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経済財政基本政策草案:政府は財政健全化問題の重要性を認識する必要がある

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社会保障費が増大し、安全保障環境が厳しさを増す中、政府は財政をどう運営していくのか。中長期的な財政再建のロードマップを描き、財政支出に余裕を持たせることが重要だ。

政府は2024年度の経済財政運営と改革の基本方針の素案をまとめた。6月末までの閣議決定を目指している。

政府は約20年にわたり、国と地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化を財政健全化計画の柱に位置付けてきた。

基礎的財政収支は、借金に頼らずに税収などで賄える政策支出の額を示す指標だ。

政府は「2025年度の黒字化」を目標に掲げているが、積極財政を掲げる自民党議員らに配慮し、過去2年間は骨太の経済財政運営で目標年度を明示していなかった。今回、3年ぶりに25年度という目標年度を明記した。

国債など国の債務残高は約1300兆円に上り、主要国で最悪の水準にある。コロナ禍で膨らんだ歳出構造を正常化させる必要性が高まっている中、目標年度を定めたのは当然だ。

政府は政策効果の薄いバラマキ支出を控え、目標を着実に達成すべきだ。

日銀が大規模な金融緩和を転換し、「金利のある世界」が到来した。今後、国債の利払い費の増加が見込まれるため、財政規律の回復が不可欠となる。

素案には、2025年度から30年度までの6年間の経済財政再生計画が盛り込まれており、政府は25年度以降の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指す方針だ。

草案ではまた、政府は国内総生産に対する未払い債務の割合を着実に引き下げることを目指していると述べられている。

しかし、数値目標は設定されておらず、具体性に欠けている。数値目標を盛り込んだ債務管理計画の策定を政府が検討することが望まれる。

また、基礎的財政収支の黒字化が実現できたとしても、それは債務削減に向けた第一歩に過ぎません。大規模な自然災害や世界的経済危機などに備えて、中長期的に政府債務を削減し、財政支出の余地を増やしていくことがますます重要になってきています。

また、平時においても、人口減少や高齢化の加速により社会保障費の負担増は避けられず、安全保障環境の悪化に対応した防衛費や少子化対策のための経費などにも多額の支出が見込まれます。

財政状況の悪化を放置すれば、国民の将来不安が高まるだけでなく、消費にも悪影響が及び、経済成長が困難になる。

財政健全化は単なるスローガンではない。政府はその重大さを十分認識すべきだ。

(読売新聞2024年6月13日号より)



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