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日本当局は要人警護に新技術を導入、ローンウルフ攻撃の防止は依然困難

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読売新聞ファイル写真
東京の警察庁

安倍晋三前首相が奈良県で演説中に射殺されてから2年が経った。山上哲也容疑者(43)は現場で逮捕され、殺人など5つの罪で起訴された。

その後しばらくして、山上容疑者の行為に触発されて手製の銃を製造した疑いで別の男が起訴された。

「社会に失望した」と男性は最近読売新聞のインタビューで語った。彼の発言は、いかなる団体にも属さず過激化した単独犯に対処することの難しさを改めて浮き彫りにした。

「理解してもらえると思っていた」

千葉市緑区の家電修理工、田代誠司容疑者(26)は4月、自宅で無許可で鉄パイプ銃を製造、所持したとして兵器製造法違反などの疑いで千葉県警に逮捕され、5月に起訴された。

田代容疑者は6月27日、警察官同席のもと、千葉南警察署で読売新聞記者の質問に答えた。

山上容疑者は逮捕後、母親が多額の寄付をしていた統一教会(正式名称は世界平和統一家庭連合)に恨みを抱いていたと警察に供述した。これを受けて政府は過剰な寄付の勧誘を規制するなどの措置を講じた。

田代さんはこうした展開について語り、山上さんの行動に「刺激を受けた」と語った。「自分も同じことができると思った」と同さんは語った。

田代氏は、自民党の派閥を巻き込んだ政治資金スキャンダルなど、社会の特定の問題に不満を抱いていたと語った。「中央政府の庁舎を爆破することも考えた」と同氏は語った。

「インターネットを参考にして手作りしました」と田代さんは言う。

捜査関係者によると、この手製の銃は鉄管、合金、スイッチ、配電ケーブルなどを組み立てて作られたもので、当局が検査した結果、殺傷能力があると判断した。

県警は家族の依頼で別の事件と関連して田代容疑者の自宅を捜索し、手製の拳銃を発見した。田代容疑者は「社会に不満を持つ国民の意思表示。理解してもらえると思った」と話した。

AIを使って情報を収集する

安倍首相の死後、警察は単独犯対策を強化したが、23年4月には和歌山市内の選挙活動中に岸田文雄首相に爆発物が投げ込まれる事件が起き、逮捕された男も単独犯とみられる。

これを受け、全国の警察本部は4月、刑事部、生活安全部、地域部による連絡協議会を設置した。捜査や住民からの聞き込み、パトロールなどを通じて犯罪の兆候があると判断される情報を治安部と共有する体制を整えるのが狙いだ。

銃器対策も強化され、警察庁は銃器や爆発物の製造情報を収集するため、AIを活用した捜索システムを導入した。

6月には、自作銃や猟銃の規制を強化する改正銃刀法が成立。インターネット上での銃の無許可所持を公然と奨励することを禁止し、罰則を定めた。

ドローンの使用

警察庁は首相死去の翌月、要人警護規則を改正し、都道府県警が事前に提出した要人警護計画を審査する制度を導入した。これまでに約6300件の警護計画を審査し、約4800件に修正を求めた。

要人警護の訓練を受けた警察官は全国で300人以上増加した。

全国の警察で監視用ドローンの導入が進んでいる。警視庁は、長時間飛行が可能な有線ドローンとAIを活用し、東京都知事選の選挙期間中、観客の不審な行動を検知した。

選挙活動の警備にこうした技術が活用されるのは初めてで、警視庁は警察官の要人警護スキル向上にも取り組みを加速させている。

北海道警は5月に札幌市内で訓練を実施し、刑事や地域警察官約90人が金属探知機を使った所持品検査の方法を学んだ。

警察庁の露木康弘長官は4日の定例会見で「日々の教訓を生かし、要人警護のスキルを高めていきたい」と述べた。

政策審議会分析研究室長の板橋功氏は「単独犯を見つけるのは極めて難しい。単独犯の前兆となる可能性のある情報を収集するには、国民のプライバシーへの配慮も必要だ」と話す。板橋氏はテロ対策や要人警護問題に精通している。

「本来、選挙活動の警備への警察の関与は最小限にとどめ、政党や候補者らが自衛するのが原則だ。だが、警察は必要な人を守るのが使命だ。警護計画を検討する警察庁としては、地域の実情に詳しい都道府県警察と緊密に連携していくことが重要だ」



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