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日韓世論調査:安全保障協力への理解は深まるも課題残る

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多くの日本人と韓国人が、日米韓3カ国の安全保障協力の必要性を認識している。これは喜ばしい傾向と言える。

日本と韓国の政府は、安全保障を含む具体的な協力分野を拡大し、友好的な関係を維持することが両国の国民にとってプラスになることを示す必要がある。

読売新聞と韓国の韓国日報が共同で実施した世論調査では、回答者の86%が日本、79%が3カ国間の安全保障協力の強化に賛成した。

また、今後両国が協力を進めていくべき分野として「外交・安全保障」を挙げた人は、日本では88%、韓国では72%で、韓国では70%を超えたのは特筆すべき点だ。

東アジアでは、北朝鮮がミサイル開発を加速させ、中国も積極的な海洋進出を止めていない。ウクライナへの侵略を続けるロシアは、中国や北朝鮮との軍事的結びつきを深めている。

こうした安全保障環境の悪化を背景に、韓国では米国だけでなく、米国のもう一つの同盟国である日本との連携が不可欠だという認識が高まっているのかもしれない。

また、日本との関係改善を目指す尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が2022年に就任し、岸田文雄首相との会談が相次ぐなど、両国とも相手国に対する国民感情が改善し、相手国に親近感を抱く人が増えていることも改めて浮き彫りになった。

両国関係の現状を「良好」と答えた日本人は13年ぶりに50%に達した。韓国人も42%で2年連続で40%台となった。

両国とも、18~39歳の若年層で特に親近感を抱く人の割合が高く、将来志向の関係構築に好ましい要因となっているといえる。

懸念されるのは、韓国政界などにおいて、尹首相の対日外交重視の姿勢を弱めようとする動きが容赦なく続いていることだ。

4月の総選挙で単独過半数を獲得した最大野党左派は、尹氏が日本に譲歩しすぎているとして外交政策の見直しを迫っており、おそらく3年後の大統領選挙を控えて韓国国民の間に残る反日感情を煽る狙いがあるのだろう。

朝鮮半島出身の元徴用工をめぐる訴訟でも、日本企業に賠償金の支払いを命じる判決が相次いで下された。

日韓の歴史問題で韓国の裁判所が反日的な判決を下す傾向があることは憂慮すべきことだ。

この状況が続けば、日本人の韓国に対する感情は再び悪化する恐れがある。

韓国が日本との関係を政争の道具にすることは、日米韓の分裂を狙う北朝鮮、ロシア、中国を利するだけであり、韓国の利益にはならない。韓国の野党は慎重に行動することが望まれる。

(読売新聞2024年6月11日号より)



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