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紅こうじサプリメント:調査体制を早急に再編

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小林製薬は人命に関わる問題に対する危機感に欠けていると言わざるを得ない。早急に社内調査体制を見直し、政府と連携して被害実態を早急に解明すべきだ。

小林製薬の紅麹菌を配合したサプリメントを摂取した人の健康被害が相次いでいる中、新たに76人が同商品の摂取が原因で死亡した疑いがあることが分かった。同社は因果関係を調査中だとしている。

小林製薬は3月に死亡者は5人と発表したが、厚生労働省の最近の調査で、76人の遺族から同社に連絡があったことがわかった。被害者が急増している可能性もあり、厚生労働省が衝撃を受けたのも無理はない。

小林製薬は、厚労省への報告が遅れたのは「まだ確認が終わっていないため」と説明した。 [the facts]同社は1月に初めて問題に気付いたが、政府に正式に報告するまでに2カ月を要し、報告手続きの迅速化を求められたばかりだった。なぜ同じ過ちを繰り返したのか。

今回、発表済みの死亡者5人のうち1人はサプリメントの服用歴がなかったことも判明。小林製薬の独自調査の信憑性を揺るがす事態だ。被害者は一体何人いるのか。同社だけの調査には限界がある。

小林製薬は、新規感染者76人について、今後どのように調査を進め、医療機関から情報を収集していくかの計画を厚労省に提出した。

今回の報告遅れは、省庁側のコミュニケーション不足も原因だった可能性がある。今後は調査や結果の分析を企業任せにせず、省庁が積極的に関与していく必要がある。

必要であれば、調査に外部の専門家を加えることも検討すべきだ。

問題のサプリメントをめぐっては、摂取後に腎臓疾患の症状が現れる人が相次いでおり、成分からはアオカビ由来の毒性物質「プベルル酸」など複数の化合物が検出されている。

パベル酸には腎臓障害を引き起こす作用もあることが確認されているが、死亡との因果関係などはまだ十分に解明されていない。

日本腎臓学会は、サプリメントを服用した患者約100人のうち、治療を続けても腎機能が十分に回復していない人が8割以上いると発表した。被害は深刻で、小林製薬は治療費などの補償を早急に行う必要がある。

健康被害の訴えは海外にも広がっており、台湾では体調不良を訴えた約30人が小林製薬の子会社を相手取り損害賠償を求める集団訴訟を起こすと報じられている。

事態はますます混沌としており、事態を収拾するためには迅速かつ正確な情報開示が不可欠だ。

(読売新聞2024年7月2日号より)



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