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東京の出生率急落が警鐘を鳴らす。大都市が全国出生率を押し下げる

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The Yomiuri Shimbun
小池百合子東京都知事(右)が5月30日、新宿区の都庁内の保育施設を視察した。

日本の出生率は低下し続けており、厚生労働省の最新の統計は新たな警鐘を鳴らしており、地方自治体は慌ててこの傾向を逆転させようとしている。

一人の女性が生涯に産む子どもの平均数を示す全国合計特殊出生率は、2023年に過去最低の1.20に落ち込む見通しだ。全都道府県で低下しており、回復の兆しは見えない。東京都の出生率が1を下回り過去最低の0.99となったことに、都庁内には衝撃と焦りの声が広がっている。

「人口減少を食い止めるには今が最後のチャンスだ」と東京都の担当者は厳しい表情で語った。「私たちにできるのは、この問題に緊急性を持って取り組むことだけだ」

首都圏の出生率は1971年の2.02をピークに低下傾向にある。

20~39歳の主な出産年齢層の女性の14%が住む首都には、日本全国から多くの若者が移住している。しかし、2020年の国勢調査によると、東京は他のどの都道府県よりも未婚女性の割合が高い。

日本では結婚と出産は密接に結びついており、結婚数の増加は直接的に赤ちゃんの誕生数の増加につながる。また、東京の合計特殊出生率が上昇すれば、国全体の出生率の上昇にもつながる。昨年度、都は結婚を奨励することを目的としたいくつかの取り組みを開始したが、その中には都独自の結婚マッチングアプリを開発するプロジェクトも含まれている。

東京都は慢性的な出生率低下を最重要課題と位置付け、今年度予算で出生率向上策に約1兆8000億円を投じる。結婚から出産、子育てまで、各段階を「切れ目なく」サポートする体制を整えている。

生活費の高騰により、子どもを持つことをためらう人もいる。この対策として、東京都は昨年度、家賃の安い都営住宅に若い夫婦が優先的に入居できる制度を導入したほか、18歳以下の住民に月5000円の手当を支給し始めた。今年度からは、私立を含む都立高校の授業料が、生徒の世帯収入に関わらず、実質的に無償化された。

「人々が少しでも明るい将来を計画できるよう、支援する方法を考えていきたい」と東京都の小池百合子知事は水曜日に語った。

しかし、都の幹部は、今後の課題が困難であることを認めた。「出生率の低下はさまざまな要因が重なって起きている。自治体だけの努力では限界がある」と同幹部は語った。

都市部への流入抑制

厚生労働省が水曜日に発表した統計によると、北海道の合計特殊出生率は全国で2番目に低い。道内人口の約4割が札幌市に居住し、道内外から女性が流入している。しかし、札幌市では男女とも非正規雇用の割合が高く、平均所得も低い。2020年の国勢調査によると、札幌市の女性の未婚率は28.4%で、全国平均より3.6ポイント高かった。

札幌市は若者の出会いの場を増やそうと、人工知能(AI)を活用したオンライン婚活サービス「AI Anddication Plosivesk」を今年度から始める。また、世帯収入にかかわらず第2子以降の保育料を無料にする。

「特効薬はないが、子どもを望む人々が実際に出産できるよう、私たちはできる限りのことをしなければならない」と市政府の計画部門の責任者は語った。

合計特殊出生率も、地方から人口が集まる大都市を抱える宮城、神奈川、大阪の3府県で低い。地方は大都市に比べて住宅費が安く、子育て中の親のサポートも受けやすい。地方からの若い女性の流出を食い止めることも、少子化を食い止める上で重要だ。

元少子化対策担当大臣の小倉昌信氏は、職場や地方の一部で「男は働き、女は家庭」という考え方が根強く残っており、女性を都市部に流出させる一因になっていると指摘。「地方の少子化対策は、女性の社会進出やジェンダーの観点から考える必要がある」と訴えた。

小倉氏はまた、女性活躍推進と地方創生の両分野を1人の閣僚が担当する体制も提案した。

「自治体のリーダーが、男女平等と少子化対策の問題は関連していると確信すれば、地方に変化をもたらすきっかけになると思う」と小倉氏は語った。



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