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最低賃金:大幅な引き上げで成長型経済を創出

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企業が人件費抑制ばかりしていては、経済の好循環は実現しにくい。最低賃金の大幅引き上げを機に、コスト削減に偏重してきた日本経済の改革が進むことが期待される。

厚生労働省の中央最低賃金審議会は、全国の最低賃金を現在の1004円から2024年度に1054円に引き上げる指針をまとめた。

増加額は50円で、前年度43円より大きく、過去最大の増加額。増加率は5%。

最低賃金とは​​、正規労働者と非正規労働者を含むすべての労働者に適用される賃金の下限額です。

物価上昇が続く中、物価の影響を加味した実質賃金は今年5月まで2年以上マイナスが続き、家計を圧迫している。厚労省の審議会が最低賃金の大幅引き上げを了承したことも注目される。

今年の春闘では、33年ぶりの平均賃上げが実現した。この流れが非正規労働者や中小企業にも広がることが期待される。

協議会では労働者側が67円の引き上げを主張し、使用者側は23円の引き上げを要求し、協議は難航した。

過度な賃上げは倒産や廃業につながり、地域の雇用が失われると使用者側は強い懸念を抱いている。中小企業が賃上げ資金を確保できる環境を整える責任は政府にある。

政府は、大企業と中小企業の取引を徹底的に監視し、人件費などのコスト上昇を適切に価格転嫁できるようにするとともに、企業の生産性向上に向けた実効的な対策を講じる必要がある。

日本は、人件費や原材料費を削減して製品を安く売る「コスト削減経済」からの脱却の重大な岐路に立っている。

価格競争ではなく、賃上げや投資を促進し、魅力的な製品やサービスを提供する「成長型​​経済」への転換が必要です。そのためには、企業の規模を問わず、経営者が賃金支払いのあり方について意識改革することが重要です。

政府は現在、2030年代のできるだけ早い時期に、全国平均の最低賃金を1500円にするという目標を掲げている。日本で働きたい外国人を増やすには、欧米に比べて低い賃金の引き上げが不可欠だ。

同協議会はこれまで、全国47都道府県を経済状況に応じて3つのグループに分け、個別に最低賃金引き上げの指針を示してきたが、今回は地域差を是正し底上げを図るため、全都道府県に一律50円の引き上げとした。

地方議会においては、地方創生の観点からも最低賃金の引き上げについて積極的に検討されることが期待される。

(読売新聞2024年7月26日号より)



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