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東京都知事選:首都での対決は困難な政治的課題を浮き彫りにする

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東京都知事の小池百合子氏は、3期目を目指して都知事選挙に出馬すると発表した。正式な選挙運動は6月20日に始まり、投票と開票は7月7日に行われる。

野党側からは蓮舫参院議員らが立候補を表明しており、小池氏の表明で主要候補がそろった。

首都は課題が山積している。人口流入は当面続くものの、同時に少子高齢化も進むと見込まれ、医療費の増大や介護人材の不足が懸念される。大規模災害への備えや老朽化する社会資本の再構築も急務となっている。

これらは日本が抱える難題の縮図ともいえる。都知事選は有権者にとって、首都を誰に託すかという重要な選択の機会であり、国政にも影響を及ぼす。各候補が具体的な政策を明確に打ち出し、論戦を繰り広げることを期待したい。

しかしながら、現在政権を握っている与党が知事選に独自の候補者を立てられないのは極めて残念だ。

自民党東京都連は小池氏を支援する方針だ。政党色を帯びたくない小池氏に配慮し、控えめな支援をしていく方針と報じられている。

自民党は4月の衆院補欠選挙(東京15区、長崎3区)で公認候補を立てず、両選挙区で不戦敗となった。このままでは党勢低迷から抜け出せない。

一方、政治団体のNHK党が今回、候補者を大量に擁立していることも疑問だ。同党の立花孝志代表によると、同党は24人の候補者を擁立する予定だという。

多様な人々の政治参加そのものは否定されるべきではないが、自治体の首長を選ぶ選挙で、同じ政党や政治団体が多数の候補者を立てれば、有権者は混乱をきたす恐れがある。候補者の公約や政見を比較して一票を投じようとする人々を愚弄することになる。

NHK党は、都内に設置される1万カ所以上の選挙看板のスペースにポスターを掲示する権利も1カ所1万円で譲渡する。立花氏は「看板を乗っ取ってビジネスを拡大するチャンス」とアピールした。

ポスターの内容については、虚偽の情報を掲載するなど一定のルールに違反しない限り、原則として制限はない。これを悪用し、民主主義の根幹である選挙を金儲けの手段として利用しているような行為は、看過できない。

先日の衆院東京第15選挙区補欠選挙では、政治団体「つばさの党」の候補者らが、表現の自由だと主張して他の候補者の演説を大声で妨害したり、選挙カーを追いかけたりしたとして、選挙妨害の疑いで起訴された。

こうした法で想定されていない事件が相次いでいることを踏まえ、与野党は公職選挙法の改正を急ぐべきだ。

(読売新聞2024年6月14日号より)



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