ホーム Fuji 書店に新たな息吹を吹き込む。衰退する業界を救うため官民が協力

書店に新たな息吹を吹き込む。衰退する業界を救うため官民が協力

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読売新聞
火曜日、東京都渋谷区の書店で、斎藤健経済産業大臣(右)と他の職員らが販売されている書籍の一部を閲覧している。

政府が書店支援・再生の取り組みに新たな章を開いてから約4カ月が経過したが、この物語がハッピーエンドを迎えるかどうかは依然として不透明だ。

経済産業省は、本部長直轄の書店振興プロジェクトチームを設置した。書店が重要な文化拠点であるという認識が高まる一方で、書籍や雑誌の売り上げが低迷し、経営難に陥って閉店する書店が全国で相次いでいる。

文化新聞が木曜日に開催した活字文化と書店再生に関するフォーラムで、経済産業大臣の斎藤健氏は、書店を支援する決意を表明した。「書店の素晴らしさに気づいていない若者が多く、ネットで欲しいものを買う若者が人口の多くを占めるようになる」と斎藤氏は述べた。「書店が絶滅危惧種になる前に支援を進めていきたい」

フォーラムでは、公益財団法人キャラクター文化振興機構理事長で読売新聞ホールディングス社長の山口俊一氏も登壇。「地方の書店や家賃高騰で都市部の書店が逼迫している。国を挙げてこの問題に向き合わなければならない」と語った。

日本出版情報基盤整備機構によると、全国に書店が13年度に1万5602店あったが、23年度には1万918店にまで減少した。

実店舗は、書籍の利益率の低さやネット通販の台頭、書店後継者不足などに悩まされている。全国の自治体の4分の1には書店が1軒もない。放置すれば「人々が文字に触れる機会が失われる」との懸念が高まる中、知の拠点を振興・維持する方策を探るためプロジェクトチームが発足した。

6月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針でも、書店の活性化や書籍を含む文字文化や印刷文化の振興策が盛り込まれた。

在庫検索実験

出版業界や書店自身も、収益店舗を増やし、顧客の利便性を高める取り組みを始めている。

紀伊國屋書店と、蔦屋書店を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ、書籍卸大手の日本出版販売の3社は共同でブックセラーズ&カンパニーを設立した。書店が棚に並べたい本を積極的に仕入れるチャネルを作り、書店の書籍販売利益率を現在の約20%から30%に引き上げることを目指す。

一方、出版社、書店、書籍卸業者らが結成した団体「日本出版文化振興財団(JPIC)」は、6月に始まった書店在庫横断検索システムの概念実証実験に尽力している。

店頭で欲しい本が見つからなかった場合、近くの店舗に在庫があるかどうかが分かりにくく、ネットで調べて購入するケースが多い。今回の実証実験では、スマートフォンなどを使って、店舗に在庫があるかどうかを相互に確認できる。大手書店チェーンのブックファーストやブックスおおがきなどが参加し、2年間の実施を予定している。

JPICの担当者は読売新聞の取材に「他の店舗にも参加を呼び掛けたい」と語った。

店舗の重荷

出版科学研究所は26日、2024年上半期の紙媒体と電子媒体を合わせた出版物の販売額推計が前年同期比1・5%減の7902億円になったと発表した。紙媒体のみでは5・0%減の5205億円。特に書店の大きな柱だった雑誌の落ち込みが顕著だ。

近年、書店にとってキャッシュレス決済の手数料も重荷となっている。東京都杉並区の書店「今野書店」の社長は、書店などへのさらなる支援を求めている。

「自分の目で本棚を見て、本を買いたいという読者もいる。書店側も人件費などの高騰に苦しみ、このままの経営を続けるのは無理だ。政府にはさらなる支援策を検討してほしい」と訴えた。



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