本を捉えており、そのうち2本はレールで運ばれていた。
「この鳥はカタツムリや昆虫を捕食することが知られていますが、死骸も食べる可能性があるというのは大きな驚きでした」と、日本動物行動学会でこの研究結果を報告した同大学の大学院生、丸田裕介さんは語った。
「実際の死骸を使って検証する必要がある」と森林総合研究所の研究員、小高信彦氏は言う。「しかし、道路が野生動物の餌場になっていることを示している」