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日本企業は「神経多様性」の波に乗ろうとしている

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日本の企業の中には、人の脳の働き方の違いを重視する「ニューロダイバーシティ」の概念を取り入れ、発達障害や精神障害のある人を積極的に雇用し始めているところもある。

企業は、そのような従業員が苦手とする業務を考慮する必要がありますが、情報技術やデジタル変革などの分野で、従業員独自の才能を活用することもできます。

人手不足が進む中、企業は新たな人材を獲得し、個人は自分に合った労働環境で社会に貢献できるという好循環を生み出します。

「彼らはITが好きな人たちなので、ITにどっぷりと浸かってしまう」と、2021年に横浜市に会社を設立した日揮パラレルテクノロジーズの粟渡健太社長は言う。「余計なプレッシャーがなければ、彼らは優秀だ」と彼は言う。

全社員が自宅などからテレワークする日揮パラレルテクノロジーズで、知的障がいのある社員が2024年6月に東京で働いている様子。(写真提供:日揮パラレルテクノロジーズ)(共同)

同社は世界的エンジニアリング企業である日揮ホールディングスの子会社で、日揮グループ各社のIT関連業務を手掛けている。従業員37人のうち、約9割が発達障害や知的障害を抱えている。

粟渡氏は、「ニューロダイバーシティとは、脳や神経機能の違いを社会の中で尊重し、活用すべきだという考え方だ」と語る。同社はこうした違いを創造的に扱う方法を見つけている。

重要な考慮事項は、そのような従業員が引き受ける仕事が「重要だが緊急ではない」もので、厳しい期限なしに自分のペースで働けるようにすることだと粟渡氏は説明した。

通勤の難しさ、混雑した場所、光や音への敏感さなど、個人の感受性を考慮して、同社は完全なリモートワークシステムを導入しました。一部の従業員に影響を与える可能性のある他の従業員との否定的な比較を避けるため、タスクはチームではなく個人に割り当てられるのが一般的です。

同社の取り組みは日揮グループ内の課題解決に役立っており、今後も年間10人規模の採用を継続していく予定だ。

こうした企業の従業員も労働環境に感謝の意を表している。

「私は批判をうまく受け止めることができず、落ち込むと長い間その状態が続きます。それが前の会社ではうまくいかなかった理由ですが、今はここで働くのがとても楽です」と、大阪に本社を置く江崎グリコでITエンジニアとして働く若宮由貴さん(28)は語った。

江崎グリコのITエンジニア、若宮友紀さん(左)が2024年7月5日、大阪で上司と会話している。(共同)

若宮さんは大学院で情報工学を専攻。ソフトウエア会社に勤務していたが、厳しい口調で話しかけられるのが嫌で昨年「気分変調症」と診断された。精神障害者手帳を持っている。

グリコは若宮氏の判断で上司に相談できる週1回のミーティングを設けている。「技術者は技術で決まる。(脇山氏は)障害があるが、優秀な技術者なので問題ない」と上司は言う。

高度なIT業務に特化した障害者就労移行支援事業所「ニューロダイブ」は、AIや機械学習、データサイエンスなどの分野で専門性の高いスキルを身につけ、就職もサポートすることを目指している。東京、大阪、福岡など5拠点で展開する人材派遣大手パーソルホールディングスが運営する。

こうした採用が行われているもう一つの分野は、デジタル技術の統合を推進するデジタルトランスフォーメーション(DX)だ。

2019年の事業開始以来、90名以上が雇用されている。ニューロダイバーシティ採用の多くは、データ分析やAIエンジニアリングなどITスキルを活用する職種だ。

障害者の就労を支援するニューロダイブの東京オフィス(2024年6月撮影)。(共同)


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