数十年前に北朝鮮に拉致された日本人の象徴である横田めぐみさんの母親は、東京とその近郊の主要駅に表示されたデジタルサイネージを通じて娘との再会への希望を表明した。
8月5日から9月1日まで、東京、新宿、池袋、横浜の各駅のデジタルスクリーンで6分ごとに再生される15秒のビデオには、めぐみさんの母である88歳の横田早紀江さんからのメッセージと家族の写真が含まれている。
このプロモーションは、早紀江さんと2020年に亡くなった夫の横田滋さんを支えてきた近隣住民のグループ「あさがおの会」が主催した。
スクリーンには、早紀江さんが1972年ごろに撮影した小学生時代のめぐみさんと兄弟、滋さんの家族写真が映し出された。その後、早紀江さんの姿とともに「私が生きているうちにめぐみさんに会わせてください」という文字が浮かび上がった。
2024年8月5日、東京・JR池袋駅のデジタルビジョンに、北朝鮮による日本人拉致問題の早期解決を求める広告が映し出された。(共同)
「私が強調したいのは、私が生きている間に(めぐみさんが)無事であることを確認し、一目だけでも会いたいということです」と早紀江さんは同団体を通じて発表した声明で述べた。
同団体は、デジタルサイネージの制作にあたり、「北朝鮮」や「拉致」といった直接的な表現を避けたとしている。
同会代表の森里美さん(62)は「道行く人が拉致問題に気づき、考えるきっかけになれば」と話した。
めぐみさんは1977年、13歳だったときに日本海沿岸の新潟で北朝鮮の工作員に拉致された。
彼女は日本政府が1970年代から80年代にかけて北朝鮮に拉致されたとリストアップしている17人のうちの一人だが、他の多くの失踪事件でも北朝鮮の関与が疑われている。北朝鮮は拉致問題は解決したと主張している。
拉致被害者のうち5人は2002年に日本に帰国した。日本政府は残りの12人の早期帰国を求め続けており、岸田文雄首相は北朝鮮の金正恩委員長との会談をできるだけ早く実現しようと努めている。しかし、進展はほとんどない。
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