ホーム Fuji 海底鉱床は日本のコバルト需要を75年間満たす可能性がある。南鳥島近くのマンガン団塊には希少金属が豊富

海底鉱床は日本のコバルト需要を75年間満たす可能性がある。南鳥島近くのマンガン団塊には希少金属が豊富

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読売新聞

日本の排他的経済水域(EEZ)内の南鳥島沖の海底に希少金属を含むマンガン団塊が大量に埋蔵されており、今後何年、何十年にもわたって日本の希少金属需要を満たす可能性があることがわかった。

東京大学や日本財団などの研究者らの調査で、小笠原諸島のこの海域には少なくとも2億トンのコバルト団塊が集中していることが分かった。世界的なコバルト供給不足の懸念が残る中、この団塊から日本の国内消費量の約75年分、ニッケルは約11年分が供給されると推計される。

財団と他の団体は、早ければ2026年にも大規模な鉱脈の採掘と商業化を開始する予定だ。

同大などの研究チームは2016年、南鳥島沖の排他的経済水域にマンガン団塊の鉱床があることを確認した。握りこぶし大の団塊は海底に見つかり、鉄とマンガンの酸化物が主成分。コバルトとニッケルはそれぞれ1%未満で、海底に落ちた魚の骨などの堆積物の核に金属が断続的に蓄積し、数百万年かけて形成されたとみられる。

同財団は今年4~6月に集中調査し、水深5500メートルの約1万平方キロの範囲に2億3千万トンの鉱脈が存在することを確認した。採取した鉱脈を分析した結果、同財団は海底の鉱脈にはコバルトが61万トン、ニッケルが74万トン含まれていると推計した。

深海の海底から鉱石を吸い上げる技術は海外で開発されており、欧米の企業と連携して採取することも検討する。第1段階の採取費用は50億円以上と見込まれ、財団が大半を負担する方針だ。

採取した鉱石は精製技術を持つ日本企業に提供し、財団が中心となって2026年から日本企業と共同で国産資源として実用化するためのベンチャーを立ち上げる。東京大は鉱物の詳細な分析など学術的な面から支援する。

電気自動車のバッテリーにはコバルトやニッケルといった希少金属が欠かせないが、その生産や製錬は中国やアフリカ諸国が独占している。南鳥島沖では希少金属を含む鉱物を含むコバルトリッチクラストやハイテク製品に幅広く使われる資源を含む「レアアース泥」も確認されており、世界有数の鉱物資源の宝庫となっている。



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