ホーム Fuji 築地場外市場、生き残り、繁栄 / プロであろうとなかろうと、通は東京の築地場外市場を愛する。有名な市場の跡地の隣のエリアは今も輝きを放っている

築地場外市場、生き残り、繁栄 / プロであろうとなかろうと、通は東京の築地場外市場を愛する。有名な市場の跡地の隣のエリアは今も輝きを放っている

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読売新聞ファイル写真
5月28日朝、東京都中央区の築地魚河岸の魚店の様子。

読売新聞

東京都心にある築地場外市場は、新鮮な魚介類から調理器具まで、あらゆるものを扱う約400の専門店が軒を連ねる賑わいの場です。築地本市場の移転やコロナ禍による営業制限で一時は苦境に立たされましたが、近隣の大規模再開発により再び賑わいを取り戻しています。その魅力に迫る連載第1回です。

築地場外市場の一角にある地上3階建ての商業施設「築地魚河岸」の1階には、魚介類や青果を扱う仲卸業者約60店が軒を連ねる。午前5時の開店と同時に、旧築地市場の機能を引き継いで移転した豊洲市場で競り落とされたばかりの食材に、全国から集まった飲食店関係者が目を通している。

「あと30分お待ちいただければ、豊洲から新鮮な商品をお届けします」

「今日のヒラメはすごく身が締まってるね。」

店員が手際よく魚を捌いたり、馴染みの客に魚を勧めたりする姿から、そんな言葉が聞こえてくる。


読売新聞ファイル写真
浅田隆明さんは5月29日、東京都新宿区の築地地区について語る。

東京都新宿区神楽坂で日本料理店「あさ田」を経営する浅田孝明さんは、築地魚河岸の常連客だ。

「牡蠣が新鮮すぎてレモンを絞るのはもったいない」と、旬の食材をじっくりと観察しながら、その日のメニューにどう使うか考えていた浅田さん(50)に店員がそう言った。

浅田さんが築地に通い始めたのは、東京・青山の高級料理店で働いていた19歳ごろ。料理の技術は「盗むもの」と考えられていた時代で、先輩の料理人から何も教わらなかった。そこで浅田さんは、知り合いの築地仲卸業者に頼み込んで魚のさばき方を教わった。

彼は週に2回早朝に築地に通い、魚の鱗の取り方からおろし方まですべてを一から学んだ。

半年後、浅田さんはようやく店の先輩たちに認められ、食材の基本的な下ごしらえを担当するようになった。

それから30年が経ち、生鮮食品をネットで注文できる時代になったが、浅田さんは築地に通う習慣は変わっていない。

「食材から店主のこだわりが伝わるので、料理にも気持ちが込められています」と浅田さんは笑顔で話した。

パンデミックは変化をもたらす

築地場外市場は、1935年に東京中央区に開設された築地市場の外に位置している。築地市場では手に入らない商品を販売することで発展し、築地場外市場として知られるようになった。現在、場外市場には長さ400メートル、幅120メートルの敷地に400軒の飲食店、魚屋、乾物屋などが軒を連ねている。

2018年10月、築地市場が4キロ離れた東京都江東区の豊洲に移転した際、場外市場の老舗の多くはそのまま残った。築地魚河岸は、移転後も築地のにぎわいを維持しようと同月、中央区が建設したもの。築地場内仲卸業者などが、築地魚河岸に新店舗をオープンした。築地魚河岸の早朝は、飲食店などプロが優先。午前9時を過ぎると、一般客や観光客の来店が徐々に増える 比栄は1927年創業のマグロ専門仲卸。もともとは築地場内に店舗を構え、業者相手に商売していた。

比叡は築地市場の店舗を豊洲市場に移転したが、東京・銀座や新橋などの日本料理店の経営者らが豊洲は徒歩や自転車で行くには遠すぎると懸念し、築地魚河岸にも店舗を開いた。

比叡の楠本栄治社長(69)は、築地魚河岸で一般客の接客をするのは最初は大変戸惑ったと語った。

比叡の看板商品は、希少かつ高価な生マグロ。プロには保存方法を説明する必要はないが、一般のお客さんからは「冷凍しても大丈夫か」などと聞かれることもあるという。

楠本氏は、新鮮なマグロを冷凍すると品質が劣化することは明らかであるため、こうした質問に当惑することがよくあると語った。

しかし、築地魚河岸店の移転オープンから間もなく始まった新型コロナウイルスのパンデミックの間、彼を救ったのは一般の人々からの商売だった。感染拡大のリスクを減らすために営業を自粛せざるを得なくなった飲食店のバイヤーたちは、彼の店に来なくなった。その代わり、家にいる時間が増えて料理をするようになった地元の人々が比叡を訪れるようになったのだ。

こうしたタイプの顧客は、スーパーやデパートよりも比叡でより手頃な価格で高品質の食品が手に入ることに気づいたと楠本氏は言う。彼らの多くは、パンデミック後も比叡で買い物を続けている。

「経営者の厳しい目に耐えられる店は、一般の人にも愛される店だと実感した」と楠本さんは言う。

食品専門家


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吹田勝義さんが5月28日、東京都中央区の築地魚河岸で、各地の昆布の特徴を説明する。

築地魚河岸3階のキッチンスタジオでは、築地場外市場の店主などが食材の特徴や調理のコツなどをレクチャーする各種セミナーを開催しています。

28日は、昆布の講座で、老舗昆布商店「吹田商店」の吹田勝好さん(59)が講演。昆布だしの作り方を実演し、利尻、羅臼、日高など5種類の昆布を使っただしを振る舞った。それぞれのだしがどんな料理に合うのかを解説した。

参加者は、昆布だしを使った味噌汁と、昆布だしを使わずに作った味噌汁も試食しました。参加者は、だしを使った味噌汁は、だしを使わない味噌汁に比べて味噌の量が半分しかないにもかかわらず、味が濃いことに驚きました。

味噌汁は体に良く、口当たりも悪くない出汁で作ると、味噌に含まれる塩分の摂取量を減らすことができるとの説明に、参加者は感心した様子でした。

「築地場外市場には、今でも熟練した目利きの人が大勢います」と吹田さんは語り、「特に、どんな食品を選べばいいのか分からない時に、ぜひ市場を訪れてほしいです」と付け加えた。



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