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東京都議補欠選挙:既成政党への不信は危機的状況

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東京都議補欠選挙では、自民党が2勝6敗、立憲民主党が1勝2敗となった。都知事選でも底流にあった既成政党への不信感が鮮明になったといえよう。

東京都知事選は当初、現職の小池百合子氏と立憲民主党の元参議院議員による事実上の与野党対決になると予想されていたが、結果は小池氏の圧勝となった。一方、ソーシャルメディアを駆使した無所属の新人が立憲民主党を抜いて2位となった。

東京都議補欠選挙は、1議席ずつの9選挙区で行われた。自民党と立憲民主党が敗れた選挙区では、地域の「都民ファーストの会」や別の政治団体、無所属の候補者らが勝利した。

自民党は欠員が出る前は8選挙区で5議席を維持していただけに、惨敗といえよう。派閥の資金隠し問題で高まった国民の党不信を払拭できていないのは明らかだ。

4月の衆院3補欠選挙では、候補者を立てられなかった選挙区も含め、自民党は3選挙区すべてで敗北。その後の地方選も苦戦が続いている。

自民党は先の国会で「政治とカネ」問題で批判され続けた。政治資金規正法の改正はできたものの、改正案作成の過程で党内調整や公明党との調整が不十分で不信感を募らせた。

群馬県内で開かれた自民党地方連の大会では、複数の国会議員が「党首が責任を取るべきだ」として岸田文雄首相の辞任を公然と求めた。次期衆院選に向けてこうした声は強まりそうだ。

一方、立憲民主党は「政治とカネ」の問題を追及して自民党の誤りを暴こうとしたが、政策論争を軽視したため支持を集められなかった。

東京都知事選で無所属の新人が160万票以上を集めたのは、既成政党が国民の要求に十分応えられなかった結果だと言える。

また、今回の選挙では、売名行為やいたずら行為を働く候補者の出現も目立った。東京都議補欠選挙ではそうした候補者は見られなかったが、各地の衆院選、参院選では奇抜さを売りにした候補者が出てくる可能性もある。

実は、国政ではすでに異例の事態が起きている。前回の参院選では、動画投稿サイトで人々のスキャンダルを暴露して人気を集めた候補者が当選。議員になってから国会に一度も出ず、議員を追放された。

このまま放置すれば政治への信頼はますます薄れていく。与野党は政党運営や候補者の選考・育成の在り方を見直し、党体質の改善に注力すべきだ。

(読売新聞2024年7月9日号より)



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