読売新聞
2024年7月6日 17時34分(日本時間)
防衛省は、海上自衛隊の護衛艦に関する機密情報の不適切な取り扱いをめぐる内部調査の結果、隊員による多数の不正行為を確認したことが政府筋への取材で分かった。
特定秘密の不適切な取り扱いが常習的だったとみられ、海自は複数の隊員を処分する方針。関係者によると、坂井亮海幕長も責任を取って辞任する見通しだ。
国防省は4月、海自護衛艦「いなづま」の戦闘情報センターに配属されていた海自隊員が、機密情報である船舶航跡データに約60日間アクセスしていたと発表した。複数の海自幹部が、機密情報取り扱い許可審査を受けたかどうか確認せずに、この隊員を戦闘情報センターでの業務に配属していた。このため、当時の艦長を含む隊員4人が懲戒処分を受けた。
国交省は事件後、情報保護体制の見直しを図るため、海自全隊員を対象に調査を実施。関係者によると、複数の海自艦艇に特定秘密を扱う資格のない隊員がいることが判明した。外部への漏洩は確認されておらず、情報漏洩は隊員に限定されているとみられる。
同省は近く調査結果と関係者への処分を発表する。機密情報の不適切な取り扱いは日常的に行われていたとみられ、懲戒・指導の対象となる職員は前例のない数に上るとみられる。
2014年に施行された特定秘密保護法は、防衛や外交、対スパイ、テロ対策に関する情報が対象で、内閣官房の資料によると、昨年末時点で751件の秘密情報が指定された。犯罪歴や財産状況などの身元を調べる「機密クリアランス(情報確認)」審査を受けなければ、これらの情報を扱うことはできない。漏えいした者には刑事罰が科される。
同省では22年12月、海自情報部隊の部隊長が日本周辺の情勢について話す際、特定秘密を退役幹部に漏らす事件があった。
坂井氏はこれまで護衛艦の艦長や海上自衛隊横須賀地方総監などを歴任し、2022年3月に海幕長に就任した。
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